あらすじ
優しい子に育ってほしいけれど、自分の意見を言えないようでは困る。自分の意志を持ってほしいけれど、わがままなのはだめ。子どもが育つとき、自己主張と自己抑制が共にできることが大切なのはわかっていても、そのバランスは難しい。両者を等しく重視するイギリスと、自己抑制を尊重しがちな日本を比較教育学を用いて比べながら、子どもたちはどうやってこれらを身につけていくのか、親はそのためにどうすべきかを探る。
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Posted by ブクログ
自己主張が苦手で,まわりの雰囲気を見てガマンをする日本人。そんな日本人の性格が,どのようにして,いつ頃から形成されるのかを,イギリスと比べながら,幼児や母親を対象にした質問の回答をまとめて,明らかにしたものが本書の内容。比較教育学という手法らしい。
本書を一読しての〈目からウロコ〉は,自己主張と自己抑制は,相反する性質(この考え方を著者は「一元的尺度」と呼んでいる)ではないということを知ったことだ。日本人だけ見ていると,自己抑制するから自己主張できないように見えるが,イギリスでは,自己抑制もするけど自己主張もできる人間が多いらしい。ということは,これらの両方とも育てることができるということだ。
そこで,筆者は,どのようにしたらこの両方を身につけていくことができるのかを提出しようというわけだ。「円滑な対人関係がとれ,その中で自己の要求を実現できるたくましい社会性」を育むことができれば,仲間からも受容され,自己有用感も高まる生活ができる子どもになるだろう。
固定された集団の中で上手く生きていくことだけを重要視してきた日本社会のしきたりは,グローバルな流れの中で時代遅れになりかけている。やはり,ここぞというときには,わがままに見えない形で自分の意志を出せる人であってほしい。そう考えたときに,それができているイギリスの子育てが参考になると著者はいう。
幼児期の自己主張を育むには,まず何よりも大人たちが自己主張を捉え直し,かつ伝統的な自己抑制も見失うことなく,自己主張と自己抑制のバランスをうまくとる生き方を構築する必要がある。それが基本にあってこそ大人が子どもの自己主張を受容することが可能になる。自己主張しても大丈夫だというメッセージを環境から読み取ることができたとき,子どもは自己主張を始める。(本誌,p.179)
集団の中でガマンしたあげくに,キレル若者も多い。自分を集団の中で上手く活かしてあげるためにも,もっともっと自己主張のしかたを学ばねばなるまい。そのためには,まずは大人が学んで手本を示す必要があるというわけだ。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
優しい子に育ってほしいけれど、自分の意見を言えないようでは困る。
自分の意志を持ってほしいけれど、わがままなのはだめ。
子どもが育つとき、自己主張と自己抑制が共にできることが大切なのはわかっていてもそのバランスは難しい。
両者を等しく重視するイギリスと、自己抑制を尊重しがちな日本を比較教育学を用いて比べながら、子どもたちはどうやってこれらを身につけていくのか、親はそのためにどうすべきかを探る。
[ 目次 ]
第1章 自己主張と自己抑制
第2章 イギリスとアメリカと日本
第3章 幼児のしつけと教育の日英比較
第4章 日本とイギリスの子どもたち
第5章 日本人の対人関係と子どもの自己の発達
第6章 新しい幼児教育の方向性
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