あらすじ
水戸の下級藩士の家に生まれた関鉄之介は、水戸学の薫陶を受け尊王攘夷思想にめざめた。時あたかも日米通商条約締結等をめぐって幕府に対立する水戸藩と尊王の志士に、幕府は苛烈な処分を加えた。鉄之介ら水戸・薩摩の脱藩士18人はあい謀って、桜田門外に井伊直弼をたおす。が、大老暗殺に呼応して薩摩藩が兵を進め朝廷を守護する計画は頓挫し、鉄之介は潜行逃亡の日々を重ねる……。
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Posted by ブクログ
尊王の志士を鼓舞し維新につなげた一大事変。一瞬の出来事。それは、長期に及ぶ構想と緻密な計画の基に成された。商人に身をやつしての密談。厳重な警戒の中、発覚しなかったのは奇跡。一瞬のタイミングとわずかな判断の差異で事は起きなかったかもしれぬ。大老の死を秘し、彦根藩・水戸藩とり潰しによる動乱を避けた事変後の幕府の判断。その後日本は独立を保つ。実行を指揮した関鉄之介の逃亡。2年を経ての捕縛。歴史は必然であったり、偶然が織りなす運命でもある。また、先人の意志が創り出した結果でもある。そう思い、今を生きる。
Posted by ブクログ
井伊直弼暗殺の瞬間と、襲撃者たちのその後について。
井伊直弼が暗殺された後、幕府が水戸藩に対して進言した内容が印象的だった。
一、水戸家は将軍家の分家であり、本家である将軍家を補佐していた井伊大老の死を決して喜んではならないこと
互いに国を護ろうとしていた者同士の悲しい行く末。
関が逃げていくその様子は、絶望と哀愁が漂う。