あらすじ
失われた日常を取り戻すため、ワタルは異世界へ旅立った。目指すは、どんな願いでも叶えてくれるという女神のいる「運命の塔」。愛すべき仲間たちと心をひとつに、ワタルは数々の困難に立ち向かう。
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Posted by ブクログ
中巻で一気に物語が進み、亘も大きく成長した。
トローン、主役ではないけれど好きなキャラクターの一人で苦労人な感じがよい。それに最初の廃教会での戦闘は、RPGをプレイしているようで本当におもしろかった。スリルがたまらない。
ミツルは相変わらず思い描いたような優等生でワタルよりも二歩も三歩も先を進んでいる。なんだかんだ現世でのお母さんのガス栓事件といい、魔病院といいワタルを助けてくれる。ミツルの装備が好き。
自然を人間はいいようには変えられない。北の凶星はそれを象徴していて、不穏で、物語を一気に物々しい雰囲気に変えて、これからのワタルとミツルの行く先が気になる。みんなが幸せになる世界があればいいのに、と願わざるおえない。
Posted by ブクログ
自分の心に余裕がある時期なら、手に取らなかっただろうと思う。
まず、思いのほか、おとぎ話の世界ではない、現実の出来事を語る第1部が長かった。上巻はほとんど第1部である。だからといって退屈だというわけではない。現実でうまくいかないことがある。別の世界に導かれ、冒険を続けていくうちに、不思議と現実の厳しさにも相対できる素質が備わっているーおそらく、この物語はそういう話だ。
そういう枠組み自体、もしかすると珍しいものでもないかもしれない。加えて、両親の離婚という「困難」も、現代ではありふれてさえいるのかもしれない。
それでも、第1部には、人生には簡単に答えが出せない問いがあって、しかも誰にでもそれに直面することがあるのだということを感じさせる。家を出た父は勝手だと、ワタルと一緒に読者も感じる。けれど、ワタルの父に近い年齢になった今だからそうも思うのかもしれないが、彼にもまた理があるかのようにも感じる。
中巻に入り、幻界でも、小学生の主人公にはシビアに感じられる試練がある。特に、嘆きの沼の場面は…。おとぎ話の世界にも民族間の争いや宗教上の対立がある。「半身」の理不尽がある。幻界の試練は、選択したり決断したりすることの困難さを、現実界と同じように提示している。私が一番苦手な問題。決断しないといけないということ。。
ファンタジーにはよくある要素を漏れなく含んでいる王道という気もするが、問題の設定の仕方がある意味、現実らしくていやらしい。愛と勇気だけでは解決できない解決があるということを知る、ということなのだろうか…?