あらすじ
九つの子が川縁で見つけた生首を描いた絵があまりにも見事なので多色刷りの瓦版にすると、「気味が悪い」と江戸中で大騒ぎに。それでも生首の主は分からずじまいで、そのうち生き写しの男があらわれて悪事がばれたものだから、瓦版は狂言だったと非難囂々(ごうごう)となる表題作。半次のひらめきが難題を解いていく。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
目次
・膏薬と娘心
・柳原土手白昼の大捕物
・玉木の娘はドラ娘
・真田源左衛門の消えた三十日
・殺人鬼・左利きの遣い手
・奇特の幼女と押し込み強盗
・取らぬ狸の皮算用
・天才絵師と幻の生首
庶民の生活の治安を守るのが仕事の町奉行の、下っ端であるところの岡っ引である半次。
時に大名のお家騒動に巻き込まれることもあったけど、基本的には町人の、日常の謎のような事件を扱っていたはずなんだけど、気がついたら結構できる男・半次が扱う事件は殺人などの比重が高くなってきたような気がする。
妻・志乃は相変わらず家にじっとしていることが少なく、娘はほとんど出てこなくなってしまったので、その辺もほのぼのが減った要因なのかもしれない。
小三郎は相変わらず惚れっぽくて自分勝手で、その成長のなさに多少飽きてきたかも。
「真田源左衛門の消えた三十日」が割と好きだ。
仇として狙われる源左衛門の筋の通しかたと、源左衛門を仇と狙う惣太郎の自分勝手な思い込みの激しさの対比。
はっきりとは書かれていない、源左衛門が姿を消した三十日の意味。
はっきり書かれていなくてもすっきりすることはできるのだな。
「奇特の幼女と押し込み強盗」は、自業自得とはいえ、切ない幕切れでした。
非情な押し込み強盗に徹することができたなら、捕まらずにすんだものを。