あらすじ
その夜のファーナム家は、のどかで平和な夜を過していた。ファーナム夫妻、息子、娘、娘の友人、そしてハウスボーイまでが楽しい夜の語らいに、トランプに興じていた……ラジオが突然、第三次世界大戦勃発を報じるまでは! 地下の堅牢なシェルターに全員が避難した一瞬後、シェルターは荒波にもまれる船のように揺れ動き、温度は急上昇した。水爆が爆発したのだ! だが、ファーナム家の人々はかろうじて生き残った。やがてシェルターからでたとき、彼らが目にしたのは、死の灰にまみれた廃墟ではなく、思いもかけぬ世界だった……
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Posted by ブクログ
かなり残念な作品。
まず不貞行為が賛美されるのが残念なのと
主人公が暴虐なのよね。
暴虐行為はしないけど
どこかいやな男。
それでもって結局いってはいけない
言葉も言っているんですよね。
(たぶんもとの国ではその部分は*で隠されているはず)
確定である人種を敵に回しています。
結局世界には入り込めませんでした。
Posted by ブクログ
★★★☆☆
積読の棚から文庫本を一冊サルベージしたらハインラインだった。
『自由未来』は核爆弾のショックで未来世界、というかパラレルワールドに飛ばされてしまった数人の男女の話。
科学技術の進んだ未来世界では、イスラム教ベースの宗教が信じられていて、黒人が選民として白人の奴隷を支配している。
冒頭のアメリカ一般家庭の夕べの様子はちょっと退屈なんだけど、異世界に飛ばされた後の主人公ヒューの態度の変化が面白い。
言うことを聞かない息子デュークに銃を突きつけて、言うことを聞かないなら出て行けと迫る。
平時には息子といえど対等に話し合っていたのが、すわ有事となると対応がガラッと変わり、高学歴で弁護士の息子をオロオロさせる。
デュークは嫌なやつだ。
人種差別でエリート主義で、ついでに女性差別もある、アメリカ白人のステレオタイプ。
でも、その考えも強固な信念があってのことではなく、社会一般のものさしにちょっと過剰に適応してしまっているだけで、そう悪人というわけでもない。
逆の意味でいえば黒人のジョーも前半の印象ほど善良なわけではない。
未来世界で選民の黒人として白人の上に立ち、立場が逆転するとジョーはその立場を利用して今までの鬱憤を晴らそうとする。
ヒューが言っているように、世界が不平等なら上にいたいと思うのは、そんなに非難できることではない。
娘のカレンはジョークもわかるいい子だが、結果がかわいそうすぎる。
ちょっと身持ちが悪かったぐらいであんな目に……しかも赤ちゃんまで。
本当に彼女の人生だけは過去を操作して変えてあげたいと心底思う。
ハインラインは右翼的だのナンだのといろいろ批判はあるが、僕は自分の資質が合っているのか、何が問題でそんなに批判されているのかさっぱりわからない。
ハインラインをイデオロギー的に批判している人とはソリが合わないだろうけども、彼が別の作品で書いていた言葉ーー
「人類が発明したものの中で最も偉大なのは政治さ。政治のお陰で僕らは嫌いなヤツらとも共存できるんだ」
ーーを胸に、話しもせずに毛嫌いするのだけはやめようと思う。
Posted by ブクログ
大人のいる「十五少年漂流記」。ソ連からの核攻撃をシェルターでやり過ごした合衆国の一家族のサバイバル。中盤からは、未来社会で生きるタイムスリップSFにがらりと変わった。
冷戦や核戦争、人種についての話題が登場するのも、1960年代に書かれた小説ならでは。前者については、そういう時代だったでスルーすることができても、後者については非常に鼻に付いた。数千年後の未来社会でまで、人種という下らない差別で生き方に差が出るもんか。豊田有恒「モンゴルの残光」でも読んでろ。
ハインラインは合衆国が大好きだね~。主人公のおじさまが「アメリカは歴史のなかで最良の国だ」とか言っちゃうし。ねーよw黒人のハウスボーイを雇っている時点で何かに気付け。
若い頃は美人だった奥様をもつ決断力のある五十代のおじさまが、若い女の子とくっつく話と言っても間違えではないと思う。妻がいるのに若い出戻り女と子供をつくっちゃうし。娘も出戻り女も、若い男性よりおじさまにメロメロ。軍隊経験があり規律を求め皆を先導するおじさまと、弁護士で言論や行動の自由を求め父にちょいちょい口答えする息子が対比されている。おじさまが現代に戻り新しい妻と子供と未来を作っていくのに対し、息子は去勢されて薬による幸福につかる日々を過ごす。おじさまが正しくて息子が間違っていると言わんばかりの仕打ちに萎えた。おじさまが正義!って主張にしか読めない。
合衆国万歳な思想にツッコミどころは沢山あるし、好きだと言える登場人物もいなかったけど、最後まで読めたのは、娯楽性の高かったからだと思う。それとも語りの上手さか、ハインラインがエンターテイナーだからか。今読むと時代を感じるのは確かです。