あらすじ
渡良瀬川の河川敷で相次いで発生した死体遺棄事件。十年前の未解決連続殺人事件の手口に、悔恨を繰り返すまいと群馬・栃木両県警は必死の捜査を続け、三人の容疑者のうち一人について事件との関連が強く疑われる事実が判明する。しかし、ほか二人の容疑者の周辺にも怪しい動きが・・・・・・。容疑者の恋人、独自に動く元刑事、被害者遺族――人々の想いの果てに見える真実とは。人間の業と情を抉る無上の群像劇×緊迫感溢れる圧巻の犯罪小説。下巻。
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Posted by ブクログ
注!
結末に触れています。
まだ読んでいない方は、以下は絶対読まない方がいいと思います。
下巻も淡々最後まで淡々で、お話としてはやっぱり面白くなかったかな?(^^ゞ
面白くなかったにも関わらず、★を5にした(上巻は★3つ)のは、最後の大捕物の中にさらっと著者による粋な計らい(救いと言った方がいいかな?)があったから。
警察署全体から邪険に扱われ、家族かも疎まれ、さらには失明するかもしれないと怯える芳邦だけど、ずっと娘を信じていたその思いが正しかったことが、よりによって札付きの犯罪者である池田の口からさらっと出てきた時は、思わず「わっ! すげっ!」と口から出てしまった(^^)/
いや、池田が言ったのは、10年前の事件について「いや、一件だけだ。最初の方だな」と言っただけなので、芳邦の娘さんを殺した犯人が誰なのかは(このお話では)わからない。
よって、10年前の2件目の事件の詳細はわからない。
わからないけど、おそらく著者は、芳邦が信じていた通り、娘さんは援助交際をしていなかったということを暗に示したんだと思うんだよね。
だからこそ、芳邦のことを問題を起こす厄介者みたいに読者にも思わせるように描いていた(誘導していた)んだんじゃないのかな?
そして、もう一つ言えば、もしかしたら…、あくまでももしかしたらだけど著者は、一見、警察小説王道のコツコツ地道な捜査を描いているように見せかけて、こんな組織の論理によるひとりよがりな捜査をしていたら、そりゃ冤罪事件も起きるよ、ということを込めたんじゃないだろうか?
このお話って、大概の人は例の「北関東連続幼女誘拐殺人事件」を思い出すんだろうけど。
でも、実際に読み初めて感じたのは、著者は何でこのお話をあの事件とダブらすような設定にしたんだろ?という強烈な違和感だったんだよね。
「集英社文芸ステーション」にある、『リバー』刊行記念インタビューで著者は、“群馬、栃木にまたがる女児連続殺人事件がありましたよね。一九七〇年代初頭には群馬で起きた大久保清の連続婦女暴行殺人事件もあったから、そのイメージがあったのかもしれない。それに警視庁や大阪府警はいろんな作家が書いているから、都市部ではなく地方の警察を書いてみたかったということもありますね。群馬県警は以前、取材経験があったので、記者クラブがどこにあるとか、細々したことを知っていたので書きやすいということもありました。”と言っているので。
たんに、そういう経緯だけでその設定にしただけなのかもしれないんだけどさ。
ただ、小説の設定にしちゃうには、いくらなんでもあの事件は生々しすぎない?とも思うのだ。
実際、「本が売れさえすれば実際の事件で被害にあった人や家族の感情なんてどうでもいいと思っているぽっと出の作家じゃあるまいし。著者みたいな作家が安直にあれだけの事件を使って小説を書くものかな? そのくらいの良識はある作家だと思うんだけどな…」と首を傾げながら読んでいたのだ。
でも、(著者は語らないけど)このお話を書く前、著者の頭にあの事件に関わる様々な疑問を小説という形で表現したいというのがあったんだとしたら、この設定は納得出来る。
ていうか、だからタイトルを『リバー』としたのかな?とも思った。
もちろん、それは自分の憂がった見方(ヒネクレたという意味で)なのかもしれない。
また、イチウマをはじめ、刑事たちが「市民の安全を守る仕事」という警察の仕事を自分のいいように解釈して、自分たちが「これが警察の仕事」と勝手に決めた範囲のことだけで捜査していることがあまりに不快だったことで、自分の好みに合うように解釈しただけなのかもしれない。
それはわからない。
でも、自分はこの小説をそういう風に読んだ。
だから、小説そのものの評価である★3つから、2つ追加して★5つとした。
小説としては、今日子の視点をメインの筋にして。
それを補完するように、いわゆる神の視点と二つの筋を並行させて、全体的な方向としては今日子の成長を描くような感じにした方が面白かったんじゃないかって気がする。
もしくは、たんに警察のコツコツ捜査ものとしちゃった方が。
捜査される側の3人もそれぞれ個性が強いようで、お話全体で見ちゃうとイマイチ影が薄くなっちゃった気がして、そこも物足りなさがある。
前に読んだ『最悪』と『邪魔』の上手さの印象が強いだけに、著者の小説にしては全般に何かが足りなかったように感じた。
以下は本の感想とは関係ない話。
去年くらいから「流域面積世界最大の川」の古本がやけに高くなったこともあり、最近は本屋で買うことが増えた。
e-honで買えば新品だし。カバーもかけてもらえる。
本屋受取りで買えば送料とられないし、地元の本屋に貢献も出来る(^^)/
…と、いいことだらけなんだけど、ただお財布にはキツい(爆)
「世の中インフレだし。古本屋さんも大変だろうから、仕方ないのかな?」とは思いつつ。
新品より100円くらいしか安くないのに、今まで通りに「見るからに古本!」って状態の物が送られてくると、ちょっとムカッとくる。
かと言って、★の評価を下げるのも、なぁ〜んかちょっと申し訳ないよーな。
古本の値段が急に上がったのはなぜなんだろ?
もしかして流域面積世界最大の川としては、もっとキンドルを普及させたいから、古本屋さんに値段を上げるよう要請してるのかな?、みたいなことも思ったりもするんだけど、どうなんだろうね┐(´д`)┌
ていうか、妥協してそれなりの価格で買った本を、再度流域面積世界最大の川で見てみるとずいぶんお手頃な価格に下がっていることも多くて。
あー、これは、人によって自動的に価格を高くしたり安くしたりしてるってことなのかな?なんて思ったりもして。
いっそ、以前のように「本は本屋で買うもの」としちゃえばいいんだろうけど、とはいえ、最近の本は馬鹿みたいに高い(゜o゜;
高くても、その価格に見合った面白さがあればいいんだけど、最近の本ときたらまぁ……
まったく、嫌な世の中だ(爆)
Posted by ブクログ
先が気になり一気読みだった。別件逮捕からの警察当局の焦り、遺族の混乱、新たな事件…。とにかく読ませると思った。下巻の終盤になってからも、話が収まるのか?と気になったが、しっかり終えた。3人の容疑者のうち誰が、と読んでいたら意外な結末で驚いた。いやー、おもしろかった。
Posted by ブクログ
圧巻の群像クライム小説。
前半でじっくり事件や人物像をあぶり出し、後半一気に犯人に迫る構成は、奥田英朗の真骨頂。
容疑者は3人いるが、容疑者視点の章がないのが特徴。
事件に事実はあっても真実は分からない、人間の狂気は分からないという本作のテーマにも繋がる。
そして恐ろしいのは犯人だけでなく被害者の家族だったりするのも、人の怖さを感じてしまう。
Posted by ブクログ
上巻で感想を書いたので
こちらではネタバレの感想を書かせて頂きます!
未読の方はスルーして下さい
始めに利根川で全裸の若い女性の死体が発見される。
まさにリバーの幕開けです
刑事たちの脳裏をよぎる10年前の連続殺人未解決事件、同一犯なのか模倣犯なのか
上巻の序盤の方で早くも犯人らしき人物が登場
ちょっと早すぎでは?と思いましたが
その後の展開を読んでいると容疑者が3人に絞られて
本命は刈谷だと思いつつも、もしかしたら
違うかもしれない、とドキドキしながら読めたので良かったです。
被害者遺族の松岡さんの行動力と執念が凄い
と思いました。彼の執念が無ければ 刈谷にたどり着く事は難しかったと思います。
後半は精神的におかしくなってしまいましたが
刈谷がきちんと逮捕されて落ち着いて良かったです。
平塚 健太郎の多重人格が最後にそうくるとは思わなかったです。
マコトに対して篠田教授が無双状態で問い詰める場面
で事件の真相が暴かれます。
そして池田、こいいう奴ほど悪運があるんでしょうか
死んだと思ってたら生きていて、10年前の連続殺人事件の1人目を殺した事を白状します。
では2人目からが刈谷の犯行なのでしょう
後半でまさかの3人目の被害者が出てしまい
驚きました、一度逮捕されてだんだんどうでも良くなったのか、徐々に突きつけられる証拠や警察の執念にもう諦めたのか
さらに交際している明美ママの首を絞めて殺そうとし
何を考えているのかわからない殺人鬼でした。
長編でしたが、とてもドラマチックで一気にじっくり読めて めちゃくちゃ満足です。
人の欲望や執念は怖いものであって
でも生きる原動力にもなっているなと感じました。
Posted by ブクログ
長さを感じさせないまま、あっという間に読み終えた。いつの間にかページが残り少なくなっているという、不思議な感覚。それくらい没入できる一冊だった。
それぞれの視点で事件と向き合い、そのつながりによって事件解決への道筋が少しずつ見えてくる。警察だけでなく、元刑事や遺族は凄まじい執念で事件を追う。そして、事件発生から逮捕までの警察の地道な捜査。先が見えず、本当に犯人なのか疑いがあるまま、ただただ事件解決のために全力で走る姿には尊敬の念しかない。普段ニュースで見る事件の裏には、想像以上に多くの人間が、事件解決に向けて時間と力を尽くしてくれているのだろう。
続きが気になる結末だった。被疑者となった三人の心情、そして今後の裁判はどう進むのか。事件の真相を追う長い道のりをリアルに描いた一冊だった。
Posted by ブクログ
上巻とまとめて記載
犯罪小説と言うより警察小説
群馬と栃木に行ったことがないので、まず渡良瀬川と桐生市と足利市の位置関係をGoogleMapで確認しました。
10年前の2つの事件と今回の3つの事件がこの川の河川敷で起こったことから、タイトルはリバー。本文には模倣犯の伏線はほぼないのに、文庫本の帯には、同一犯か?模倣犯か?と記載されています。
この事件を解決するために、二つの県の警察の真剣かつ非効率な行動が中心なので警察小説なのでしょう。群像劇でもあるのですが、刑事さんたちが中心なのでしょう
ただ、解決する糸口は、警察外の人からもたらされます。刈谷容疑者は写真館の松岡さん、池田容疑者は元警察官の滝本さん、平塚容疑者は犯罪心理学者の篠田先生。
これだけのページ数で、この容疑者たちの動機に踏み込まずに、ラストがきてしまう違和感のため、ほし3つにしました。
刈谷さんは、妹の世話があるので捕まるわけにはいかないけど、衝動を押さえられないことから、どこかで捕まえてほしかったのではないかと、思ってしまいました。だから沈黙。10年前の模倣犯が忘れられずに、2回で収まらず、3回目もやってしまい、吉田明菜ママの首まで絞めてしまう自分がどうしょうもないのでは?と勝手に考えてしまいましたwww
Posted by ブクログ
何がすごいってこんなに詳細に警察の動きを書けるってところだなと思う。感服。落ちはスッキリしない人はしないと思うけれど、犯人が自供しない、という状況で終わるのは、書き手がそこに重きを置いてないからではという感じ。殺人事件で、被害者遺族、記者、世間、警察、犯人、恋人、さまざまな人の人生が変わり、事件に関わって動いていく、その流動がメインストーリーな気がする。
Posted by ブクログ
一気読みしたー。
上巻で、三人の容疑者が出てきて。
これ、刈谷さんにめちゃくちゃ焦点当たってるけど、このまま真犯人ってことになったら、ちょっとストレートすぎるよなぁと思いながら。
下巻にて。
三人とも犯人なんかい!(笑)
奥田英朗の描く心理学者ってヤバいよな、とか。
被害者の父である松岡さんが、眼の病気を患ってしまうのだけど、このまま間違って、誰か轢き殺してしまうんじゃないかな、とか。
元警察官の人の執念が逆に怪しいわ、とか。
諸々、ハラハラはさせられたんですが。
まとめ方が、ちょっと雑だった気がする(笑)
そことそこが繋がるとか、どんな奇跡よ、と。
なので、星は三つです。
結末はどうあれ、とにかく読ませる力はすごかった。
最後まで、信じる気持ちを持たせてくれた刈谷さんの非道さが、すごいぜ。