あらすじ
ベアトリスは窮地に陥っていた。いくら事情があったとはいえ、「泣く泣く別れた身分違いの恋人がいた」と、彼女らしくもない大胆な嘘をついたせいで、叔母たちがいもしないその悲恋のお相手を見つけ出そうと、躍起になりはじめたからだ。そこで妙案を思いつく。架空の元恋人の「死亡記事」を新聞に載せればいい。ところが訪れた新聞社で、不運にも目の前で男性が刺殺されてしまう。ここでかかわったら、自分の立場が危うくなると知りつつも、ベアトリスは目にした手がかりがどうしても頭から離れない。被害者の背中に刺さっていたのは、大英博物館に展示されていた短剣にたしかに似ていた。しかし真相を探ろうにも学芸員に軽くあしらわれてしまう。そんなとき、手を差し伸べてくれたのは意外にも公爵さまで……!? ふたたび冴えない令嬢と公爵が手を組んで難事件に挑む!
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Posted by ブクログ
前回の事件で容疑者から情報を聞き出すため、架空の元恋人デイヴィス氏をでっち上げたベアトリス。デイヴィス氏を捜し出そうとする叔母一家をあきらめさせるため、死亡広告の依頼をしに新聞社を訪れたベアトリスの目の前に、背中を刺された男が倒れ込んでくる。
舞台がロンドンに移り、19世紀英国を感じられる場面や人物が多く出てきて楽しめた。身分違いである公爵への恋心を自覚したベアトリスが、最悪だけど鈍くさい私には似つかわしいと自虐的に受け止めるところや、殺人事件に首を突っ込むのは身勝手な理由からだと自覚しているのが現実的で良い。
ベアトリスに欠点をずけずけ指摘されながらも、美貌と権力と絶対的自信を持つ公爵が「もうこれ以上評判を高める必要はないんだ。ぼくより人気のある人間はいないのだから」と堂々としているのが、身長180センチ超えの32歳とは思えない王子様らしくて良い。頭脳明晰にくわえ、ボクシングまでやっているのは、ちょっと盛りすぎでは?と思った。
公爵のおかげで自分の殻を破りつつあるベアトリスが舞踏会で注目を浴び、レディ・アバクロンビーの手助けで大変身くるかと期待したが、それはなくて残念。ハラハラする終わり方で次巻が楽しみ。
Posted by ブクログ
行き遅れ令嬢の事件簿シリーズ第2作目。
家族から「大人しい子・聞き分けの良い子でいるように」と教育されてきた主人公が、少しずつ自分の意見を言うことが出来、奥様からも気に入られる存在になっていきます。
再会した公爵さまに惹かれていく自分に気付きながらも、身分差をすぐに考えて夢を見ないというところがなんとも切い。
また、1作目で主人公の気の強さや無鉄砲さが合わないという感想を抱きましたが、死にそうな目に合っても、事件を解決しようとするのは、「自分が賢いのだと感じることができる」からだと知り、生まれ育った環境から自己肯定感が低くなっているんだなと思ってからは、この主人公のことが好きになりました。
今後、公爵さまとどういう進展があるのか楽しみです。