【感想・ネタバレ】42.195kmの科学 マラソン「つま先着地」vs「かかと着地」のレビュー

あらすじ

マラソン歴代記録の上位百傑でケニア、エチオピア以外の国の選手はわずか6人しかいない(2012年7月)。話題の「つま先着地」と共に、心肺機能・血液・アキレス腱など科学的に、その強さにアプローチしていく。

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Posted by ブクログ

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NHKスペシャルの取材を、ベースにマラソン世界記録保持者の身体的特徴を科学的に分析するとともに、彼らの育った環境なども含め、多角的に考察した本。
1km3分弱のスピードで42km走り続けられるようなトップランナーは、そもそも一般人とは体の造りが違うとは思っていたが、最大摂取酸素量が大きいとか乳酸がたまりにくい傾向にあるらしい。
とはいえ、マラソンの身体的な過酷さは半端なく、完走後に血尿が出ることも。世界記録保持者たちが、心理面、体の調子を含め"すべてがパーフェクトでなければ勝てない"と言うのも頷ける。

スポーツの記録は技術の進歩もあってどんどん進化していると思っていたが、マラソンにおける東アフリカ勢の強さは、幼少期から高地で素足で歩き回らなければならないような環境ゆえに、体も作られ、その貧困から抜け出すために必死で練習するといった背景もあるとのこと。
やはり、スポーツも経済的な要素が強く絡んでいるからこその進化であることに、ちょっと複雑な気持ちになった。

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2021年08月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

科学はモノゴトの真理を解き明かすが、その種明かしにより夢が覚める、希望が遠のく、ちょっとそんな感覚を味わった。努力だけではたどり着けない、“才能”という持って生まれたもの、あるいは生まれ育った環境に結果は大きく左右されるという、うっすら感じていたことを科学的調査とデータで裏付けしたという内容。頑張ればフォースの力も身に付けられると一生懸命、机の上の消しゴムに念を送っていた子供時代。でも21世紀になって観た新作では“ミディクロリアン”という血中に含まれるフォースを司る物質の濃淡でその能力が決まるという設定に、なーんだやっぱそうか~と残念に思ったあの感覚に似ている(笑)

NHKの番組放送はダビングしてもらっているのだけど見れていない(今、手元にある機器で再生できないという理由で)けど、その番組内容を丁寧になぞった本書の内容らしい。種明かしの部分は上記の感想だけど、本企画の取材期間が、皇帝ゲブラシラシエがその頂点を極めてから、若き挑戦者マカウに敗れ、そのマカウも五輪代表者に選ばれず、五輪代表のキプサングも本番では後塵を拝したというドラマチックな時期と重なったことが唯一の救い。というか、本書を読む楽しさが残っている気がする。科学で解明できない、気持ちの問題や、本番でのドンデンガエシも、まだこのマラソンという競技には残っているという楽しさ。
あとは、世界記録の2時間切りが、どうやら自分が生きているうちに達成されそうという嬉しい予想。そのころまで自分も元気に走っていれたらと思う。

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2013年05月02日

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