【感想・ネタバレ】変身のレビュー

あらすじ

平凡なサラリーマンがある朝、巨大な虫けらに変身した状態で目覚める──。不条理文学の旗手か、不器用なサラリーマン作家か。新たなカフカ像にもとづく新訳と訳者解説によって、不朽の名作がよみがえる。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

特に印象的だったのが、グレゴールの家族がもっと手頃な家に引っ越せば成り立つにも関わらず「良い家」に住み続けることの描写と、グレゴールという大黒柱が不在になったことで逆に家族がそれぞれに出来る仕事で家計を成り立たせていく描写。 与えられ続けた恵まれた環境を手放せない執着と、頼るべきところが無くなってもそれなりに現実を維持させ続けられる強かさを感じる。 人間の弱さと強さの両面が描かれていて、とても印象深く、何度も繰り返し読みたくなる。

人は何をもって他者をその人と見なすのかという点でも考えさせられる。 なぜ家族は虫になったグレゴールを彼であると認識できたのかというのも、その思考材料になりそう。朝起きたら家族がいなくなっていて代わりに巨大な虫がいたとすると、虫になったという解釈ではなく、虫に食われた、乗っ取られた、呪いで姿を変えられたなどと考えるほうが、虫になること自体よりは理解が通りそうな気が。。 考えれば考えるほど、人間の存在や営みについて思考が深まりそう。

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2025年05月02日

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ネタバレ

ショートストーリーなので読みやすい。

両親と妹と4人で暮らす主人公は、ある朝目が覚めると虫になっていた。
まずはじめに思ったことは、「やべー仕事に遅刻してしまう、体が虫になってしまったしこのままだと仕事に行けない」だった…

長男の稼ぎで家計が成り立っており、いい暮らしが出来ていた。しかし虫になってしまうと贅沢はできず妹も音楽の道に進めない…

虫に変身した長男。それに対する家族の接し方、扱い方が「変身」していく

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2024年11月04日

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ネタバレ

何回も読んでいます。
はじめは虫になった描写が何よりもきつかった。しかし読み返すたびに、主人公が死んだ後に前に進んでいく家族を見るのがきついなと感じます。
あんなに必死に繋ぎ止めようとしていた家族の幸せは、自分なしでも存在する。そしてそれを主人公は知らないまま。
後味の悪さと家族が幸福になっていく眩しさの対比がくせになっています。

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2025年08月18日

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ネタバレ

グレゴールの変身する、しないに関わらず、グレゴールがいない方が家族にとって良い事であったように思われるラストで後味が悪い~~~

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2025年07月04日

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ネタバレ

高校の時の課題図書で1回読んでいる。そのときの感想は覚えていないが話はよく覚えている。今回読み直しても特にストーリーに違いは感じられなかった。起きたら虫になっていた。そして社会から隔絶され、最後は家族からも見捨てられ、主人公が死んだら家族が幸せになっていた、という話である。
不条理極まりない話で、後味も確かによくはない。ただ、今回感じたのは、虫になった主人公をおいといて、家族はそれなりに苦労を超えていくところである。主人公が死んで(直前には処分しようとしている)、人間の尊厳もなくなったのが幸せにつながるというのは作家としては何がいいたかったのだろうか。

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2024年10月16日

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ネタバレ

不条理と言えばカフカ。
まさにそんな小説。
何の虫になったのか、なぜなったのか全く書かれていないし、今作の場合周りの家族の非情さが際立つ。
カフカはどんな意図でこの本を書いたのだろうか。
この世界の非情さ、残酷さなのだろうか。

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2024年09月16日

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ネタバレ

とにかくグレーゴルが可哀想だと思った。今まで1人で家族を支えていたというのに、虫となり働けなくなったグレーゴルを拒絶した家族は酷いと思う。
グレーゴルが使い物にならないとわかった途端、自分たちで働き始め、彼以外の家族はどんどん前を向いていく所がとても皮肉だった。

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2024年05月05日

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ネタバレ

虫になったことに意図があるとか最後に変身が解けるとか意思疎通できるとかでもないラスト。
主人公の内面も人間じゃなくなっていく感じが怖い
亡くなってやっとほっとして愛を再確認できるような感じが障害者とか認知症の介護とかにも通じる。寒々しい気持ちになる小説だった

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2024年04月30日

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ネタバレ

理不尽を煮詰めた作品。
凡人の中に混ざった天才、天才がいなくなった後にまとまる凡人という表現がしっくりくる内容でした。自分が虫になったのに、意外にも冷静に現実を見ている部分が妙にリアルでした。
訳者解説のおかげで、当時の時代背景やカフカの人柄、交友関係や思考がわかり、作品理解をしやすかった。他の作品も読んでみたい。

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2024年02月08日

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ネタバレ

なんか聞いたことあるな、くらいの感覚で手にとって読んでみた。
初めてのカフカ作品だったけど、読みやすい訳のおかけでスラスラと読み進められた。主人公の言葉から、変身した自分に対する絶望感があまり強く感じられず、ある種ひょうひょうとしているのが面白かったし、そのおかげで家族達の主人公に対する介護疲弊が進んでいることに全く気が付かなかった。確かに不条理な結末だけど、後味の悪さも特にない

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2024年02月05日

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ネタバレ

グレゴール虫になった事にはそこまでパニックにならずにいつも通り仕事に行くために慌てている様がなんだろう、メンタルが強いのか弱いのか。

普通虫になってたら会社とか生活とかより、虫化の方に思考の全部持っていかれるのではないかなぁ。

虫になったことないから知らんけど。

結局何も分からんまま何も伝わらんまま息絶え、家族は明るい未来へ旅に出る。

ハッピーエンドなのか知ら?

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2024年01月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分の姿が毒虫に変わった瞬間から続く、地獄の日々。虫になっても人間の言葉は理解でき、思考も残っているのだが、家族には言葉も思いも伝えることが出来ない。本人にとっては、家族に甘えたい気持ちが残っているので、家族の前に姿を表し接触しようとするが、害虫扱いされ、攻撃を受ける。
予想通り、本人にとって悲しい結末となるが、家族にとっては明るい結末である。それくらい、毒虫に変わり果てた姿を、家族であると信じ続けることは苦痛だったのだろう。
毒虫は極端であっても、家族が突然難病になって長期間介護が必要な時に、傍でサポートし続けることができるのか、カフカに試されている気がした。

後半の『ある戦いの記録』は、自意識過剰で心の不安定な主人公(青年)が人々を観察して捕まえ、禅問答のようなやり取りを繰り広げるもの。寒い冬のプラハ旧市街の路地を思い浮かべながら読んだ。

両作品併せて、悲壮感、閉塞感、孤独を強く感じた。

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2023年03月22日

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