あらすじ
ベアトリスと公爵は大事な家族のことを思いやって、結婚を一週間だけ先延ばしにすることに決めた。そんなとき、思いがけない女性が突然訪ねてきた。彼女こそ、ベアトリスに「くすみちゃん」という不名誉なあだ名をつけ、社交界デビューをさんざんなものにした張本人。ところが、かつての意地悪さはなく、ベアトリアスの謎解きの能力を見込んで、どうしても頼みたいことがあると言う。先祖から受け継いだ幻のダイヤモンドの在り処をいっしょに捜してほしいというのだ。未来の公爵夫人たるもの、過去を水に流す寛大さも必要よね? そこでベアトリスは快く協力することに。でもまさかふたたび、不可解な殺人事件に巻き込まれることになるなんて!?
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Posted by ブクログ
「ぼくが他の女性を見つけたら、何の覚悟もない紳士にきみを押しつけることになる。それは不憫というものだ」
前回の事件をきっかけに、叔母家族とのわだかまりが解けつつあるベアトリス。結婚式の準備を十分に整えるため、公爵との結婚は延期すべきと説得されるなか、ノートン夫人がベアトリスに相談があると訪ねてくる。ノートン夫人は、ベアトリスの社交界デビューを台無しにした張本人だが、本人はその出来事をすっかり忘れている様子。祖父が自分に残した遺産のありかを調べてほしいと、ベアトリスに懇願した。
きっとノートン夫人に何かされるんだろうなと思いながら読んでいたが、気づいたベアトリスが機転をきかせて罠を回避し、公爵とともに黒幕をヘコませる展開が痛快だった。結婚式の延期でおあずけを食らった公爵が、ベアトリスを押し倒しかけて逆ギレしてきたり、ベアトリスを間違いなく愛しているが、たまに変人っぷりに引いてるところが良い。ただ、殺されたボブソンの謎が弱く、劇団員にも興味が持てなかったので、ノートン夫人なり従兄弟なりを巻き込んだ方がよかったのではと思った。