【感想・ネタバレ】変身のレビュー

あらすじ

平凡なサラリーマンがある朝、巨大な虫けらに変身した状態で目覚める──。不条理文学の旗手か、不器用なサラリーマン作家か。新たなカフカ像にもとづく新訳と訳者解説によって、不朽の名作がよみがえる。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

朝起きたら、自分が虫になっていた。

これほど異常な始まりなのに、本当に恐ろしいのは虫になったことではない。

グレゴールが働けなくなった瞬間から、家族の中で少しずつ「不要なもの」になっていくことだ。

彼はそれまで家族を養い、自分を犠牲にして働いていた。

だからこそ、役に立てなくなったあとの扱いがひどい。

最初は心配していた家族も、やがて彼を厄介者として見るようになる。そしてグレゴール自身も、その視線を受け入れるようにだんだん小さくなっていく。

これは虫の話ではないと分かってしまうから、読んでいて苦しくなる。

病気になったとき、仕事を失ったとき、誰かの期待に応えられなくなったとき。
人は案外簡単に、自分にはもう価値がないと思ってしまう。

この本は、人間の価値を「何ができるか」だけで測ることの残酷さを描いていると思う。

そしてもっと残酷なのは、その物差しを他人だけでなく、自分自身まで信じてしまうことだ。

虫になったのはグレゴールだった。でもむしろ変わってしまったのは、彼を取り囲む人間たちのほうだったのではないかと思う。

0
2026年08月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

良かった。あとがきや解説も含めて非常に後味の残る作品だった。

「変身」が、「一匹の巨大な虫」が何を指しているかは各々に任せられているとして、性役割的の歪さを女性の立場から描いた文章は現代では流行っていて非常にありふれたものになりつつある今、男性の立場からの生きづらさのようなものを描いたものは受け入れられづらくなっている印象になる。
いや逆なのか。男の視点からしか描かれていなかったからこそ、現代の潮流が女性の視点に寄っているみたいなことなのかな。

とにかく、すごく新鮮だった。

だからこそ村上龍は「すべての男は消耗品である」と述べた上で消耗品として生きていくことの覚悟を説いたわけで。

消耗され尽くした男は捨てられるのか。ともすれば寄生宿主として生きていた自分が、寄生虫になったとたん社会の(今回で言えば家庭内の)ゴミ同然の扱いを受けることに対して、僕は何を思えばいいのか。(今書いていて思ったけど虫って寄生虫って意味なのかな。カフカがどこの国の人なのか知らないし、原作が何語で書かれた作品なのかも知らないけど。)

両親や、妹への感情を過度に書かず、ただ淡々と彼らの描写に終止しているところに怖さを感じる。世界のすべてを事象として捉えていることに怖さを感じる。自分の苦しみや、自分の死すらも第三者というか神様?みたいな俯瞰の視点から書くんだろうか。

0
2026年05月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

みなさんお久しぶりです。観想的やすこです。本書はホモ・サピエンスが築き上げた社会の不条理さや冷たさをグレゴール・ザムザの悲しき人生の末路を描写することで皮肉的に表現しているのです。グレゴール・ザムザは家族想いの健全な男性でした。両親と妹との4人での生活を支えるため毎日懸命に働いていました。しかしながらそんな彼が醜い蟲へ「変身」した途端に彼の家族もまた変わってしまったのです。家族たちは彼へと冷め切った目線を向けるように「変身」を遂げるのです。わたくしやすこ的解釈としては本書のタイトルはグレゴール・ザムザの穢れた蟲への変身を指しているのではありません。身の回りの状況が変わった途端に、態度をくるっと変えてしまう。相手がいままでしてくれた行為を鑑みずに。そのような人間の変わりようを指しているのであります。人間は思っているよりも冷たい動物なのかもしれませんね。以上観想的やすこでした。またどこかで会いましょう。

0
2026年04月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

グレーゴル・ザムザは巨大な虫に、変わってしまった。
虫に変身したことで、厳しい労働環境、家内で自分が働かなければというしがらみから解放されたようにおもわれた。しかし、「…ふたたび仕事にとりかかった(102)」から、虫となった今では生きる行為が肉体労働に値するほど大変である状態となり、解放されるどころか肉体的にも精神的にも不自由な、閉鎖的な狭い檻に閉じ込めまれてしまっており、字面での労働も虫としての働きも本質的には同義であるようなふうにも思えた。
商人として海外を飛び回わった過去と、虫として部屋の中を動き回っている今との、彼の周りに広がる世界がコントラストになっており、逆説的にこれまでの商人という立ち位置もあながち悪くなかったのではと思わされる。
兄はすでにいないが、巨大な虫こそが兄であると認識する家族。兄だと思っていた虫が死ぬことで、今残っている家族を見つめ直すことができたのが、グレーゴル目線では寂しくあるが、まさにグレーゴルだけが可愛がっていた妹に対する両親の印象が、(グレーゴルの部屋掃除や食事を出す+後半の精神的変化によって)子供から大人に変わり、家族の関係が前向きに変化している。
妹は虫を兄と認識し、機械的でありながらもいつか元の兄の姿に戻ることを期待しながら、虫とは認知しながらも可能な限り兄のためにと行動をしていた。
グレーゴルの理解者が妹→母(荷物の移動)→誰もいなくなると変化。徐々に疎外感が強まっていく印象。
みなが虫となったグレーゴルを、グレーゴルと認識すること。グレーゴル自身が虫となった事実を受け入れていること。
→ありえないことが事実起こっているという矛盾にも感じる状況であっても受け入れざるをえない。むしろ、その方が自分にとって都合の良い解釈ともなるから、という風に感じた。まさにこの世の不条理さ、非現実やありえないと一掃しようとしても事実起こっている現実は変わらないのであるということを伝えたいと感じた。

0
2026年05月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

その身体を見てまず考えたことが、自分の仕事を行動についてなの?最初それ?冷静すぎないか?まずキモすぎて激鬱からの死だろ。さらに足やら背中やらから感じるであろう、その身体であるという感覚も相まって吐くと思う。
可哀想なまま終わった。最後も家族が虫の死を受け入れるのが早い。こうなった以上は死んでもらうしかこの絶望感は無くならないってみんな思ってたんやろうな。
面白かったです!

0
2026年02月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

有名どころなので読んどくかと思い。
虫になって段々と体の能力や嗜好も虫化していくところが、気持ち悪くて悲しかった。
また、分かり合えない家族との距離も切なかった。
もう一方の主人公はグレゴール自身ではなく家族だったのかもしれないと最後の展開を読んで感じた。

あとカフカが恋人に毎日長文の手紙(調子いい時は複数通)送りつけて、数日返信なければ電報を打ち、すぐ他の女にもなびくというメンヘラ気質だったと知り、やはりこういう作品は一般人より感覚が繊細過ぎて病んでるくらいの人が書けるんだろうな〜と思った。

0
2026年01月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ある日、巨大な虫になってしまったグレゴール。
会社で苦しい思いをしながらもがむしゃらに働いて家族を養ってきた彼が、目が覚めたら突然虫の姿になってしまい、家族にも避けられてしまうように。

虫になっても仕事に行こうとする彼の姿勢には植え付けられた義務感を感じ、胸が痛くなった。
そして人間時代のグレゴールに依存しきっていた家族はそれぞれ仕事を見つけ、自立していくようになり虫であるグレゴールの存在はどんどん“本物の虫けら”に。

最後の解説でも記されていたが、変身ものは最後に姿が戻ったり変身した理由がわかったりするものだが、最後まで虫の姿で、そのまま生涯を終えてしまう。

きわめて救いのない物語。社会から外れるというのがある意味救いと言われれば救いではあるけれど、虫になってからの孤独感は、人間であればできることである二足歩行で自由に動き回ることや、食事、そして人間関係を築くことができないことによって加速していく。
不条理が描かれたこの物語は、感情移入こそしないものの、同種族でしか成り立たないこの世界について考えさせられた。普段こういう不条理な話には触れないが、読む機会を作れてよかった。本編は100ページほどなのでサクッと読めた。
カフカの他の物語も読んでみたいと思った。

0
2026年07月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

朝起きたら虫になってしまっているって展開は有名ですがはじめて読んでみました。虫になってからの描写がすごいですね。虫になった本人が考えるのが服の事とか仕事の事とかってのが奇妙な感じですよね。そして彼に対する家族の変化も怖いですね。『ある戦いの描写』はちょっとわかりにくい感じですね。両方とも何回か読み返さないと難しいですね。

0
2026年05月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この物語を読み、悲しくなった。

ある朝突然虫に変身してしまった主人公。仕事はクビ寸前、なんとか姿を見せるが皆から怖がられ、拒絶される。家族のことを思って一生懸命に働いていた主人公が居た堪れない。
本人、家族含め絶対に現実ではあり得ない、想像し得ない状況であるのにも関わらず受け入れられている状況は奇妙だった。
以前の主人公は周りを顧慮する性格だった、しかし顧慮しなくなった→変身どうやらおれの頭を狂わせてしまったらしい
主人公が力尽きた後、家族3人は以前よりも強く結びつき、明るい未来を進もうとしているシーンが、グロい。

0
2026年03月29日

「小説」ランキング