あらすじ
京に暮らし、二世夜半亭として世間に認められている与謝蕪村。よき友人や弟子たちに囲まれ、悠々自適に過ごす晩年の彼に小さな変化が……。祇園の妓女に惚れてしまったのだ。蕪村の一途な想いに友人の円山応挙や上田秋成、弟子たちは驚き呆れるばかり。天明の京を舞台に繰り広げられる人間模様を淡やかに描いた、傑作連作短編集。著者の特徴である「人を想う気持ち」が通奏低音の如く流れ、読む人の気持ちを暖める。新たな蕪村像を描いた意欲作!
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Posted by ブクログ
京を舞台にした与謝蕪村の老いらくの恋と、蕪村の娘や弟子達の無器用なまでの恋模様をしっとりと描いた連作短編。
相手を一途に愛おしく想う様が妖しく美しく描かれてあり、読んでいるこちらも心がザワザワしてくる。
そしてそれをそっと見守る蕪村の温かな眼差しに泣ける。
短編に添えられる蕪村の俳句や絵が内容にピタリと合っていて、これまた泣ける。
蕪村の周りの恋は切ないのに粋に思えるから不思議だ。
円山応挙が恋する気持ちを「せつのうて哀しいのやけど、なにやらあたりが生き生きと見えましてなあ」と言っていた。
恋とは正にこれである!