あらすじ
令和■年、発見された一連の有害情報群。
編纂者は不明。
本情報群は、「右園死児報告」を補完する性質を持ち、
その構成は、怪文書、または報告書から散逸した断片的文書によって成り立っている。
この記録群は、ヒト型右園死児「三田倉九」に関連している。
――「久」とは、「九」の同義文字。
すなわち、「永久」「無限」「天」「皇帝」……
尽きることなき概念を内包する。
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Posted by ブクログ
本編『右園死児報告』(カクヨム版)をしっかり読んでから読み始めました。
本編を読んでるからか、得体の知れない不気味さ(怖さ)は薄れてしまっていたかなと思います。
本編と同様、一つ一つが報告書形式で短いのと、三田倉メインでストーリーが進むので、本編より読みやすさを感じました。
二周して…
本編で投げっぱなしだったあれは、こことつながっていたのか…!ということも相変わらずあるので理解が深まりました。どの報告もどこかにつながっていて無駄のないよく練られたつくり…すごい
本編では死にかけの明治時代の怪物、悪役としてしか出てこなかった三田倉も、かつては自分の戦いをしていたんだな、と思いました。
三田倉が狂っていくのも、愛した人を蘇生させようと奮闘して…という点が人間らしい。
ベタですが「三田倉久の手記四」の様なお話好き。
10年後なんて死んでいてもおかしくない立場の四人が、タイムカプセルを埋めるなんてもう泣ける。バリバリフラグですが。
け異ぶまン?や鳳凰?については、カクヨム版を読んだだけではわからなかったので、本編単行本版も読みたいです。
Posted by ブクログ
続編でした。
終盤で令和になってからのお話も挟み込まれるけど、時系列的にはこっちが先になる感じ。
だから、
先に世に出た「右園死児報告」を読んでからでも、
先に「久」を読んでから「右園死児報告」に進んでも、どっちからでも楽しめそうで。
真島さん、ありがとうございます。
「久」の漢字の発音から、今回の主要人物は三田倉さんなんだけど、他のメンバーさんも前回活躍してた方や、そのご先祖さんらが出てきたりしてたから、
私は傍らに前回の報告書を置きながら楽しんでました。
前回マイナスポイントにしたちょっとグロテスクな物たちも、やっぱり今回も登場してきたけど、私が慣れたのかな? そんなに うわ〜(泣)な感じにはならなかった。
あと、報告の後に三田倉さんの手記が時々挟み込まれてて、それが報告の補完的な役割をしてくれてたからか、前回よりは飲み込みやすいような印象も受けました。
どっちにしろ面白かった〜
また時間あけて「右園死児報告」を再読したいなと思えるくらい私はハマったけど、どうだろ、苦手な人は苦手かもしれない。。
Posted by ブクログ
(前作についての記述も多少含みます)
前作の勢いから劣らず。
前作と同様、右園死児事案の報告書は発想のデパートである。近年のネット怪談やクリーピーパスタ、SCPにみられる「根源の不明な発生」・「不条理」・「多種多様なスケール感」といった要素がこの作品にも盛り込まれている。右園の根源に関してはある程度まで推理されているが、完全究明までは行っておらず、個々の事案が何故その形で現れるのかは不明である。部隊が制圧出来るものから、対症療法しか行えない自然大災害級のものなど様々な事案が作品に織り交ぜられ、対策可能性と不可能性の間で登場人物たちは弄ばれている。
今作は三田倉九という人物の内面を本人が書いた手記を通じて多く露出することで、ドラマチックな面が強調されていた。
三田倉九は右園死児に対する対策の責任を政府及び帝国から押し付けられており、またその役割から政府が行ってきた愚行を代理で非難されることがある。三田倉は前半有能な人物として描かれるが、前述した責任についてと最愛の人に関する事象が原因で後半はほぼ壊れている。
今作はその三田倉九の崩壊を極めて丁寧に描写しているわけではないが、少なくとも人間の理性がいかに不条理の前では脆いものか、理性や人格の崩壊が恐怖表現の一つとして効果的に用いられていると思う。また、丁寧に描写しないことは、事案報告という体裁をとった本作のテンポを保つ上で重要である。
前作のラストバトルから考えるとかなり地味ではあるが、恐怖感とエンタメ性を損なうことなくバランスのとれた作品だったように思う。また、前作が好きな人には楽しめる繋がりがあったりと読者を楽しませようという気立てがみれる。個人的には大変楽しめた。
最後に。注意したいのは昔からのホラーが好きな人には合わないかもしれないことだ。どちらかというと、現代ホラー特有の急に立ち現れる理解不能な概念や表象化しがたい設定を「それはそれ」としてすんなり飲み込めるような人が楽しめるものであって、フィクションのホラーにも現実の概念との厳密な関係を求める人には全編キツい可能性がある。親しみ深い幽霊や妖怪などはほぼほぼ出てこない。かといって別に難解ではない。要するにストライクゾーンの問題だ。自分のストライクゾーンは広いぞ!という方には是非オススメしたい。
Posted by ブクログ
2024年刊行の『右園死児報告』の前日譚にあたり、明治期に右園死児対策の責任者であった内務省秘書官三田倉九が自ら右園死児化した理由と経緯が描かれる。読者の視点となるキャラが明確なため物語の流れは前作よりわかり易くなった感有り。
現代の日本とは異なる世界線における明治時代、内務省秘書官安藤忠正の部下として右園死児に関わるようになった三田倉は、安藤の死後紆余曲折を経て右園死児対策のほぼ全権を掌握する。その過程で、父親の敵を探しながら三田倉の秘書となる美女フーティエ、不死者の棚主一朗太、探偵の神谷修二、陰陽師の末裔である犬骨刺月と息子の清らとの邂逅、共闘そして別れ。孤独と絶望の戦いの果てに三田倉が選んだのは―。
モキュメンタリー風の前半部、後半は一点して伝奇SFバトルアクションの展開となった前作に比べ、孤独な先の見えぬ戦いを強いられた冷徹な官僚三田倉九という人物にフィーチャーしたことで、ホラーとしての恐ろしさ(現象としての右園死児は相変わらず邪悪で危険極まりない)よりも、一抹の物悲しさ、やり切れなさが印象に残る。
終盤で前作との人物の意外な繋がりも出て来るので、登場人物などの再確認と整理も兼ねて前作を再読したくなった。
Posted by ブクログ
前作ではすでに右園死児と化していた三田倉九と前作で大活躍した神谷修二との関係が明らかになったり、その他にも魅力的な登場人物が新たに登場しており読んでいて楽しめた。
前作ではあまり触れられていなかったけど、前作に出てきたあの封印用生体七号の秘密や、け胃ぶまンの正体とかも明らかになって読んでいてカタルシスを得られた。
三田倉や神谷と行動を共にしてきた、犬骨清だけが死ぬこともできず、孤独に暗い横穴の中でけ胃ぶまンとして佇み続けていることに心が痛む。前作の「右園死児報告」の体系が確立された時代の人たちはそりゃ知らないもんね、け胃ぶまンこそが亜人討伐に自らを犠牲にして右園死児として戦い続けていることなんて。神谷だけがそれを知っているのが唯一の救いだなと思う。