あらすじ
時は1989年東京―。ど田舎から都会の大学に進学した桑子順は他人には見えない不思議なものが見える能力を隠して憧れのキャンパスライフを送ろうとするが、結局自分の能力を受け入れてくれた「民俗学研究会」に入り浸りさまざまな体験をすることに…少し癖のある若者たちが繰り広げる昭和青春群像劇堂々完結!
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Posted by ブクログ
シティボーイ・キャンパスライフを夢見て山梨から上京してきた桑子くんの民俗学青春白書はここでひとまずおしまい。
最後の最後まで『民俗学研究』というものに対して真摯に、丁寧に漫画として描かれていたことは実に良く伝わってきました。特に「今あるものも消えていくものも 見えないものも見えるものも それを題材に「今」をとらえなおすことができたら 立派に民俗学だから」(p156)という村瀬先生の言葉は、ともすると小難しそうに見える『民俗学』というものをすごく柔らかく優しく懐深く捉えたまなざしだと思う。
お正月を筆頭に節目に食べるご馳走だったり祭礼・しきたりに込められて今に繋がる想いや願いを知ると「風景に色がついたみたいに思える」(p178)という桑子くんの感想もわかる気がするなあ。現代の価値観では危険だったり無意味に見えたり反感を覚えるかもしれない昔からの決め事にだって、もしかしたら何かしらかの想いや願いがあるやも、という背景を学べば他所者が軽々しく批判や撤廃を口にする訳にはいかない、と気が付くのではないだろうか。
平成元年に大学1年生だった桑子くんも、令和6年にはなんと50代も半ばになろうかという歳に。きっと研究者としても脂が乗って、『こまったやつら』と一緒に山野や市井を歩き回っていることでしょう。
終始地味な印象は拭えないながらも、読み終わって振り返れば色々と考えるきっかけを与えてくれた作品。
1刷
2024.9.16
Posted by ブクログ
めっちゃよかった…!
安慈先輩の過去の決心するシーンとか涙が…!あっ神保町に通いつめるって話はうらやましすぎたけど。いいなあ東京の人は!
ラストに近づくほど先行の民俗学研究のあれやこれやが話の中に出てきてうわーめっちゃ勉強したい!ってなる。積読の本読まな!って気持ちになりました。(私だけかな?