あらすじ
羊使いのサンチャゴは、彼を待つ宝が隠されているという夢を信じ、アフリカの砂漠を越えピラミッドを目指す。様々な出会いと別れを経験し、少年は人生の知恵を学んでゆく――。
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Posted by ブクログ
現代版「星の王子様」と言うキャッチコピーが納得の内容。今の連続が未来へ続く、だから今に集中して生きなさい。との文には、ハッとさせられました。
少年が、怖がらずに全てを捨てて旅をするさまに、憧れつつも嫉妬してしまう、もっと若い時分に出会いたかった物語でした。
Posted by ブクログ
どんな年齢の人にも届く物語だと思った。
もう旅を終わらせてもいいのではと思う瞬間が沢山あって、実際に諦めた人も居て、、
この子でなければ物語は成立しなかったなと思った。
そして、諦めないよう背中を押してくれる人達がいて、きちんとその想いを汲んで歩みを進める姿が素敵だった。
宝物を見つけ、夢を叶える瞬間は案外あっさりしていて、最後の最後はファティマへの想いで完結。
生きやすい道を選んできた自分にとっては、
距離が掴めないくらいとても綺麗な物語だなと思いました。
Posted by ブクログ
なんて哲学的な話なんだ...
表向きは少年が見た夢を現実にすべくエジプトのピラミッドまで宝物を探しに行く冒険譚だけど、中身は人生、運命、愛、世界、そして神について語っている哲学書だった。翻訳が直訳っぽいからわかりにくくなっているのか、それとも自分の読解力が足りないからか(恐らくどっちも)理解できていない事柄が多いと思う...。
「愛」とか「大いなる魂」「大いなる作業」といった単語の定義がとても難しい。色々なシーンにバラバラと散りばめられているからでもあるけど、私が一番読解に苦しんだのが、少年が砂漠と風と太陽と会話するシーン。その中で「愛」の定義について語っているのだけど、少年は砂漠に「愛とはなんだ?」と尋ねられ「(略)はやぶさを養うためです。そしてはやぶさは人を養います。そして、人はあなたの砂を養い、そこに再び獲物が育ちます。それが世界の成り立ちなのです。(中略)それが愛というものです。それは獲物をはやぶさにし、はやぶさを人にし、人を今度は砂漠にするものです。それは鉛を金に変え、金を地球に戻すものなのです」(p.172) と答える。これを元に考えると、「愛」とは「世界の成り立ち」、「サークルオブライフ」的なものと捉えることができるけど、その前に少年がファティマと出会うシーンで愛について次のように語っている「(中略)彼は世界中でわ話されていることばの最も重要な部分ー地球上のすべての人が心で理解できることばーを学んだのだった。それ愛だった。それは人類よりももっと古く、砂漠よりもっと昔からあるものだった。そらは二人の人間の目が合った時にいつでも流れる力であり、この井戸のそばの二人の間に流れた力だった」(p.110)。つまり、愛とは言葉であり二人の人間の間に流れる力でもある??このシーンの直後に本書で度々出てくるキーワード「マクトゥーブ」(アラビア語で「それは書いてある」という意味)が少年の頭を過ぎる。色々掛け合わせると、愛は「運命」ってことなのか...?
また、本書では「すべては一つ」ということも繰り返し言われている。つまり、「愛」も「夢」も全て神によって書かれている、すでに決められた運命ということなのか??
全ては「すべてを書いた手」によって書かれていて、太陽も風も我々人間もその書かれていることを「前兆」を読み取り解釈しなければならない。その理由となりうるものとして、本書では次のように書かれている: 「(中略)この手だけが奇蹟を起こして、海を砂漠に変え、あるいは人を風に変えることができた。なぜなら、六日間の天地創造が大いなる作業に進化するまで宇宙を動かしてきたのは、より大きな意志であることを、その手だけが理解していたからだった」(p.181)。ここの「大きな意志」が何かよくわからない!そしてでました「大いなる作業」。これは「大いなる魂」(「地球上にあるすべてのものを理解させてくれる」もの、「すべてのものが意思を通じ合うためのことば」(p.95))を発見するためのもので、「賢者の石」と「不老不死の霊薬」から成る、と説明がイギリス人からある。しかしその後錬金術師から「大いなる作業」はエメラルド・タブレット」に書かれてあり、その内容とは「大いなる魂への直接の通路」だという説明もある。「賢人は、この自然の世界は単なるまぼろしで、天国の写しにすぎないと言っている。この世が存在しているということは、ただ単に、完全なる世界が存在するという証拠にすぎないのだ。目に見えるものを通して、人間が霊的な教えと神の知恵のすばらしさを理解するために、神はこの世界を作られたのだ。それが、行動を通して学ぶとわしが言ったことなのだよ(p.150)」。行動を通して学ぶ、それはつまり運命に従い前兆を追い、神の創造である世界の素晴らしさを知る...。それが大いなる作業ということ??それはつまり鉛を金に変えることが錬金術なのではなく、世界に存在しているもの全てがこの世界を成り立たせていることを理解し、個人としてはその時世界に求められているものに(前兆に従い)変わっていき、運命を動かしていくということなのか...??
「大いなる魂」については、こんなセリフもある:
「心はすべてを知っている。それは大いなる魂から来て、いつか、そこへ戻ってゆくものだからだ(p.151)」。
「少年は大いなる魂に到達し、それが神の一部であることを知った。そして、神の魂はまた彼自身の魂であることを悟った。そして、一人の少年が、彼自身が、奇蹟を起こすことができると、知ったのだった(p.181)」。
つまり「大いなる魂」とは「神の一部」、いわばこの世界そのもので、神は人間の心の中にいる、ということなのだろうか。やはり「すべては一つ」。自分の魂は神の魂であり、神が創ったこの世界と運命は自分が前兆に従い行動することで創っていくものでもある...ということか...??
難しい...本当に単純化してしまうと「自分の夢を叶えるために諦めずに努力する」っていう物語なのかもしれないけど、こんだけいろんな単語が出てくるより深く考えたくなってしまう!でもこんなに色々考えることは錬金術師たちがやっていることと同じで実は単純な物事を不必要に複雑化しているだけなのだろうか...。自己啓発的な内容というより、信仰心?ではないけど宗教的な考え?が強いと感じた本だった。神は頻繁に出てくるけど、宗教でもないのか?やはり哲学的?
物語を読んだ感想としては(ここまで長く色々書きすぎ)、私は神という存在は信じてないけど、人生はすべて決められてるんじゃないかと思っているから共感できるところが多かった。自分も夢を追っている身だし、3度も一文無しになっても周りから助けられ、時間をかけながら最終的に夢を叶える少年に勇気づけられた。焦ってはいけない、恐れてはいけない、って言うのも、なかなか夢が叶わずもがいている人たちに響くメッセージなのではないか。最後、「お前の宝物のある場所に、お前の心もある(p.189)と錬金術師に少年は言われたけど、結局宝物が本当に眠っていたのは羊飼いをしていたころに訪れたスペインの教会のイチジクの木の下だと考えると、彼の心はスペインにあったのだろうか、とかも考えた。彼の元々の夢は羊飼いになることだったし。でも最後ファティマと再会するためにアフリカの砂漠に戻る決意も見えるし、彼の心はオアシスにあるのか...?
英語で読んだら色々とクリアになるのだろうか。日本語訳では「大いなる作業」「大いなる魂」と訳されてる言葉も英語ではなんなのだろう?気になる。
スペインとアフリカの人生観についても不勉強だから気になる。最近、アフリカの哲学で「未来は存在しない、存在するのは過去と現在のみで、時間は未来に進んでいるのではなく過去に進んでいる」という考え方を聞いたばかりだったから、余計気になる。
知らないことばっかりだなー!!めっちゃ考えるきっかけをくれた本。読んでて面白かった!