あらすじ
山深き寒村で、大学生の種田静馬は、少女の首切り事件に巻き込まれる。犯人の罠により殺人犯と疑われた静馬を見事な推理で救った、隻眼(せきがん)の少女探偵・御陵みかげ。静馬は助手見習いとして、みかげとともに事件の謎に挑む。みかげは父を失いながらも難事件を解決するが、18年後に同じ村で再び惨劇が……。本格ミステリ界のグラディエーターが放つ、超絶の問題作登場! 日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞をダブル受賞した、超絶ミステリの決定版!
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Posted by ブクログ
いやーかなり衝撃でしたね。
探偵が実は犯人でしたというパターンはいくつか読みましたが、この作品は特にインパクトが強かったです。
静馬と同じように完全に欺かれていました。
そして巻き込まれた琴折家が可哀想すぎます。
3代目みかげがとてもいい子だということだけが救いですね。
Posted by ブクログ
1部がちょっと長かったなぁ。名探偵と名乗るわりに殺人は食い止められないし、推理も荒削りなみかげにイラっとして、400ページもあるし(単行本)これは期待外れ…と思ったら2部では全部をひっくり返す驚きの展開!
1部はこの為にあったのか!
それでもやっぱり長かったです…
Posted by ブクログ
物語の序盤で犯人は登場しているもの、そう思いながら注意深く読み進めた。二代目みかげの推理は一見もっともらしいけど、オーラを感じない。たしかに鋭いけど、読者に刺さらない。
春夏秋父とポンポン殺されて、それはみかげの力が足りないから?そして種田と?その後別の恋愛?最後は犯人の道連れ?
何もかも腑に落ちなさすぎる!
これはわざとそういうふうに演出しているなと気付く。
琴折に感情移入できる家人もいないし、犯人は誰かなんてどうでもよくなった。腑に落ちなさの答えを探して読み進める。
答え合わせに至り、ようやく納得。振り返れば、違和感はつねに二代目みかげにまとわりついていた。そういうことだったのか。なるほど、絶妙な演出だった。
読後感は、良くはない。琴折家の姉妹が可哀想すぎた。好きになれる人物がいなかった。オコジョの活躍と腹話術はどう受け止めたらいいのか分からなかった。
Posted by ブクログ
麻耶雄嵩さんはこれで2冊目でした。腹話術の下りは強引すぎるかなと思ったけれど、面白かった!なんとなくみかげが某作品の天才っぽかったから娘も殺されるのかと思ったけど。そこだけが救いかな
Posted by ブクログ
麻耶雄嵩は,文章が読みやすく,えぐい話が多いので,かなり好きな作家のひとり。「隻眼の少女」は,日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞をダブル受賞した作品ということで,読む前から期待が高まる。
内容は,二部構成になっている。
第一部は,1985年の冬に起こった連続殺人事件を二代目御陵みかげが解決する話。
第二部は,2003年の冬に起こった殺人事件を三代目御陵みかげが解決する話。
いずれの事件の真犯人は二代目御陵みかげ。1985年の事件は,自らの目を2歳のときに抉ったという父を殺害するために,カモフラージュとして琴折家の人間を殺害していく。自らの探偵としてのデビューという位置づけでもあったので,ダミーの犯人としてスガルという被害者の母親を用意するという鬼畜ぶり。
2003年の事件は,1985年の事件で,子どもを作るために利用した自殺志願者の種田静馬という男が生きていることが分かったので,三代目には父はいらないという理由で殺害を計画するというもの。またまた,カモフラージュのために琴折家の人間を殺害する。
種田静馬の視点から見ていると,二代目御陵みかげの手のひらの上で踊らされているという,非常に救いのない話にみえるが,みかげは静馬のことを本当に好きだったとも取れる描写もある。最後は,娘である三代目御陵みかげとともに生きていくというハッピーエンド。そこまで救いがない話ではないか。
どちらかというと,ハッピーエンドで終わらない方が,麻耶雄嵩らしく好みの作品になったと思うが,世間的な評判はハッピーエンドの方がよくなるのかな。
作品全体の雰囲気は好きだけど,最後が、ハッピーエンドだったところが個人的に気に入らないので評価としては★3で。
他のレビューでもちょっと書かれているが、トリックの暴露に無理があり過ぎる。
死んだ人間を生きているように見せるトリックが、動物を操って死体を動かして腹話術で死体がしゃべっているように見せかけていた・・・・いや、無理やろ。腹話術している犯人のすぐ隣にいたのに気づかない主人公は、頭がおかしいのだろうか?
他にも、とある女性キャラクターが、岩の上に座っている主人公の姿が格好良かったという理由で一目惚れしたり、無実の男が警察にちょっと責められただけで自分がやったんだと催眠状態に陥ってやってもいない犯行を自供したり・・・・。さらに、犯人が無差別連続殺人鬼になった理由もすごく無理がある。
小説全体として、作者が考え付いた展開に(整合性やキャラの心理描写とかは完全に無視して)無理矢理持って行ってる感じがあって、とにかくいろいろ破綻している。一昔前のご都合主義ラノベみたいなストーリーだった(実際この小説が出たのはご都合主義ラノベの全盛期だったので、作者はそういうのを意識して小説を書いたのかもしれないが)
余談だが、こんなご都合主義推理(?)小説がもてはやされて、他のまともな推理小説が日の目を見ないのは納得がいかない。日本の小説界が衰退の一途をたどっているのは、こういう変な小説ばかりが推されて、他のまともな作品が世間に紹介されないからではないだろうか?(ちなみに海外では小説は今も人気のジャンルで、市場は昔からあまり衰退していないらしい) 実際私も子供のころ、賞を取って推薦されていたとある有名小説を読んだが、まったくおもしろくなくてその後数年間小説は一切読まなかった。しかし、出張移動の時間つぶしに気まぐれに読んだ無名の小説がおもしろかったので、その後それなりに小説を読むようになった。