あらすじ
デンマーク国王が急逝。王子ハムレットが喪に服すなか、父の弟すなわち彼の叔父は早々に母を娶り、王権を引き継いでしまう。ある日、悲嘆に沈む彼の前に父王の亡霊が現れ、自分が弟に暗殺されたことを告げる。復讐を誓ったハムレットは苦悩を重ねながらも、徐々にその実現に近づくに見えたが、しかし、叔父は彼に対しさらなる姦計を仕掛けていた……。シェイクスピア戯曲の真髄を画期的な訳文で現代に甦らせた永遠の名著。訳者自身による詳細を極めた脚注を付す。
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Posted by ブクログ
2021年に個人での完訳を達成した松岡和子による『ちくま文庫版シェイクスピア全集』第1巻。1996年刊行。
あまりにも有名なタイトルなので、以下ネタバレあり。
王子が復讐を誓うところから物語は始まるが単純な復讐譚とはならず、陰謀や不運が重なってまさかの全滅エンド。そこに至るまでの経緯の複雑さと謎の多さ、結末の絶望感のインパクトが深く心に残る。格言めいたセリフが多く、それらを単発で抜き出しても味わい深い。日本語訳ではどうやってもわかりづらい言葉遊びなどもこの翻訳では注釈が詳しいので助かる。
1600年頃に書かれて以後繰り返し上演され続け、日本での翻訳も多数である文学史上の傑作『ハムレット』。シェイクスピアのなかでも最も研究されている作品ということで、自分などではまだまだ読み解けないが、触れる人ごとに汲み取れるものがあるだろうと思う。
Posted by ブクログ
ハムレット自体が面白いというより、
ハムレットにやんややんや言ってる考察の方が面白い。
ハムレット、30歳なのかぁ。
演じること自体がテーマでもあるので、
演劇人にウケそう。
・演じることができず死ぬオフィーリア
・演じないで生き残るホレイショー
Posted by ブクログ
ハムレットは三訳目なのですが、拗らせたものでわたしはハムレットとホレイショーの友情物語だと思って読みました。オフィーリアも確かに悲劇のヒロインなんですが、初っ端の「なぜデンマークに」「いつものサボり癖が」「お前に限ってそれは無い」的なくだりからして二人の信頼関係透けて見えすぎ。そんな二人ですが死に別れ、ホレイショーも後追いを考えたものの「正しく歴史を語り継ぐ」使命を与えられて一人生き残る。ヒロインムーヴが凄い。このテーマだけで読書感想文10枚かける。解釈違い上等ですがこの二人の信頼関係だけで翻訳者ローラーする価値あるよなーと思って今後も読み漁る所存です。
Posted by ブクログ
夜中にあらわれるハムレット王の亡霊。ハムレット王亡き後その弟クローディアスと結婚した王妃ガートルード。王の亡霊から死の真相を聞かされるハムレット王子。気がふれたふりをして王と王妃の様子をうかがうハムレット。ハムレットが呼び寄せた演劇団。再婚に関する台詞。母を責め母の部屋で様子をうかがっていた大臣ボローニアスを殺害するハムレット。事件をもみ消すためにハムレットをイギリスに送るクローディアス。イギリスに行く途中に海賊に襲われ帰国したハムレット。ボーローニアスの死で気がふれ自殺した娘オフィーリア。息子レアティースの復讐。墓場での会話。王宮での決闘。
Posted by ブクログ
ハムレットの孤独と悲劇が胸に苦しく残る。
とにかく、ハムレットがずっと一人ぼっちなのが気になった。父親の亡霊から復讐をとげろと命じられるのも辛いし、母親はその場の空気に流されやすくハムレットのことをあまり考えていないように見える。叔父のクローディアスはハムレットの暗殺を命じ、学友とされるローゼンクランツとギルデンスターンも、友とは名ばかりであっさり暗殺の命を実行にうつそうとする。孤独は深まり続け、最終的には唯一の友であるホレイショーの制止も振り切って悲劇の試合に身を投じていく。
「前兆なんか気にしてはいられない。雀一羽落ちるにも天の摂理が働いている。いま来るなら、あとには来ない。あとで来ないなら、いま来るだろう。いま来なくても、いずれは来る。覚悟がすべてだ。生き残した人生のことなど誰に何が分かる。」
と述べて復讐の実行を決断し行動にうつしたハムレット。その結果により死を迎えてはじめて、ホレイショーとも、レアティーズとも、フォーティンブラスとも距離が近づいていると感じられるのが皮肉だなあ。
途中まで、ハムレットは正気でありつつ狂ったふりをしていると解釈して読んでいたけど、読み終わって改めて振り返ると、「正気でありつつ狂ったふりをしていると思い込む形で狂っている」のでは?という気がしてきている。謎めいた光をはなつ黒い宝石のような作品だった。いつか舞台も観てみたいなあ。
Posted by ブクログ
悲劇ではある。
なにが悲劇か、それは登場人物それぞれに救いがないこともそうだが、この物語の観客の心が救われないところが悲劇だ。
当時ハムレットは正義として捉えられただろうか。クローディアスにも正義があるという悲劇、こういうことはどの国、どの時代にもあるということそれ自体は正面から見据えなければいけない。
それにしてもハムレットはクローディアスをさっさと殺せばいいのに、グズグズしてローゼンクランツ、ギルデンスターン、ボローニアスらは殺されるほど悪いことはしていないにも関わらず、無慈悲に殺されてまう。
クローディアスをハムレットに殺させないことにこの物語の味わいがあると思う。
Posted by ブクログ
意外と読みやすかったし、現代でも共感できるセリフも多かった。言葉遊びも楽しい。舞台で見るとより面白さが分かるのかな?オフィーリアの狂うシーンや亡くなるシーンが無いのが意外。後者は舞台で表現が難しいのかもしれないけど、それなりに劇的なシーンだろうと思うのに。
そこはポイントではないのかしら。
他シェイクスピアの作品も読んでみたい。