【感想・ネタバレ】鬼門の村のレビュー

あらすじ

大学生の友部は、社会民俗学の嘉形教授の依頼で、夏休みのあいだ山奥の村に滞在し、ラジオ番組に投稿された実話怪談の整理を行うことになった。注意点は二つ、昭和三十年代に一家惨殺事件が起きた家に滞在すること。その土地の水やそこでとれた食物を口にしないこと。何度返しても戻ってくる石、社(やしろ)を護る白い着物姿の子供、鳴り止まぬ羽音……整理を続けるうち、友部はこの村に隠されたおぞましい真実に迫っていく。日本ホラー小説大賞出身作家、初の本格ホラー長編。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公である青年の家庭は、再婚を経て既に青年を家族という枠から用済みと突き付けた事により、青年の最後の微かな希望さえ酷く傷つけ青年をある意味で解き放ってしまった。
また、青年を見いだした教授も、若くして母を失っている。そして不貞を働く父を恨んでいた。
この2人は決してマザコンとかではない。家庭を、母(妻)を顧みなかった父親が共通点であり、そして青年の向かった村で代々行われていた依代(ヨリ)を辱める行為の末その依代達の溜まりに溜まった怨念の思いが、いわば、ヨリ(達)+(トヨ子)そして青年、教授の三者三様であれど行き着いた思いの先が一致しただけの事である。
それだけの事で、地獄の蓋が開かれてしまうのか?世界は、私達は巻き添えになるのか?関係ないのに?
そう、思ってしまうだろうか。
私はそうは思わない。もし、それだけの事で、と思えてしまうならば、それは私達が当事者ではなく、また彼らの味わったそれぞれの壮絶なまでの絶望と悲しみと怒りと恨みの気持ちの深さを知らないからだ。
他人とっては、そうでない事も、当事者にとっては、こんな世界なぞどうにでもなってしまえ、むしろ地獄と化してしまえ。と思う気持ちにすらなるという事なのだ。
もちろん、まったく無関係な者たちもいる。
だが、それだってどうでもいいのだ。
自分達が味わった苦しみの前では、何もかも。

あくまでだが、私は青年が 4 だけの返信を貰った事で、その返信を打ったのが恐らく父親ですらなく再婚相手であろう事に、青年がかろうじて縋っていた父親への、自分にまだ何かしらの父親と期待と情があったこと、そのなけなしから綺麗さっぱり解き放たれた事への解放感を感じた。
青年が教授に利用されたように(また、教授もヨリ達によって)心の底を嗅ぎ取られて利用されていたのかもしれない。青年もまた、少女を利用し、村から連れ出す事で、地獄を、怨嗟を解き放つ、きっとその中には、これまでの慰み者にされたヨリの地層のごとく積み重なった恨み悲しみ、ヨリの他、村に押し込められていた者たち、教授、青年の思いの澱も加わっているのだろう。
それは、ある者にとっては、理不尽であり、ある者にとっては待ち望んだものであり、ある者にとっては見覚えがあり、ある者にとっては爽快でもある。だが、
地獄とは───
きっと、そういうものなのだろう。

あと、文体がとてもまろやかで読みやすくて好みでした。

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2026年05月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

怖かったし気味悪かったし真相も胸くそ悪かった(褒めています)教授の思惑と、体験談を追っていくこと、どちらもなぜなのかと先がとても気になりあっという間に読んでしまいました。ラストやっちまえ!と何か応援してしまい、怖かったのに不思議な読後感!面白かった。櫛木さんの小説は初読みでしたが他の本もぜひ読んでみたい。

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2026年04月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

4.5で面白かったが、あと一歩な感じが残る。

こんな村(世界)滅んじまえ!なラストは爽快さと背後の禍々しさが良かった。

洋画のホラーで、呪いを世界に伝染させて助かるオチを見たことがあるけれど、これは自分が助かるためにどうするか?ではなく、村(世界)を滅ぼすか目の前の女の子を救うかの2択を主人公が突きつけられる話。天気の子だ。

話の構成としては、よくわからん闇バイトまがいのバイトを身元がしっかりしてる教授から請け負ってこなししつつ、そこから怪談が徐々に繋がっていくという。

・見守りカメラってなんであったの?
最初は、主人公友部清玄(ともべきよはる)の身の安全のためかなと思ってたけど、教授が監視し村長へ連絡が行くシステムだったので、監視。種馬候補だから。
介護とか育児のためじゃなくてペットの監視。

・教授って身勝手?
身勝手といえば身勝手だけど、結構誠意を尽くしたほうだと思う。でもやってること六部と変わんなくない?
六部はヨリは連れて来て呪いを最大限に高めて村に繁栄をもたらしたけど、その後のことは知らんなので。
教授と同じ。清玄を連れて来て謎を解かせて後は知らん。世界滅んで欲しいけど、清玄君に任せるよ、でも君も世界滅んで欲しいよね?という。
六部もなんだかんだ金目当てに殺され続けて世界が滅んで欲しいと思ったのかもな。六部もヨリも生んだのは、その時代を生きた人間だよ、ってことだと思う。

・白が呪いで、黒はその反対?
たぶん。白=ヨリだから。
子供達だけで、海に行く話は、西瓜を食べて白いトンネルに魅入られる話だった。
白いものはダメなんだと思う。
清玄の玄は黒の意味があるので、清の青と黒で、ヨリに対抗出来るものってことだったのかな。
逆に教授は顔色をごまかすファンデーションで白、ヨリに近い存在だよ、という示唆。

・なんでお風呂場に赤茶けた髪の毛?
この家で死んだ登代子の髪の毛。お風呂場の水を通して現れていたのかな?
風呂場のほうが炊事場より湿気てるし。
佳月とのキスで涙を感じてたいたから、ダメじゃん!となったんだけど、逆にアレでヨリ側につくような力が働いたとか?

・第四章 病まう夢
1つ目の嫌いな相手との出張は、強制的に一緒にいたことで相手を救い、相手がこちらに恩義を感じて関係が良くなるというもの。
これはヨリと登代子では?
養子だったキクは、百合姉さんと一緒に納戸に閉じ込められて、そこから逃げ出したが、百合姉さんは凶器を持っていた。百合姉さん=ヨリということ。百合の百に白が含まれてるし。
登代子は村から出られずにヨリに殺され、ヨリを恨んだけれど、ヨリと一緒に居続けることで、村の仕組みを知って手を組むことになった、ということかな。

2つ目の、山に置き去りにされて、男の集団に出会うが夢の通りにデタラメに喋って助かる話。
これはヨリの境遇に重ね合わせたことかな。
血筋やらヨリのような能力があると知られたら、拐われたのかもしれない。

3つ目のキクの話。
黒い石を持ち帰ったキク。
白い石を持ち帰った百合姉さんと登代子。二人はここでヨリに取り込まれたのかも。

・なんでキク達に夢を見させたか?
この時、歴代ヨリは死亡。村は種無しで、人口の危機。
ヨリ候補を探していたのでは?
選ばれたのは、登代子と百合姉さん。
けれど正吉はキクも欲しがった。百合とキクをヨリにしたかったのでは?
でも二人ともヨリにしたら、周りの村にバレるから「二人はいかん。……気づかれる」→キクの実家にヨリの件が気づかれる、ということでは?

・納戸に閉じ込められたのはなぜ?
ヨリと同じように閉じ込められた。二人を死人扱いして、ヨリの力の発動外にさせた?とすると、供物台を用意した正吉の妻がヨリの協力者かも。でも小さい自分の子まで道連れにしたか。それだけ、ヨリの怒りが強かった?

ここらへんよくわからない。
一家を殺したのはヨリ。一家の死を利用したのは与蔵。
与蔵は一家を殺すメリットは無い。死んでしまったので、見せしめとして利用した。

キク達の荷物を預かっていたのはおそらく今の村長の矢濃家。
登代子は村から出たいがそれは叶わない。嫁ぐ先は虐めっ子の家。
だから、ヨリを選んだということで、白い石を持ち帰って正吉に睨まれたのかな?
白い石を持ち帰ると、ヨリに呪われてるので。
実行犯は矢濃家?凶器は矢濃家が百合に持たせたのか?
長男と次男が百合とキクどっちとヤルかで喧嘩して殺し合い。醜聞を恐れた&村長という権力が欲しかった矢濃家はどさくさで残りの家族を殺したとか?
ある程度はヨリに操られてだろうけど。



・与蔵なにしてたの?
だからたぶん、ヨリへの生贄を百合とキクにさせようとして、納戸に閉じ込めたのかな。
だが失敗した。納戸には米があったけど、そこに虫がわく描写無かったから、ヨリは来なかった。百合についてたけど、キクを逃がしてから家を呪ったっぽい。




・佳月の父親はイケメンだったA男、母親は?
不明。彼女で村出身の麻衣ではないはず。
母親にあたる人とも似ていない。
従兄弟の蓮太は兄なんだろうな。

・第二章 禍の山
義姉と不倫していた男の話。
これは妻ではない相手と寝ていることに怒ったからかな?ヨリを犯した村の男と同じことをしているわけで。
姪に手を出さなかったのは、殺されてきた自分の子供を思い出したからかも。
あと、お籠もりを交代=ヨリの役割を交代ってことだったのかも。与蔵の村から出さないという制約が発動?
日焼けの子が蓮太か?と思ったが、計算が合わない。

2007年に女子大生B子の死亡。おそらく翌年か翌々年に蓮太と佳月が誕生。清玄は2008年に佳月は誕生してるのでは?と推測してる。
蓮太のほうが一つ上らしいが、男女の双子を年誤魔化したか、別々の女性をあてがったのか?
2011年だと、二人は3、4歳。未就学児との会話っぽく無い。

男の子二人というのも気になるな。頭巾の色白はヨリなら女の子のはずなんだが。
ヨリの役割を女だけでなく、さらってきた男、つまりA男のような人間にやらせてるってことか?
元々ヨリも拐われたし、A男も種馬にされたし。


・第五章 厄の目
彼女の座を奪うために呪った話。これ、清玄の母親とその親友の話では?
親友が母親を呪い殺したよ、という答え合わせでは?
継母の用済みという回答。これは清玄の父親を手に入れるために清玄が利用されていた、ということかな。
子は鎹みたいに、清玄の心配するフリをして良い妻を演じようとし、清玄がいよいよ父親に見切りを付けたから、養子の話を持ち出した、ということかなと思った。
村と同じことをしている。
清玄の父親を引き止めるために新たな子供を用意しようとしているわけで。

あと4だけで、4=死、死ねという意味もあったのかも。こっちのほうが強そう。


与蔵目線で考えると、ヨリという呪いを抑えるために、何が何でも血筋を残そうとしているし、ヨリも半分は協力している。白い石を拾った者や、やってきたよそ者を逃さないようにしてるし。
イケメンだったらなおよく、不倫するようなやつだと呪い殺す。
村から出たがった女性は見逃している。だから、A男に色目使った旅館の仲居は生き延びられたし、戻ったB子は殺される。



清玄から教授への疑問
①怪異は与蔵によるものか?
違う。ヨリがやった。与蔵は村人を逃さないようしていただけ。人攫いも二人やればバレるから一人に絞った。

②女子大生B子の死は石を持ち出したことの呪い?与蔵の祟り?
ヨリが持ち帰らせた。もしかしたら、旅館の仲居を通じて目を付けたのかも。与蔵は無闇にヨリの力を使いたくないので警告した側。
ヨリがA男を所望したから種馬にした?

③B子=奥塚麻衣が神社のご利益をよそ者までに分けようとした罪で与蔵に消された?
違う。奥塚麻衣自身もヨリに操られてA男や他男二人を連れて帰ってきた。あ〜麻衣もヨリにとって用済みだから、殺したのか。
たぶん、ヨリは村の人間と交わり続けて、村人のイケメンと美女好きの血が流れてるんだと思う。同時に村が滅んで欲しいから、生殖機能も奪った。
与蔵としては孫?を逃がしたのかもね。

④義姉と不倫していた中代賢斗も日焼けの子にお菓子を与えて都会への憧れを抱かせ、役目を放棄させた罪?白は与蔵の使い魔?
白は使い魔ではない。中代はヨリの役目を引き受けたけど逃げたので追われた。そのうえで、不倫の件でヨリに殺されたのだと思う。
ヨリにとってイケメンじゃないし、兄嫁を犯すような男は死ね、みたいな。山で会った男=自分(ヨリ)を犯しに来た男は死ねってことかな。
日焼けの子は逆に、中代が来て菓子も与えたからそのまま村から逃げちゃったのかな。

⑤かつての村長一家の子ども達は村から出たがったから罰せられたのか?与蔵は村から一人も逃がしたくなかった?
教授はこの最後の質問だけ正解だと言ってるので、それ以外は不正解だったということだと思う。
与蔵は罰するために殺したわけでない。ヨリが殺し、それを利用しただけ。


鬼門の村だから、方角の話あるかなと思ったけど、少しだけで、北東とかあんま出てこなかったな。もっと読み込めば、家の間取りから北東割り出せるか?






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2026年05月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

山奥の村で実話怪談を整理する高額バイトに臨む大学生。様々な怪談が並ぶ短編集のような構成だが、終盤にそれぞれの怪談とバイトの意味、村の秘密が一つに繋がっていく。

「くしゃっ」「ひいひいひい」といった生々しい音の描写が、恐怖を煽ってくる。不穏な空気や残酷な描写、前作『悲鳴』を彷彿とさせる閉鎖的な村の不気味さは櫛木理宇らしく、単なるホラーでは終わらないストーリーだった。

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2026年05月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

カスの村のカスの行いによる呪い…
もうちょっと倫理観とかないんか…閉鎖的な場所で貧しさと飢餓に苦しむとそんなものはなくなるか〜
ラストは嫌な向きにスカッとしたな

普通に間に挟まる怖い話が村の現実とリンクしてくるのは背筋が寒くなる…今日みたいな暑い日にぴったりだった…

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2026年05月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

淡々と進んでいくけれど、最後の解決編で急加速な感じだった。
櫛木理宇さんは3作目で、人怖系な作品を書かれる方のイメージ。
壊れてしまう人の描写が怖いけれど、その人もただの怖い人ではなくて背景があったんだって見せてくれるというか。そんな印象だった。
最後破滅に向かって突き進むのは、いけないとは思うんだけど。
身勝手な人々に利用されてしまったヨリ達の手をとってくれたことには少しホッとしている自分もいた。

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2026年05月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

こーわー。
怖いけど眠れなくなる怖さとかでなく、ラストが悲しいし村人最悪!となぜだか怒りに変わる。
清玄がどうなるのか、教授の思惑はなんなのか、この村にはこの家には何があるのかと、続きが気になって仕方なかった、
教授の自分が死ぬ時は世界の全てを道連れにしたいというのは、とんでもなく身勝手であなたは何も関係ないじゃんと思うけど、清玄が「知ったことか!ざまあ見ろ」と思うのは、納得してしまった。
私が清玄の立場なら、与蔵の望みは絶対叶えず清玄と同じことするな。

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2026年04月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ある村にまつわる怪談を集め読みながら真相に近づいていく流れなので謎解き感もあって読み進めやすかった。怖さはあまりない。むしろ生きてる人間の方が怖い。真相がわかるとむしろよくやった!と怪異を褒めたくなる。
ラストは清々しい。こんな清々しい読後感のホラー初めて。主人公がこの先の未来で幸せになってくれることを願う。

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2026年06月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

こわくない。
ゾクゾク感がなかったな。

ヨリが不憫でならぬ。
貞子やジョジョthe bookの明里みたいな。

日本の昔の村のしきたりって、結局男性の欲望やエゴによるもんなのかなあ。
たしかにヨリの味方をするわな。

作中、ラジオの投稿がひとつのショートストーリーになっているので、さくさく読めます
ただ、いかんせんゾクゾク感が感じられなかったので、3点ですね。

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2026年05月04日

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