あらすじ
生物も住めぬ死の海に浮かぶ十八諸島。〈語り部〉たちが島々を巡り集めた物語を語り明かすため、年に一度、冬至の晩に開かれる煌夜祭(こうやさい)。今年もまた、〈語り部〉が語り始める。人を喰らう恐ろしくも美しい魔物の物語を。夜が更けるにつれ、物語は秘められた闇へ……。第2回C★NOVELS大賞受賞作に書き下ろし短篇「遍歴(ピルグリム)」を収録。
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酸の海に浮かぶ十八の島。その一つの島で語り部たちが魔物の物語を語り明かす煌夜祭が開かれます。ストーリーは彼らによる語りで進みますが、その一つ一つが胸の奥にジンとくる魅力があり、どんどんのめり込んでしまいます。話が進むにつれ全てのエピソードが見事に繋がっていくなど、構成力が抜群にうまい!人を食う業を負った魔物の苦悩、それを取り巻く人々の悲劇、そして葛藤しながらも懸命に進み続け、その先に待つ救い…。読了後、思わず目を閉じ、しばし余韻に浸ってしまいました。著者の他の作品も読んでみたいと感じる人は私も含め少なくないはずです。この本と出会えた偶然と生みの親である著者に感謝します!
本作には書き下ろし短編も収録。過去に読んだ事がある方にもぜひ読んでいただきたいです。別途配信中の外伝『煌夜祭前夜』もおすすめです。ぜひぜひ煌夜祭へのご参加を!
追伸:著者あとがきには個人的に非常に力づけられました。ありがとうございます!
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Posted by ブクログ
とても良かった、愛のお話だ
人を食べていくことで、記憶を受け継いでいく、人を食べるという魔物の行為を、「愛」と呼ぶ、儚くて綺麗
たしかに、私ももし自分が死ぬとして、私の愛する人が魔物だとしたら、その魔物に食べてもらいたいと思う。私の感情も想いも全部その人の中に溶け合うなんて、なんて素敵
Posted by ブクログ
物語の世界観に引き込まれた。
まるで千夜一夜物語のように次の話は?物語の繋がりがあるのだろうか?気になって時間を忘れて読み耽ってしまった。
Posted by ブクログ
著者初読。楽しみにしていた多崎先生!序盤からすんなり世界観に没入出来て自分でもビックリ。語り部と呼ばれる人達が一年に一度、人間を食べてしまう魔物を鎮めるために、冬至の日に集まって夜通し持ちネタを披露する話。これはメモを取りながら再読したいくらい面白かった!読み進める毎に魔物への認識が少しずつ変わっていく。なぜ魔物が生まれるのか?どうやら人間達の争いが原因となっていそうな雰囲気。切っても刺しても死なない魔物。語り継がれる記憶。この物語との出会いは下半期No.1の衝撃かもしれない。まだ始まったばっかりだけど
Posted by ブクログ
読み終わってからしばらく経った今でも混乱してる
先入観は排除しないと
舞台設定が回転する島々というのがまさにファンタジーで好きだった
島名が島主の名前に入るのは、レーエンデでも踏襲されてて何やら嬉しい
語り部のことを詮索したり無碍に扱ったりするのは良くないという共通認識があるのもまたファンタジーで面白い
これがデビュー作とは、恐れ入る
Posted by ブクログ
ファンタジー小説で、しかも、この厚さでこんなにも濃縮された物語が繰り広げられるなんて、正直予想外でした!
個人的にファンタジーというと、やはり…
「その世界に没入できるか?」
「何か心に残ること、言葉、考え方等があるのか」
が評価基準になるのですが、もうオールクリアでした。
人間の愚かさ、醜さもあれば、人間の優しさ、愛なんかも描かれていて、その対比に心を揺り動かされるのです。
「なんで人間って…」何度思ったことでしょう。
何度恥ずかしく思ったでしょう…。
その世界の住人になったくらい、没入してしまいます。
なんとなく選んだ『煌夜祭』でしたが、何度も読み返したくなるほど大満足です!
胸に迫る語り部の物語
冬の夜長に静かにお話を聞くように、冬至に開かれる煌夜祭では夜通し語り部が物語を紡いでいく。冬至の夜は人を食う魔物が出る。魔物は面白い話をしている間は人を食べない。
そんな煌夜祭の夜の場面に話がかたられ始める。語り部は誰なのか、語られる話とは。
話が紡がれていく中で徐々に語り部のことや魔物のことが解き明かされていく。
そこに人の歴史と贖罪、魔物がいる意味が織り込まれている。
償いの意味を考えた。
Posted by ブクログ
電子書籍で読みました。
とても読みやすく、自分的にはあっという間に読み終わりました。
2人の語り部的な人が物語を交互に話し、それが最後に繋がるみたいな内容。
登場人物の名前とどんな人かをちゃんと覚えていたら、もっと面白かっただろうなと思いました。
個々の物語が面白かったので、十分楽しめました。
Posted by ブクログ
読んでいて楽しかった。人と魔物がいる世界にどっぷりと浸かることができた。
どれも切なくて温かい話だった。人の想いが、消えることのない炎のように燃え続けているようだった。
人も魔物も分け隔てなく記憶と想いを持っていた。
それを語り部が受け継いでいく。その姿に何とも言えない尊敬のような感情をおぼえた。語り継がなくてはならないという使命感のようなものを語り部から感じた。