【感想・ネタバレ】ジェノサイド 下のレビュー

あらすじ

研人に託された研究には、想像を絶する遠大な狙いが秘められていた。戦地からの脱出に転じたイエーガーを待ち受けるのは、人間という生き物が作り出した〈地獄〉だった--。現代エンタテインメント小説の最高峰。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

これは本当にすごい本だった
上下巻に分かれてて結構な長編だったがそれを感じさせない怒涛の展開で読むのを止められなかった

医学的な専門用語がたくさん出てきて、遺伝子がどうだとか新薬の生成過程とかはあまりわからなかったが、そんなのはわからなくても登場人物たちの緊迫感や熱い気持ちなんかはヒシヒシと伝わってきてすごく引き込まれた
心情とか情景の描写も、リアルタイムで作戦が進んでる様子も、すごくリアルに書かれてて没入してしまった

アキリとエマの、人類を超越した頭脳から繰り出される人類への対抗策が明かされるたびに「すげぇ…」って感嘆の声が漏れた
それぞれの立場で全員が全員、自分の信念を持って行動してて最高だった

膨大な量の取材と調査に裏付けられた説得力のある文章で、最初から最後まで楽しく読むことができた

あとこの本の好きなところはエピローグがちゃんとあったところ
イエーガーたちと研人たちが合流するところまで書いてくれてるのが嬉しかった
その辺を書かないで、読者の想像に委ねるパターンの話も沢山ある中で、そこまでしっかり書いてくれてるのが好きだった

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2025年07月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

それ以上でもそれ以下でもなく、とにかく面白かった。人類滅亡の危機を背景に、科学、政治、倫理、愛といった要素が複雑に絡み合いながら物語が進んでいく展開には、圧倒されるような快感がある。
研人やイエーガー一行も、結果的には新人類の手のひらで踊らされていたのかもしれない。
だが、それでも彼らの行動の原動となっていたのは、家族を思う気持ちや、他者のために尽くそうとする意志であろう。
たとえ人間が、「ジェノサイド」のように自ら種の繁栄を脅かす行為をする存在であったとしても、ここまで発展してきた背景には、こうした人間の感情があるからなんだろうと思わされる作品だった。
また、ここから先がどうなるか本当に気になる作品でもある。新人類がここからどのように成長し、現人類にアプローチをしていくのか、この妄想だけで一升瓶を開けれる自信がある。

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2025年07月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これは何年か後に読み返す。
そのぐらい面白かった。
ただ、少年兵のくだりは痛い。  
映画の中で胸糞悪いトップに入るチリの映画、インフェルノを思い出したから。
少年兵達から抜け出した後にイエーガー達が泣いていたが、本当にわたしも涙が出そうになった。いい物語でした。

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2025年05月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

軍人と化学専攻の大学院生という全く繋がりのないように感じる2人が、新しい人類種の誕生によって、大きな陰謀に巻き込まれていく話。フィクションではあるが、リアリティのある細部の描写と、現実に起こっていることを交えて話が進んでいくことで、近い将来本当にこういうことが起きるのではないかと思いながら読んでいた
恐ろしいのは知力ではなく、ましてや武力でもない。この世でもっとも恐ろしいのは、それを使う人格なんです。
とても印象に残ったフレーズで、この物語に限らず何事でも言えることではないかと。

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2025年05月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

スケールが大きくて、まるでハリウッド映画みたい!
でも、映像化はできないだろうな……子ども兵の話とか、集落での虐殺のシーンがあまりにも酷すぎる。

息子のために戦うイェーガーのストーリーが一番好きだった。
アキリと出会い、ともに行動をしていくうちにアキリと息子を重ねて複雑な思いを抱いたりする姿が良くて、うおおイェーガー!死なないで!無事に家族の元へ帰って!!と応援せざるを得なかった。生き残ってくれて良かった〜。

今の人類に絶望するシーンも多いですが、だからこそこの物語では、自分以外の誰かや何かのために危険を冒してもがく人たちの姿が輝いて見えました。

終わり方はちょっと物足りなかったかも。

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2025年02月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

薬学や軍事に関する専門用語が頻繁に出てくるが、その辺りを完全に理解出来なくとも読み進めることができた。一通り専門用語で説明したのち、読者にとって分かりやすい表現で言い換えてくれるような部分も多かったため、読み手に対する筆者の配慮を感じた。

私自身、ミステリー小説をあまり読んで来なかったのもあり、序盤の登場人物や世界観を述べるような展開は、少し冗長に感じてあまり面白さを感じれなかった。
しかし、上巻の中盤以降から物語が本格的に動き始め、そこからは怒涛の展開の連続で本当に読む手が止まらなかった。

敵味方問わず、進化した人類の知能に人間が翻弄され続けていたため、なんだか痛快な気持ちにもなった。
もしこの現実世界で新人類が誕生したなら、果たして人類は淘汰されずに存続できるのだろうか。

私たち人間は受容できない存在を排し、そのような集団を虐殺し同種間で殺し合いまでする愚かな生物だ。しかし、それでも善行を行う人間も存在する。善悪の間で揺れ動くのが、人間らしさの一つなのだろう。当たり前のことだが、この小説を読んで改めてそう感じた。

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2025年09月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

むかーし、当時評判になっていた13階段を読んで面白いと思った記憶、くらいしか今では有りませんでした。久しぶりに高野和明の小説を読みましたが、素晴らしかったです。小説のスコープが日本を超えて世界の動向に向けられ、ある病気の描写も詳細で、素晴らしいと思いましたが、解説を読んで、その病気が実は架空のものだと知って更にびっくり。作家は嘘が上手いと言いますが、素晴らしい嘘でした。

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2025年12月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

グレゴリー・S・バーンズ
合衆国大統領。

サミュエル・ギブソン
海軍中佐。

メルヴィン・ガードナー
初老の白人男性。科学技術担当大統領補佐官。博士。

チャールズ・ワトキンス
国家情報長官。

ロバート・ホランド
CIA長官。

ジョナサン・“ホーク”・イエーガー
ウエスタン・シールド社から要人警護の任務を割り振られた。“グリーンベレー”出身。

マクファーソン
護衛隊リーダー。

リディア・イエーガー
イエーガーの妻。リスボンで入院中の息子に付き添っている。

ジャスティン・イエーガー
イエーガーの息子。肺胞上皮細胞硬化症という難病を患う。余命一ヶ月。

アル・ステファノ
宿舎の管理責任者。

ウイリアム・ライベン
ウエスタン・シールド者の取締役。

アントニオ・ガラード
肺胞上皮細胞硬化症の世界的権威。ジャスティンの主治医。

古賀研人
大学院生で創薬化学で有機合成の研究をしている。亡き父が残したメッセージに従いGPCRの作動薬創薬に取り組む。

古賀誠治
研人の父親。三鷹駅で胸部動脈瘤破裂により死亡。ウィルス学の大学教授。一人息子にやりかけの仕事を託す。

菅井
古賀誠治の友人。大手新聞社の科学部記者。生前の誠治から『ハイズマン・レポート』について尋ねられ、調べるように頼まれていた。

園田
研人の担当教授。五十代後半。

西岡
研人の指導係。博士課程二年。

マイク・シングルトン
作戦部長。

スコット・“ブランケット”・マイヤーズ
イエーガーの部下。衛生兵担当。元合衆国空軍のパラレスキュー所属。

ウォーレン・ギャレット
イエーガーの部下。通信担当。元合衆国海兵隊の武装偵察部隊所属。実は現役の“ブルー・バッジャー”。CIA局員。

ミキヒコ・カシワバラ
イエーガーの部下。通称『ミック』。破壊工作担当。元自衛官でフランス外人部隊に所属していた。

香織
研人の母。

チェンバレン
副大統領。

ラティマー
国防長官。

エイカーズ
大統領主席補佐官。

ウォレス
大統領主席法律顧問。

サニュ
ウガンダ人の青年。ロジャーと名乗る人物から、コンゴに車と食料を運ぶ仕事の依頼を受ける。

ロジャー
イギリス人。

河合麻里奈
研人が学部生時代、英語サークルで一緒だった。研人が好意を持つ相手。

土井明弘
研人が学部生の頃の友人。今は臨床系の部屋にいる。研人と正勲を引き合わせる。

ジョゼフ・R・ハイズマン
『ハイズマン・レポート』の作成者。現在は隠棲中。

ジャック・ライリー
ベトナム帰還兵。

ナイジェル・ピアース
アメリカ東部の大学で、人類学の教授をしている。ピグミー族と共に暮らし、生態を研究している。

吉原
研人が学生時代のコンパで何度か顔を合わせたことがある先輩。

小林舞花
六歳。肺胞上皮細胞硬化症の末期。

坂井友理
研人の前に現れた謎の女性。誠治の知人だというが、誠治の同僚たちはその存在を知らない。

浜崎
誠治の知人。多摩理科大学の助教授。

トーマス
運転手。

李正勲
韓国人留学生。日本語が堪能で創薬化学とコンピューターに通じる。

アーサー・ルーベンス
『ネメシス作戦』担当の若き政務官。

エルドリッジ
監督官。

アキリ
ピグミー族の少年。通称『ヌース』。

ストークス
軍事顧問の大佐。

フランク・ヒューイット
画像解析担当。

エシモ
ピグミー族。アキリの父親。

エレン
メルヴィン・ガードナーの妻。

モレル
FBI特別捜査官。

ローガン
NSA作戦本部の職員。Wグループ『地球規模問題・兵器システム局」所属。

ジャーゲンス

フィッシャー

デュラン

エイヴリー
国防情報局員。

アンディ・ロックウェル

メイスン
下院院内総務。

オネカ

オブヤ
オネカの兄。

アティエノ
オネカの妹。

ブラッディ・ジェネラル
オネカを拉致した悪魔。

安藤
世界救命医師団の事務局長。

アンジャーナ
内戦状態のザイールから日本へ移送された妊婦。

ケネス・ダンフォード
博士。言語学の専門家。

タック・イシダ
日本語及び日本語問題を専門としている。

エマ・サカイ

グライムス
大尉。F22の編隊長。

マードック
中尉。スクランブル編隊の二番機。

ラモント
科学技術担当大統領補佐官。



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2025年10月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上巻で主要な謎は解き明かされ、下巻では物語をどのように結末へと収束させるかが焦点となる。そのため、物語全体の推進力はやや落ち、上巻ほどの勢いは感じられなかった。
イェーガーたちのアフリカ脱出は成功の見通しがほとんど立たない状況で進むため、それなりに緊張感を持って読み進められた。ただし、メタンハイドレートによって航空機やミサイルが次々に炎上する場面については、演出としては迫力がある一方で、現実的には少し大げさに感じられた。
一方、研人の創薬パートは一本道で淡々と進み、結末も読めているため、ちょっと退屈だったかな。

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2025年09月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

13階段は既に読んでいましたが、
また違った方向性の作品で驚いたと共に、
それにも関わらず
スリリングに展開していく冒険劇に引き込まれ
スピードを落とさず読み切ることができました。

最近SF要素のある話を引き当てる機会が増えました。自分からはなかなか手を出せないSFですが、こういう形で触れられて、読書の幅がちょっと広がったかも。

以下は印象に残ったシーンについてや考えたこと。

オネカをはじめとした現地村人虐殺のシーンは残虐でトラウマになりそう。
子どもにあんなことさせたり、
◯した人の身体の一部をペンダントにしたり…
でも、これはフィクションとも言い切れないと思うと、すごく心が締め付けられる。
戦争を取り扱った小説を読むたび、
普段はあまり感じないけど
幸せな時代に生まれたんだなと思う。

ケントの新薬制作のシーン。短期間でややこしい調合をしなければいけない難題に立ち向かう姿に背中を押された。
GIFTの長い待ち時間中に、焦らず冷静に勉強して本番にパフォーマンスを発揮できるようにしっかり準備しているところなど、すごく見習いたい。

中盤までは、
もしこのまま新人類が繁栄していったら、
私たち原生人類はただの駒のように扱われて、
生きる(考える)楽しさが分からなくなるんじゃないかと思った。
現にイエーガー達もアキリやエマの考えた作戦を忠実に実行するオペレーターのようになっていたし。
でも、エマ達はケントらに働く場を与えたりして共存を前向きに考えてくれていた。
私たち原生人類にも生きがいを感じられるように寄り添ってくれそうで安心した。

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2025年09月23日

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