あらすじ
これまでサービスで大成功を収めてきた経営者は、ほとんどが天才であった。しかし、サービスの論理が明確になれば、誰でも一流のサービス企業を実現し、仕組みによる顧客満足の向上が可能である。見えないサービスの改善には、サービスサイエンスが力を発揮する。分類、分解、モデル化の手順で迫れば、問題点や改善点が見え、目指すべきサービスの姿が明らかになる。
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Posted by ブクログ
「いまや、すべての企業はサービス業である!」をキーワードに、サービスマネジメントの神髄を語る。
たとえ製造業であってもハードウェアに差異が見受けられなくなってきた現在、顧客に支持されるにはアフターサービスなどの「サービス」で顧客満足度を向上させることが肝要である。
そのようなサービスをマネジメントするための秘訣を多数記述しているのが本書である。
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メモ:
■サービスによる顧客満足度を向上させるには、顧客の期待を知ることからはじまる
“日本の企業文化は、つくづく製造業文化であることを強く感じさせられる。(…中略…)いい商品(サービス)を作れば売れると考えている企業が多く、いい商品(サービス)作りが何よりも優先されている。
しかし、サービスはハードウェア製品と比較すると、お客様の期待される内容がさまざまなため、いいサービスだと思ったことが余計なお世話になってしまうことも少なくない。サービスは何といっても、お客様が何を期待されているかを理解することから始まる。” (北城恪太郎[監修], 諏訪良武(2009)「顧客はサービスを買っている 顧客満足向上の鍵を握る事前期待のマネジメント」(ダイヤモンド社) P.6)
■サービスによる顧客満足度を向上させるには、従業員満足度が必要
“サービス業が成功するためには、何といってもお客様に満足していただくことが必要である。そのためには、その前提となる従業員満足(ES)を高めなければならない。” (同前掲書 P.4)
■サービスをプロセスに分解すると、サービスの改善点が見えてくる
“サービスの評価は、この成果だけでは決まらない。このサービスの提供を受ける際のプロセスがどうだったかが大きな評価要素になる” (同前掲書 P.54)
■サービス品質
“サービス品質は、(…中略…)「正確性」「迅速性」「柔軟性」「共感性」「安心性」「好印象」の6つの評価軸で管理していくべきである”(同前掲書 P.56)
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自分の業務は改めてサービスだなと感じた。そして重要なのは、お客様の事前期待の把握。自分で当てはまったのは、スピード対応をしまくって期待値をあげにあげすぎていき、何かあったら時に期待値が下がる。水準に戻すという意識と、自分で無理なら営業にお願いして連携しながら、常に調整し続ける必要があるなと感じた。また引き継ぎも同様なことが言える。
あとは、プロマネの仕事を分解してサービスメニューにするのはよいなと思った。管理費一式ではなく、要素を分けて見せる。代理店の領域ではあることだと感じた。メニューにすることで、ある程度サービス定義がされるため、お客様との認識のズレが起きにくく、またお金も追加でもらいやすい。
最後に顧客満足向上には、失点をなくすか、得点をふやすか、また、人による満足度を上げるか、仕組みによる満足度をの視点は良かった。属人化する傾向にあるため、やはり仕組みに落としていきたい。またプロジェクト概要、業務フロー、単価表や管理表の統一や更新は絶えず続けようと思った。
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サービス業をしている人は、一度読むべき本
以下は学びのポイントになる部分を箇条書きで
・サービスを因数分解する p53
コアサービス、付帯サービス、臨機応変サービス
・サービスの評価は、成果とプロセスで決まる p55
・サービス品質を分解 p57
・サービスには、形がない p83
・生産と消費が同時 p83
・サービスは在庫も出荷検査もできない p85
・サービスは製品より個別化要求が強い p87
・サービスはお客様と共同生産 p90
・成功しているサービス業の4プロセス p94
・顧客はサービス提供者のプロセスが見えると安心 p97
・サービスか余計なお世話かは事前期待次第 p102
Posted by ブクログ
以前、永井孝尚さんにご推薦頂いた本です。長い積ん読を経てやっと読み終わりました^^;
本書、『顧客はサービスを買っている』は副題として「顧客満足向上の鍵を握る事前期待のマネジメント」として日本IBM株式会社最高顧問(出版当時)の北城格太郎氏が監修し、オムロンフィールドエンジニアリングをNHKの『プロジェクトX』に取り上げられる程に全社改革を成功させた諏訪良武氏が綴ったサービスサイエンスの啓蒙書だ。
サイエンスと名が付くようにサービスのプロセス、品質評価そして事前期待を徹底的に分解しモデル化を行い、それらを従業員に情報転写(教育)を行い現場の品質を測定しフィードバックを行うのだ。そして何よりもそれらの見える化がオムロンフィールドエンジニアリングを成功に導いたと説く。
品質の評価は、正確性、迅速性、柔軟性、共感性、安心感、好印象であり、ユーザの事前期待なら大きくは四つの要素として、事前期待の内容、事前期待の持ち方、ユーザの属性、ユーザのサービスへの係わり方、となり、更に、事前期待の内容は、サービスメニュー、サービス品質、事前期待の持ち方は、共通的な事前期待、個別的な事前期待、状況で変化する事前期待、潜在的な事前期待に分けられる。
例えば、状況で変化する事前期待であれば、いかに顧客の気持ちを理解して提案するかが重要でありマニュアル化は難しい、これらは共感性や柔軟性など日頃からヒューマンスキルを養っておく必要がありそうですがプログラマ/SE等は苦手なところだ、地道にコミュニケーション励む必要がありそうです。また、見える化で顧客の信頼を得やすいとのことですが、これは企業も透明性を持つべきといったザッカバーグ氏の言葉と重なります。やっぱりここでもソーシャルメディアの活用が重要になって来そうですね。
Posted by ブクログ
「サービス」についてのリファレンスモデル(フレームワーク)として使える本。
・アプローチ→サービス×サイエンス
・特筆点→マーケティングの手法として「事前期待」でセグメンテーションする考え方
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サービス業は、日本のGDPの70%を生み出しているそうです。にもかかわらず、サービス業のビジネスプロセスを論理的に著した書籍って少ない・・・。与信管理も、会計も、債権回収も、能力開発も、製造業の事例がほとんど。しかし、「サービスサイエンス」という名称で、その研究分野は静かに産声を上げていました。現時点では、サービス分析のための分類・分解・モデル化といった手法が整備されたばかりで、これをサービス改善に活かしていく取り組みは、これからという状況のようです。
例えば、「サービスは出荷検査できないから、均一な品質を保つことが難しい」という著者の指摘から、出荷検査に代わるサービス品質検査の方法を考えてみたり、「お客様を個別の要求に応じてセグメント化し、サービス内容を決める」という著者の主張から、「窓口担当と商品担当に分かれるSIerの営業のように、お客様の要求に応じて営業組織をセグメント化するという方法はないのか?」などと考えてみたりするための分析手法がまとめられています。人材紹介サービスにおいて、サービス品質向上のためにスタッフが犠牲にする、時間担保的な、気の遠くなるようなサービス接点の生産性を向上させるためのヒントも、見つかるかもしれません。
Posted by ブクログ
サービスに対する科学的アプローチを解説した書籍。
サービスとはどういうものか?
顧客満足には2つのフェーズがある。
ディズニーランドのサービス手法
サービスを細かくセグメント化する
と色々サービスについての素晴らしい視点、アイデアがたくさんあります。
モノを作れば売れた時代はもう終わりました。
今後はサービスの時代。そのサービスの特性を以下に把握し、競合他社に打ち勝つかを考えるとき!
良書です!
Posted by ブクログ
サービスを科学する、という試み。分類、分解し、整理して仮説をたてる。これらが可視化されることで共有できるし、改善していくこともできる。科学として完成された結果を共有している本というより、こんな視点をもち、分析していくことの価値を共有しているため、自分の業務に応用しやすい。
Posted by ブクログ
○製造業で製品設計情報を作成していないという会社はないが、サービス業の多くは実はサービス設計の専門知識を持っていない。(71p)
○トップ企業がこのようなサービスを提供し始めると、ユーザーはこのレベルのサービスを当たり前のように期待することになる。そうすると2番目以下の企業はお客様の事前期待に応えることができないため、顧客満足を下げることになってしまう。(137p)
○「仕組みによる顧客満足の向上」という努力の仕方がある(142p)
★著者はオムロンフィールドエンジニアリング責任者。非常に実践的である。
Posted by ブクログ
サービスをサイエンスとして捉え、サービスの特性の抽象化・構造化を「試みた」1冊。
従って必ずしも一定の解があるわけではなく、自分たちで自分なりの解を見出して行くために、著者の試行錯誤を知り・学び・参考にする上で貴重かつ有用な1冊だと思います。
個人的にはかなり参考になった半面、一部同意しかねる箇所もあったため-1の評価にしておりますが、特に自社の「サービス」の付加価値をどのように高めていくかに問題意識を持っている方には読んで損のない本だと思います。
Posted by ブクログ
サービスの分解の仕方が載っている。それがとても興味深い。
経済産業省のホームページから現存するサービス業は450種ほど。それをおおまかに、「モノ提供サービス」「情報提供サービス」「快適提供サービス」の3つに、その中で細かくさらに21個の基本メニューでサービス業を分類できたとの事。
また、提供するサービスの型を対立項として考えると、サービスの考察が深まる項は以下の10に絞られた。
①「手順型サービス」と「気づき型サービス」
②「ロースキル型サービス」と「ハイスキル型サービス」
③「個人型サービス」と「組織型サービス」
④「お客様受け身型サービス」と「お客様参加型サービス」
⑤「当たり前サービス」と「期待度大サービス」
⑥「リピートサービス」と「その都度サービス」
⑦「パブリックサービス」と「会員制サービス」
⑧「自分でできるサービス」と「自分でできないサービス」
⑨「実務サービス」と「感動サービス」
⑩「実務サービス」と「自己実現サービス」
である。
自分の業種のサービスがどれに当たるかを考え、対立項のサービスと比較して、何を求められるか、、と思考が深まる。
さて、サービスの分解であるが、まずプロセスで分解するのが基本である。レストランであれば、
①お客様のお迎えと席への案内。
②メニューを渡し、注文を受ける。
③飲み物や料理を提供する。
④料金を頂き、お見送りする。
となる。そして、それぞれに品質の評価軸6つ(正確性・迅速性・柔軟性・共感性・安心感・好印象)の内、どれが重視されるかを考えていく。
小売店の顧客満足評価で最も不満を顧客に与えるのは、「店員が無愛想」だそうである。なので、上記レストランのサービスフローであれば、
①迅速性・共感性・好印象
②正確性・共感性・好印象
③共感性・好印象
④正確性・共感性・好印象
が高級レストランでは重要となる。
逆に定食店などでは、正確性と迅速性が必要となろう。
サービスは形が無いため、デモンストレーション、他の製品との比較、が難しく、提供する側も提供される側も、満足度や期待がすぐに変わってしまうのである。特に顧客は形の無いサービスをどのように評価したら良いか、明確な指針を持つのが難しい。なので、事前期待をマネジメントして、とても素晴らしいサービスであると思わせる事が必要なのだ。
他にも、
・製造業は秒単位でラインを管理しているのに、サービス業は良くて「時間」、ものによっては「日」単位である。つまり、1日以内のロスは問題にされない。
・米国で病院のクレーム解決の満足度を計ったところ、当日内なら90%、翌日内なら80%以上だったが、2日目以降だと30%程度に下がり、日数が経過してもあまり満足度が変わらない事が分かった。なので、例えば修理に7日かかるものを6日に短縮してもあまり満足度は変わらないのである。
思った通り、まとめたら長くなりました。著者がオムロンで実際に行ったサービス改革の事例も多々載せられており、革新的で素晴らしかった。
Posted by ブクログ
サービス、というもののとらえ方、分解方法を論じた本。
サービスの分類や、評価の種類は勿論のこと、事前期待について体系化しようとしている本は珍しい気がする。(2009年出版)
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IBMが始めたサービスサイエンスに関しての書。著者はオムロンフィールドエンジニアリングの方。一番参考になったのはコアサービス、付帯サービス、臨機応変サービスの区分けの仕方。なるほどそうやって見れば少しサービス提供範囲の視野を広げることができるのかもと思った。[2009/04/28]
Posted by ブクログ
とある大先輩からの課題図書.経営者としての実績に基づくサービスサイエンスの解説本でした.サービスを広く捉えているので,経営一般が対象となっています.
経営者の書いた本といえば,精神論が先立つイマイチな内容を想像していましたが,本書はすでにコンサル業を立ち上げている著者なので,比較的科学的な切り口での論理的な解説になっていて好感が持てました.何よりも,経営層がどのように考えているのか?考えるべきなのか?が理系人間にも分かるように説明されているのが印象深かったです.
論理の組み立て始めの根拠が「実感」を元にするところはどうしてもあるのですが,そもそも人を対象としている「サービス」においては,合理的なアプローチなのかもしれないなぁ,と思いなおしました.
Posted by ブクログ
トレーニングにも行かせて頂きました。以降は本からの引用です。トレーニング参加前の。//CS、その前提となるES。製造業はプロダクトアウト。サービスはお客様は何を期待されているか理解するところから始まる。分類。モノ提供。情報提供。快適提供(安心。保守サービス)。大半はこれらの複合。手順型と気づき型。ロースキル型とハイスキル型。個人型、組織型。お客様受身型、お客様参加型。当たり前、期待度大。リピート、都度。パブリック、会員制。自分でできる、できない。実務、感動。各種修理サービス、自分ではできない…ブランドや評判…実務なので価格は妥当。手順、個人、点検サービス、正しい手順に沿っていればよい、マニュアルやチェックリスト。お客様受身型…正確性と迅速性。標準サービスがしっかりした上でワントゥーワンサービス。ホスピタリティ、感動。ビジネスを分解、モノ、サービス、ブランド。サービス提供プロセスの分解、進捗状況の公開。サービスの見える化。コア、付帯、臨機応変サービス。付帯サービスで創造的な工夫。サービスの評価、成果とプロセス。サービス品質、正確性、迅速性、柔軟性、共感性、安心感、好印象。お客様の事前期待の把握。時間の管理単位の詳細化。サービスのプロセスのモデル化。サービスの材料はお客様の課題。サービス業は教育が命。顧客満足、スキル、マインド、仕組み。感動、顧客認知力、要望の事前予知力、運営力。お客様を中心…戦略、提供プロセス/システム、提供者。利益はカスタマーロイヤリティが生み出す。見えない、生産と消費が同時、個別化要求、お客様と共同生産。
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サービスを業種ごとに分類して、構造化している図がとても参考になった。高級ホテルと街の定食屋では、そもそもの期待価値が違う。だからサービスも違う。期待価値と実際のサービスを見誤ることが失敗の原因。
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サービス分野での著者の経験をもとに、サービスというものを科学的に一般化しようとしている。いろいろ参考になる点もあるが、学問的な完成度は低く、著者の経験からくるひとつの意見程度にしかなっていない。この内容が、どこまで一般に拡張できるかは、かなり疑問。