あらすじ
天下人に喧嘩を売る男たちの最期の戦場。目前に迫る10万の豊臣秀吉軍。日本中がひれ伏した敵に、わずか5000の兵で九戸政実(くのへまさざね)は喧嘩を売った。策を尽くし、鍛えた武力で敵を翻弄する九戸党。誇りをかけた最期の戦いを待ち受けていたのは――。『炎立つ』『火怨』からつづく、陸奥(みちのく)の男たちの熱き魂を描いた歴史巨編「3部作」が、万感の最終幕を迎える。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
3ヶ月以上も間をおいての最終巻。
一気に読み切りたかったけれど、しょうがない。
織田信長と一戦交わしたいと願っていた九戸政実は、南部本家の跡目争いに端を発した内戦のため、結局西国へ打って出ることができず、気がついたら時代は豊臣秀吉の一人勝ちとなっていた。
秀吉の勝ち方は決して武将のそれではなく、最後のまつろわぬ武将として秀吉に喧嘩を売る。
それは勝つための戦いではなく、武士としての生き様を知らしめるための戦い。
最初から死ぬ気だからできる、5000対10万の戦いなのだ。
それまでの戦いで、一度も負けたことのない九戸政実。
日ごろの鍛錬はもとより、知略にも優れている。
それこそ、南部本家の信直の器の小ささ、その側近である北信愛の姑息さと比べて、一回りも二回りも役者が上だ。
政実が、自分を措いてでも南部の棟梁にしたかった弟の正親すら、凡庸に見えてしょうがない。
ちょっと政実、出来過ぎです。
勝っているうちに投降して、残された者たちの命を守り、最後まで武将としての生き様を貫いた政実。
試合に負けて勝負に勝ったというところか。
あんまり出来過ぎなので感情移入は出来なかったけれど、歴史として見たときに、こんな人物がいて、こんな出来事があったと知ることができたのは上々。
伊達政宗以外にも人はいた、ということだね。