あらすじ
累計350万部超!
大人気ファンタジーが新たな装いで開幕
装画・岩本ゼロゴ
■読み始めたらとまらない圧倒的な面白さ!
〈 軍を解散せよ、さもなくば――。
卑劣な脅迫に苦悩する国王軍は、
少女の人智を超えた力に望みを託す 〉
緒戦勝利で沸く兵士たちに比して、
国王の陣営は重く沈んでいた。
国王の養父・フェルナン伯爵を人質に、
改革派が卑劣な脅迫に出たのである。
ウォルは苦渋のすえ、“バルドウの娘”リィに
ひとすじの望みを託す。
それは、少女が難攻不落のコーラル城に侵入し、
伯爵を救出するという前代未聞の作戦だった。
■各界から推薦の声が続々!
明日を生き抜く力を与えてくれる作品。
うちの本棚には茅田さんの本が全巻揃っています。
村山由佳さん(作家)
寝ても覚めても、デルフィニアにいた。
物語の世界から戻れなかった。
凄まじい魅力を秘めた物語だ。
町田そのこさん(作家)
無我夢中で「デル戦」を読み通した時間は、
私の人生で、まばゆく輝く宝物です。
今からリィとウォルに出会える人がうらやましい!
ひらりささん(文筆家)
※本書は2019年3月に刊行された『デルフィニア戦記Ⅰ 特装版』「放浪の戦士3」を底本としています。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
デルフィニア戦記 第Ⅰ部 放浪の戦士3を読み終えたとき、胸に残ったのは単なる物語の余韻ではなく、“王とは何か、人とは何か”という問いそのものだった。本巻は重い局面を描きながら、その重さを真正面から受け止めることで、物語に一層の深みを与えている。
物語の軸となる出来事は、これまで築き上げてきた関係や信頼を容赦なく試すものだ。読者としても予感してしまう展開が現実のものとなる過程は決して心地よいものではない。しかし、その“避けられなさ”こそが戦記としてのリアリティを支え、作品世界に揺るぎない説得力をもたらしている。優しさや理想だけでは乗り越えられない局面に直面したとき、人は何を選び取るのか。本巻はその問いを静かに、しかし鋭く突きつけてくる。
とりわけ印象的なのは、ウォルの内面の揺らぎである。王としての責務と、一人の人間としての感情との狭間で苦悩する姿は、これまでの彼の像を大きく更新する。決断することの重み、守るべきものの多さ、そのすべてを引き受けながらなお前に進もうとする姿は、理想化された英雄ではなく、“選び続ける者”としての王の在り方を示しているように思える。
その一方で、リィの存在は鮮やかな対照を成している。揺らぐことなく状況を見据え、必要な行動を選び取る彼女の強さは、単なる冷静さにとどまらず、他者を支える意志の強さとして際立っている。ウォルが背負う重さを理解しながら、それでも隣に立ち続けるその姿は、物語に確かな軸を与えている。
本巻の魅力は、単に過酷な展開にあるのではない。その過酷さの中でこそ浮かび上がる人間の意志、関係の強度、そして未来へ進もうとする力にある。失われるものがあるからこそ、守り抜こうとするものの価値が際立つ。その構造が、読後に深い余韻をもたらしている。
読み終えたあと、物語は決して軽やかには閉じない。むしろ、登場人物たちと同じように、読者自身も何かを抱えたまま次へ進むことになる。しかしその重みこそが、この作品の誠実さであり、強さなのだろう。