あらすじ
主人公・麻衣(まい)の高校にある旧校舎には、取り壊そうとすると祟りがある、夜になると窓に幽霊の姿が浮かぶなど、怪奇な噂が絶えない。だがその原因と言えば、地縛霊や戦災にあった浮かばれぬ霊の仕業説、霊などいないと断言する者など諸説あり……。果たして旧校舎には悪霊が巣食っているのか? それとも単なる根も葉もない噂? ある日、麻衣はひょんなことから、校長から旧校舎の調査依頼を受けたという、心霊現象の調査研究所・渋谷サイキックリサーチ(SPR)の仕事を手伝うことに。なんとその所長は、とんでもなく偉そうな自信家の17歳の美少年、渋谷一也(しぶやかずや:通称ナル)。ナルと麻衣が出会い、個性的な霊能者たちが登場する、大人気ミステリ&ホラーシリーズ第1弾。解説・池澤春菜(女優・エッセイスト)
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Posted by ブクログ
作者さんからして『やべぇ、こぇえやつやん』って思ってたけど、全然でした!!!麻衣のツッコミというか掛け合いというか…。ホラーというより、科学だよね。
続きが楽しみです。
Posted by ブクログ
再読。
再読したからこそ会話のシーンが切ない。
麻衣が元気で最初ちょっと苦手だったんだけど、まあこれぐらいの明るさがないと怖い話は読み進めないかも。
Posted by ブクログ
読み始めて感じたのは「80〜90年代(の少女漫画?)を感じる軽妙なやり取り」だった。最初の刊行から30年以上が経ち、リライトされているとしてもやり取りや機材にも時代を感じる部分がある。
ただ、書き方については最初の出版元を考えると意図的に当時のフォーマットに合わせたものかもしれない。
最初はやりとりが気になっていたが、読んでいくうちに慣れてしまった。
物語は終始、主人公 谷山麻衣の目線で進んでいく。読者は主人公に憑依(寄生?)して彼女の思考、感覚を通して共に怪異を体験するような形で物語が進んでいく。
麻衣は言い回しの中に(設定よりも)少々教養がありすぎる言葉が出てくるような気もするが、違和感を覚えるものではなかった。
作中には口も悪く癖も強いキャラクターがそろっているが、「バカな人物は一人もおらず、それぞれが専門性とそれに基づく解釈を持っていて、それでいながら流派が違えども論理が通じて議論になる」という私の好きな内容の物語であった。
読みながら描写が上手いなと感じることが多かった。
心霊的な描写をせずとも人間の目(と心理)を通した廃墟の光景が克明に描かれているので、廃校舎内で麻衣と同じ薄気味の悪さを感じられる。作中の随所で「何も異常がないのになんだか怖い、気味が悪い」という心理を共感することができた。物語後半の錯覚による恐怖や「分かっていても怖い」という表現も共感でき、これも「上手い!」と思った。
最序盤でのナルの登場時は物語の方向性が分からないことと麻衣がやたらに訝しむこともあり「コイツ本当に人間か?」とミスリードされた。ナルの正体については、オカルト、錯覚どちらとも取れる終盤の描写もあり、本書では明かされないあやふやな部分も残されている。
登場キャラクター達はただの名前ではなく特徴を捉えたあだ名で表記がされているのが良い。このおかげで複数人の発言や行動が入り交じるような場面でもそれぞれの見分けが容易である。その分、『巫女さん』や『ぼーさん』の本名がたまに出てくると「誰だ?」となってしまうが。
本作は純粋なホラーのみの作品ではないため物語が長くても最後まで面白さがすり減らない。
ホラー作品は怪異の意図や正体が不明である事が怖さ(=面白さ)の肝なので短編と相性が良く、話が長くなると間延びして退屈になるか怪異としてのベールを剥がされてパニックものになってしまいがちで、面白さを持続させるには工夫が必要になる。
その点本書は、廃校舎のなにげない雰囲気だけでも怖がらせることができるので怪異の頻繁な登場を要せず、その怪異についても自然現象か怪異かが議論され続けることで読者の気持ちを科学とオカルトの間で揺さぶることができている。一つの現象に2つの解釈ができるという二重構造のおかげでマイルドな怖さと気味の悪さが最後まで維持されている。
ただ、どちらにも解釈できる現象ゆえに明瞭な”化け物”は登場せず、そのため背筋がゾクゾクするような「今、本から目を上げれば部屋の隅や背後にナニカがいるのではないか」というような強烈な恐怖感はない。ジメッとしたつかみ所のない気味の悪さが続くので、強い恐怖演出を期待して読んだ人には物足りなさがあるかもしれない。
『解説』はイマイチだと感じた。書き方がハイテンションで空回りしているように見え苦手に感じるのもあるが、内容にもズレを感じる。感性が合わなかった。
本書の目玉はミステリーの手法よりもSF(科学的捜査と論理)とオカルト(超能力や心霊、怪異)の融合、あるいはオカルトを科学で解くことだと思う。論理の面はナルが筋を組み立て、他の登場人物はそれぞれの場面で議論(;仮説への反論や推論を推し進める)の相手になっている形なので、探偵役がほぼ一人で解明していくことが王道展開のミステリーとは少し違うし、トリックやオチも「おおっ」と思わされはすれども素直なものなのでミステリーらしさはあまり感じなかった。ミステリーの手法をモロに感じるホラーといえば綾辻行人の『Another』のほうがよほど印象的だ。
解説中にある『わたしはSFの人なので、わからないものが気持ち悪い』にも同意しかねる。SFもオカルトも、ファンタジーも現実の科学技術も好きな身としては、それらはどれも”わからない事”に蓋をする位置が違うだけだと感じる。SFも現代科学との乖離があるので突き詰めれば小道具はわからないものだらけだし、現実世界の現代科学にしてもどこかのレベルで理解を留める事がほとんどである。解説者はSF作品の手法でなら分からない事に気持ちよく蓋をすることができているだけなのだろう。と、反発する気持ちになってしまった。