あらすじ
フィンランド、ラップランド地方にあるホテル”メッツァペウラ”。
従業員はたったの3人。
ふたりの老紳士と、刺青入りの青年・ジュン。
そんな小さなホテルに、ある日、結婚式を開きたいという依頼が舞い込んできてーー!?
ホテルマンとしてまだまだ未熟なジュンは、
この大仕事を乗り越えられるのか?
雪と白夜とオーロラの国で、
青年は少しずつ成長していく。
フィンランド・ラップランド地方の町はずれで老紳士たちが営む小さなホテル”メッツァペウラ”。
吹雪の中ジュンと名乗る謎の日本人少年が現れます。
全身和彫りの入れ墨が入った彼はどうにもワケアリのようで…。
放っておけないアードルフは一緒にホテルで働かないかと持ち掛けます。
行き場のないジュンは、ホテルマン・アードルフとコックのクスタと共にホテル”メッツァペウラ”での生活をスタートさせます。
日本の施設で育ち、フィンランド人の血をひいているジュン。
フィンランドを訪れたのも自身のルーツを探るためなのかもしれませんが、まだ多くの謎に包まれています。
日本で世話になっていた「先生」と慕うヤクザの影響なのか全身に入れ墨が入っていますが、性格は素直でとても真面目。
それ故に、何故彼が何も持たずメッツァペウラに辿り着いたのか、今後どうなっていくのかが気になるところ。
ジュンの謎も気になりますが、ワケアリの彼をそのまま受け入れてくれたホテル・メッツァペウラの老紳士ふたりも魅力的。
言葉がぶっきらぼうで一見怖そうに見えるクスタですが、誰よりもジュンを心配しています。
突然訪れたジュンと一緒にサウナ(フィンランド式サウナ!!)に入り言葉ではなく行動で打ち解けようとしたり、不器用なところに職人気質を感じます。
THEホテルマン!といった感じのアードルフも、ジュンの人間性を見抜いた人。
しかも元軍人という過去も気になります。
フィンランドの雪深いホテルを舞台にしながら、心がじんわりと温かくなる物語です。
雪どけと共にジュンの心の中の雪もとけて欲しいと願わずにいられません。
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Posted by ブクログ
印象に残ったところ
•「さっき人間が嫌いって言ったんですけど俺クスタさんと先生のことは好きです」
•「俺はやっぱりここで働くのが好きなので…」
最初の椅子のお話、よかったな。
所々でジュンくんの過去が出てきて辛い時もあるけど、全体的に心温まるお話で心がじんわりする。
謎の存在
まさか元軍人のアードルフさんと口の悪くてマッチョなクスタさんが『出る』と云ってこわがるとはww
さて、ボイラー室の彼は誰だったんでしょう。ね。
ジュンはお客様ふくめたくさんの人に、ぶんぶんと振り回されながら、何かを得ていくのでしょう。次巻も楽しみです。
Posted by ブクログ
書籍としての細かいこだわりに感動。
これだから紙の本もやめられない。
作家さん、編集さん、他にもたくさんの方が関わり
こだわりを持って作っていることがとても感じられて、たまりません。
カバーはちょっとざらっとした質感の紙が使われていて、内容を彷彿とさせる物語の入り口としての役割が感じられますし、初回特典かもしれませんが、2巻には登場人物をより身近に感じる、かといって説明くさくないキャラ設定ペーパーがついているし、何といっても読者アンケートのはがきが最早ポストカード。
送るのが勿体なくて、手元に置いておきたくなるけれど、この感動を伝えないわけにはいかない、という読者の責務を掻き立てます
今回もすごく良かった!
ジュンくんどんどん表情豊かになってきてますね!
ちょっと最後あたり不穏な感じになりそう…?な雰囲気でしたが。
ビザの期限があったのかー。
お母さんに会えるのかな。
続きがすごく気になります。
Posted by ブクログ
居場所を作ったと言う意味で椅子を作るという風習はちょっと素敵だ。
実際にそうした風習はあるのだろうか。
夫が妻に作らないと意味がないのではと
ちょっと思ってしまったが、妻と本当に仲良しで、
家具職人ではないにしろ大工さんで
夫婦ふたりの椅子を作って渡したいというのは
素晴らしいなと思う。
あれだけ大事だと思っていたメモの内容を覚えてはいないし
落としたのにも気付かないのはちょっとあれだが
そのお蔭でファビーと仲良くなれたし、お父さんとの仲も取り持てたのは素敵。
クスタに娘が大変と言うのはちょっといただけないし、
「あとはやっときます」なんて出来るわけないのでは?
幽霊より人の方が怖いのはわかるが
幽霊が殴ってくることが無いわけではないと思うし、
どうしてそこまで怖さや怪我に無頓着なのだろう。
従業員が自分たち3人しかいないのがわかっているのだし
知らない人にお辞儀をされたらもっと驚いても良いと思う。
バーナネンさんが自殺を止められたことを
恨むのではなく感謝してくれていてほっとした。
弟を刺してでも自殺しようとするような人な訳で、
この贈り物とカードの量は素直に受け取りにくい。
弟はまた随分キャラが正反対の人で意外だった。
贈り物を大事な人にあげたらいいと言われて、
まずアードルフさんやクスタさんを思いついてほしかったなと思う。
家族にあげたら、とあっさり言えてしまうアキ、よほど幸せな家庭で育ったのだろうか。
家族がいないと言われて訳ありなことに気づきそうなものなのに、
勝手に会いに行くセッティングをしようとするのはお節介が過ぎる。
生きている内に会ったほうが良いかどうかは事情によると思う。
ジュンの場合は遠慮しているだけっぽいので
強引に連れて行ってくれる人がいて正解だったのだろうが
本当に余計なお世話なことも多々あるのになという気持ち。
アードルフさんが策略に乗ってしまったのがちょっと嫌な気持ちになった。
犬のエピソードは短くて可愛いお話だった。