【感想・ネタバレ】天国からの宅配便のレビュー

あらすじ

大切な人へ、あなたが最後に贈りたいものは何ですか? 依頼人の死後にしかるべき人の元へ遺品を送り届ける「天国宅配便」で働く七星律は、今日もバイクで配達先へ向かう。友人たちに先立たれた孤独な老女、祖母と喧嘩別れした女子高生、幼馴染みと結ばれなかった中年男、顧問の先生を喪った部活仲間……。会えなくなった人から届いた思いがけない小包みの中身とは? 言いそびれた言葉と伝えられなかった想いにきっと涙があふれる。今を生きる力が湧いてくる感動作、待望の文庫化!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

想像していた話とは違い、現実感があり、すごくよかった。
じんわり目尻に涙がたまるような余韻があり、すぐに続編を読みたくなった。

全編通して上手に生きられない人達が、宅配便をきっかけに前に踏み出すことができるようになった。
どの話も心にしみたが、特に第4話の「最後の課外授業」が好きだ。
周りから少し外れている5人の生徒達に、先生から特大のプレゼントが届いた。
滞っていた人生が少しだけ開けたようで、明るい光があることに気づけたと思う。
もしかして、これから友達になれるのかな。想像すると、とても微笑ましい。

第3話の「かくれんぼ」は悲しかった。
最期まで、かくれんぼが上手だった。
歩くのも難しいのに、彼を心配して駆け寄った気持ちを思うと、胸が痛かった。
再生と引き換えるには、彼は大きなものを無くしてしまった。
その喪失感と一緒に生きていかなきゃならないなんてしんど過ぎると思ったけど、彼女の気持ちを知れたことが、生きる糧になるのかな。


2024/06/18 18:32

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2024年06月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

天国からの宅配便。
てっきり宅配人は、天国からの使者だとばかり…。
ではなかった。さらに、生前に依頼しているという現実感溢れる設定。

わたしたちの小さなお家
 仲良し女性3人の小さなお家にひとり残された時。本当の友人
オセロの女王
 田舎の家や家族を守る考え方、おばあちゃんと孫
午後十時のかくれん
 かくれんぼが得意でかくれんぼが大好きな幼馴染との思い出
最後の課外授業
 サイエンス部の部長に託された部員への手紙を渡す事。集合日時に其々に持ち寄るものが違う理由。
エピローグ
 配達人の過去と事務作業について。


どれもすぐに思い出せる程、心に残った内容だった。

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2024年05月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

亡くなった人が指定した日に、指定した人に荷物を届ける天国宅配便。

最後の元サイエンス部を集める元顧問の話が一番好き。
それぞれの部員が当時抱えていた事情を知って、これから交流が生まれる…と読める流れではあるけど、全員で持ち寄る材料で行うことという謎解き要素があったこと、事情の開示がそれぞれのタイミングだったからか、読み進めたくなる展開だった。
お喋りな黒瀬がみんなに念押しするように、こっそり当日の集合をお願いしてたのもよかったな。

はじめの老女に届いた荷物についても、亡くなった「2人」に少し意外性があって、面白かった。2人との思い出を大切にしながらも、周りの人たちに気付いていけますように。

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2025年05月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 依頼人の死後に届けものをするサービス「天国宅配便」の配達人が贈る、心温まる感動の物語。
 もし、自分の余命が分かったら、誰に何を贈るだろう。

別に自分に贈り物が届いたわけでもないけれど、何か贈り物をもらえたそんなほっこりする作品。
誰かを思えるそんな人間関係を大事にしたいと思った。

話の順番も、この順番で読みやすく物語にすっと入ることができた。
「わたしたちの小さなお家」
老女へ(二人の親友からの贈り物)
独居老人のごみ屋敷問題など、世相をよく表していると思う。孤独をゴミで埋める。きっと二人の親友はこれからも歌を通じて最高の思い出を伝えてくれる。
カセットテープで歌声とメッセージを遺すというのは素敵ですね。
(今はスマホで動画だろうけど)

p.53
今日を生きる、誰かのために。
きっとこれからも宅配便は走っている。

孤独と思っていた老女にもう一度周りを見渡す希望があった。

「オセロの女王」
孫へ(最後まで諍いをしていたと思っていた祖母。贈りて手は祖母のオセロの対戦相手も含むと思う)
田舎の祖母のの意固地なまでの生き方、そしてそれをかえてくれたきっと今は亡きオセロの対戦相手。孫には二人からのエールになった。それはきっと文香のこれからの芯になっただろうな。農業と英語をミックスさせた将来へ目標を持ちつつある前向きな話。
「午後十時のかくれんぼ」
中年男性(初恋女性)
好きな男性のために、最後までかくれんぼして見守り続けた真帆さんの思いが切ない。きっと誰よりもそばにいたかっただろうし、花火大会の時には発症していたのでは?と思うとかくれんぼしてごまかした気持ちがとてもせつない。
でも、彼女のおかげで、いびつな夫婦関係から新しくやり直せる。
胸を張って生きていける。大丈夫、まだまだ頑張ろうと思えた。

p151
だから、ズルはしない。すぐにそっちへ行くなんてズルをしたら、もう口もきいてくれなくなるだろう。
かくれんぼの続きをしよう。いつか人生のその先で、真帆を見つけ出せるように。そのとき胸を張って「みーつけた」と言えるように。精一杯、自分の人生を生きる。

「最後の課外授業」
大学生(高校のサイエンス部顧問:謎解き・実験)
こんなに生徒のことを見ている先生はすてきだな。きっと体調が悪くなければもっとメンバーのために何かをして、在学時代から動こうとしてくれていたと思えた先生。
それぞれが前向きに変わることができた贈り物。

「エピローグ」
子ども(司書をしていた母からの本:配達員七星律の過去)
本を贈る親子もすてだし、七星さんの母との最後の喧嘩別れも切ない。
互いを思っているはずなのに掛け違えたことで思いを伝えられない、関係が絶たれるというのも切ない。
とりあえず休みの日は親と会話してみようかな。いつも仕事でいっぱいで電話もなかなかせずごめんなさい。

本当は宅配便を使用しなくてもいいのがすてきな生き方だけど、でもこんな素敵な宅配便があれば・・・と思ってしまった。大変な仕事だろうけれど。
シリーズがあるらしいので、読んでみたい。社長がなぜこの仕事をしようと思ったのかが描かれているといいな。
明日もまた一日がんばろう。

p.251
「白い羽のマークの帽子をかぶり、誰も知らない遠い川の向こうと、こちら側をつなぐ、最後の贈り物。
誰かの最後の思いを届けるために、今日も進もう。」

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2024年05月22日

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