あらすじ
子どもにとっての乳幼児期は、人間の基礎をつくるもっとも重要な時期です。人を信じる力や感情の豊かさや貧しさは、十人十色です。そして、人を信頼できるということが、豊かな人間関係をつくるための基本であり、それがいちばん育つのが乳幼児期だと、児童精神科医の著者は伝えます。臨床経験をふまえて乳幼児期の育児の大切さを語る、育児に関わる人の必読書です。
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Posted by ブクログ
本文より気になった箇所を引用。
大切にしたい言葉たちばかり。
「友人や家族とたがいに弱点などをカバーし合って、助け合って生きていく力を育てるということです。そういうふうに、相互に安心して依存し合える人は、人を信じる力があるということでしょう。」
「親に手をかけさせる子どものほうが、いい子だと思うのです。(略)小さいときに親を楽させてくれる子が、いい子だと思うのは思いちがいなのです。」
「まわりの人から強制されたりするのではなく、自分から自発的に行動できる、しかも、やったりやらなかったりということではなくて、社会から期待される活動を、習慣的に取り組むことができるというのが、勤勉性の意味」
「現代の社会は、より便利な生活を望む人の心を、いろんな方法で刺激することによって、成り立っている社会だということも現実なのです。」
「人は幸福であればあるほど、そのとき必要な抑制はきくのです、がまんができるのです。しかも、がまんなんて思わないでできるのです。」
「将来、幸せになるということもだいじですけれど、それよりはるかに何倍も、いま、この瞬間を、この子が幸せにすごすことができるようにという生地のほうがいいのです。この子の将来をうんと幸せにしてあげるために、いま、がんばらせておこうというのは、子どもが幼いうちは往々にしてよくないのです。いま、この瞬間を、幸せにしてあげよう、その積み重ねが、この子の幸せになるのだという育て方がいいのです。」
母子同室、つら!とか思ってたけど、研究に裏付けされた大事な時期だと言う結果なんですって。「だっこ」「おんぶ」など、子どもの要求はなるべく聞いてあげられるように心穏やかに過ごしたいです。よく「疲れた〜」と言って家に帰ってくるのですが、子どもには関係ないことです、とバシッと指摘されてしまいました…。反省します。
Posted by ブクログ
おっしゃることは、ごもっともなんだけど、本当に必要な人(特に、子育てにお疲れの乳幼児の親)には届きにくい構成と伝え方かなと感じました。
特に前半は、プレッシャーを感じたり耳の痛い理想論が続くので…。余計な例え話が多くてまわりくどいのもネック。
以下、備忘録として私なりの解釈です。
・子育ては、もっとシンプルでいい。
・子どもを信じるまなざし、あり方が大事。
・「ありのままのあなたを大切にしている」が伝わることが、一番大切。
・子どもが求めるときに、求めるだけ、愛情を返してあげること。
・焦らず、その子のペースを信じて待ってあげれば大丈夫。
・子は親を見て育つ。
・期待のハードルは出来るだけ低く。
・乳幼児期に十分に満たされれば、その後の成長はスムーズになることが多い。
・子どもは子どもの中で育つ。
・思春期はアイデンティティを確立する時期。他者の目を通して自分を見つめている。
・現代は便利だけど、親にとっても子どもにとっても、心が置いてけぼりになりやすい時代。
・子どもに問題が起きたとしても、すべてを親のせいにするのは違う。むしろ、親を支えることで、子どもが救われる。
・いつからでも、やり直せる。満たせなかった部分があったとしても、子どもはそれを取り戻す力がある。
・子どもの『今ここ』を大切にする。
・今の自分にできることを精一杯やる。
それを日々、積み重ねていくことが子育て。
大事なことがいっぱい詰まってるんだけど、濃すぎるのでお疲れママには胃もたれしそう…という印象なので☆4つ。
お姑さんから貰ったりしたら最悪かも(笑)
教育関係者とか、時間も心の余裕も読解力もある親御さんには☆5つになるんじゃないかと思います。
名著ですが、人によって受け取り方が大きく変わりそうな本なので、他人にオススメする際は慎重になった方が良さそうです。
Posted by ブクログ
育児書として昔からの名著と呼ばれる一冊。
まず前提として、この本は精神科医が【1998年】に書き上げた著書であるということを念頭に入れた上で読む必要があるように思う。
現代社会に照らし合わせると、昭和時代の育児観で、少し脅迫的に感じる箇所がちらほら。
現在子育て真っ最中の家庭が、この本に書かれている「方法論」を実践しようとすると、心がしんどくなるお父さんお母さんもいるのではないか?と感じた。
そんな前提を差し置いても、「子どもと向き合う姿勢・在り方」はバイブルとして繰り返し読みたいと思える本だった。
著者とお話しているみたいに、語り口調も優しい。
●備忘録
「子どもを育てるということは、最高に価値のある、誇りのある仕事だと思います。なぜかというと、本当に価値のある仕事というのは、いまの時代とつぎの時代を生きる人たちが、よりよく生きることができるように、なにをするかということだと思うのです。
つぎの時代を生きる子どもたちに、十分に愛されることの喜びを与えること、育児はそれで十分なのですね。人間は愛されることから、生きる喜びを感じはじめるのですから。」