あらすじ
ヨーロッパ文明揺籃の地である古代ギリシャの輝きは、神話の世界そのままに、人類史の栄光として今も憧憬の的であり続けている。
一方で現在のギリシャは、経済危機にあえぐバルカンの一小国であり、EUの劣等生だ。
オスマン帝国からの独立後、ギリシャ国民は、偉大すぎる過去に囚われると同時に、列強の思惑に翻弄されてきた。
この“辺境の地”の数奇な歴史を掘り起こすことで、彼の国の今が浮かび上がる。
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Posted by ブクログ
ドイツのバイエルン王室から招いた国王を戴く王国としての独立、領土拡大の過程、第二次大戦の枢軸国側による占領、左右勢力の内戦を経た軍事独裁政権の成立と崩壊、現代のユーロ危機の発端までが扱われている。個人的には現代のギリシャ人のアイデンティティがどのように形成されてきたのかを扱った序章が面白かった。序章ではビザンツ帝国以降のギリシャ人は自らをローマ人として規定していたことや古代ギリシャと自らの連続性をギリシャ人自身が意識し始めたのは独立戦争あたりからだということが述べられている。また、国境外のギリシャ人を扱った第6章、特に黒海沿岸に住んでいたポンドスギリシャ人を扱った部分が興味深かった。彼らの一部はオスマン帝国崩壊とともロシア領内に移って行ったことが述べられている。ペレストロイカ当時のモスクワ市長ガヴリール・ポポフがギリシャ人だったので不思議だったのが、ポンドスギリシャ人の子孫なのかもしれない。
Posted by ブクログ
歴史にこんなに興味があるのに、そういえばギリシャについては、古代ギリシャ以来全く知らないことに気付いた。今回の財政危機で改めてスポットライトを浴びた(といっても暗いものだが)ギリシャ。この機会に1800年から現代までの歴史を知り、ギリシャショックを巻き起こした原因を探りたいと思った。
国民を裕福にさせる方法は2つある。経済を回してお金を生み出す方法、そして税金を徴収して国民に社会保障として還付する方法。ギリシャは政策に行き詰ると、国民の人気取りも兼ねて、後者の方法をよく用いる。ただし、粉飾決済付きで。
現代のゼロ成長と言われていた日本を見て、厚い社会保障に傾くと、より経済が悪化すると感じていた私は、ギリシャが常に後者の方法を選択していることを苦々しく思った。
「古代ギリシャの過去の栄光を今でも背負っている」「怠惰な国民性」などと揶揄されるギリシャ。そういった精神性の部分を含めて、今後、より理解を深めたいと思った。