【感想・ネタバレ】暗夜鬼譚 空蝉挽歌 〈後〉のレビュー

あらすじ

京の都を旅立って半月。大宰府にたどり着いた夏樹と一条は藤原久継と対面する。姿は都で会った久継そのものなのに、初対面の優秀な官人として振る舞う彼に混乱する夏樹。大宰府に滞在するうち、やはり彼が怪馬の乗り手だと感じつつ、信じたくない気持ちで思い悩む。しかし、一条は久継を冥府への引き渡しを狙う術者だと確信し、その迷いを一蹴。証拠固めのため、二人は久継の屋敷に向かい・・・・・・。冥府をも巻きこんで事態はさらに混迷する!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ラスト数ページで大号泣。
涙でビッショビショのティッシュが散乱するテーブルに突っ伏して大号泣(笑)

久継はさ、2人が幸せだったらそれで良かったんだよね。
元々自分が身を引く立場だって理解もしてたし、都から追いやられた時も、ここいらが潮時だとも思ったんじゃないかな。だから美都子のことも無理に連れて逃げなかった。
頭の中将と美都子が今幸せで居てくれたら、それだけで自分が身を引いた甲斐が有ると、2人の幸せが自分の幸せだと、そう思えたんだと思う。

でもそうじゃなかった。頭の中将は後悔していた。心から幸せにはなってなかった。
それが許せなかった。
2人が幸せになってないなら、自分が大宰府まで追いやられたのは何だったのか。自分が身を引いたのは何だったのか。美都子を残して去ったのは何だったのか。

ふざけるな!!!お前たちだけは幸せで居なくちゃいけないだろ!!
その思いが御霊にさせてしまった。

もしかしたら、御霊となって2人を連れて行くつもりだったのかもね。ただ頭の中将を殺したいんじゃなく、2人を連れていって、また3人で過ごしたかったのかもしれない。それが人の道理から外れていると分かっていても。

でもそれを夏樹がそれを止めてくれた。
よくやった、小僧。この一言に、久継の思いの全てが詰まっているようで、辛い。
邪魔をするなら夏樹を消すという思いは確かでも、それと同時に、自分を止めてくれるのも夏樹だと思ってたんじゃないかな。何だかんだ、弟のように思ってくれてたと思いたい。

最後はブツっと切れていて賛否あるかもだけど、私は夏樹の心情を考えればあのラストで最高だと思う。
夏樹はきっと、あの後から記憶が曖昧なんじゃないかな。自分がどうやって家に帰りついたのかすら分からない気がする。
あそこで話が切れているからこそ、それが伝わってくる終わり方だと思う。

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2024年01月17日

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