あらすじ
隠遁生活を送るヴェトナム戦争の英雄、伝説的スナイパーのボブ・リー・スワガーのもとにある依頼が舞い込む。新たに開発された銃弾の性能をテストしてほしいというのだ。だが、それはボブを嵌める罠だった。恐るべき陰謀に巻き込まれ、無実の罪を着せられたボブは、FBI捜査官のニックとともに、事件の真相を暴き、陰謀の黒幕に迫る。愛と名誉を守るための闘いが始まる!
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Posted by ブクログ
スティーヴン・ハンターによるボブ・リー・スワガーシリーズ第一弾下巻。
容疑者となったボブとFBIを追放されることになったニックがともに協力しながら自らの無実の証明と自らを窮地に追いやった相手への復讐を果たすために動き出す。
やがてニックはボブの無実を確信し、CIAの汚れ仕事を担ってきた組織の証拠集めを始める。ボブは意外とそこへの執着はなく、ニックはそんなボブの態度に苛立ちを隠せない。
この辺りの二人の描写の上手さ、これが最後の最後に法廷でのボブの公判の際まで効いてくる。なぜボブがこれほどまでに証拠に固執しなかったのかが明かされると、ボブという人の奥深さに改めてハッとさせられるとともに、ますます魅力ある人物としての印象を残す。全てがすっきりと、何も思い残すことなくラストを迎えるあたりも素晴らしい。
Posted by ブクログ
上下巻で読み応えあり。
あまり出回ってなくて、メルカリで手に入れました。
映画の「シューター」の原作で映画の方を先に観ました。アメリカをこよなく愛す、孤独な男の生き様というストーリーで、様々な伏線の中に男のロマンあり、様々な愛の形がありアメリカが一番元気で強かった時代を強く感じた。
シリーズものなので、この後も読んでみたいエンタメ作品。
敵対するものを対決し終わり・・と思いきや、法廷で決着をつけるというその時点から仕掛けていたのかという意外な終わり方で、法的にも完璧。
Posted by ブクログ
このミス海外編2000年版1位。海外編もこの年代になると普通に面白い。この年の2位がボーン・コレクターだし、この先も楽しみ。本作はのちにシリーズ化される第1作目であり、スーパーヒーローが活躍するやつってわかってるので安心して楽しめる。話は比較的わかり易い娯楽大活劇。主役がかっこいいし、魅力的な女性がからんでくる。まあ、最初はちょっととっつきにくいとこあるけど、途中からはグイグイ進む。前半は緻密なロジックでスゲーと思うけど、後半はなんだか雑な感じで大味になってきて、そんなとこブラついてたら殺られてまうでしょとか、ちょっとご都合主義すぎるでしょと思ったりします。それでも、最後に大技がかかるのが爽快。文庫上巻の242頁の「数分間の溶接と、ちょっとした調整ですむことで、少なくとも彼らがなんらかのやり方で自分を利用しようとしたときには身を守る手段にもなる。」を読んだあとしばらくはこの伏線はどこで回収されるのか気になっててたのですが、下巻の最後にはすっかり忘れてました。
Posted by ブクログ
何度も主人公や、その仲間達が死んだと思った…絶体絶命のピンチを全力で跳ね返して立ち向かうの格好いい!
ラスト近く、また終わったと思ったら、もう忘却の彼方にあった某保険が見事に働いて大逆転。痺れたー!
老弁護士も惚れ惚れする仕切りで、大勝利を収めた2人は共に女と幸せになりましたとさ。
めでたしめでたし。
個人的には犬の記述に泣けましたよ…そう、あいつらは健気なんだよ…
Posted by ブクログ
主人公は退役した海兵隊員、ベトナム戦争の英雄ボブ・リー・スワガー。銃を持てば右に出るものなしの天才スナイパーです。
巧妙な罠に嵌ってしまったボブの戦闘を描く、いかにもアメリカ的な、ハリウッド映画さながらのアクション小説。
が、そんじゃそこらのよくあるアメリカンヒーロー物と一緒にしちゃあいけません。
ボブの老練の渋さに痺れて一気読み間違いなしの超ド級のおもしろさ。
高度な頭脳戦も繰り広げられ、単純なドンパチ物ではないのです。
そして、これは徹頭徹尾「銃」の物語でもありました。
銃というものがこれほどまでに哲学的に描かれているのには驚きました。
銃についての薀蓄が満載で分からないながらも楽しい。慎重に事前準備を重ねるボブの仕事っぷりがとても地味なのも意外。
ハリウッド映画のような派手なアクション、弾丸飛び交う展開が満載ながらも、ボブの静かで冷静なプロの姿勢によって、静謐で緊張感ある雰囲気が常に漂います。
脇を固める登場人物たちも素晴らしい。敵も、仲間も、犬や鹿でさえも!
ボブの無実を信じる人々がボブを信じる理由というのが、「あの男が失敗するはずがないから」というのがなんともかっこよかったです。
銃に魅せられた男の、銃による銃の為の銃の物語。
銃という力の象徴に人間の生き様が映る、渋くて熱くて、そして爽やかな大作でした。
ネタバレ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
まさか最後は法廷で決着をつけるとは。
最後の最後も銃で締めるというのが気持ちいい。
最初から無実の証拠を持っていたとなれば、ボブはまさしく汚名返上の為だけに行動していたのだと気付きます。
法廷で惨めな思いをするニックに向けてのボブの破顔一笑にはワクワクしました。