あらすじ
突然始まった単身生活。モットーは「“まあまあ”でいいじゃないか」。簡素に食事を調え、落語は読んで鑑賞、旧知の場所を訪ね、亡き人の思い出に親しみ、眠れぬ夜は百人一首を数える――迫りくる老いを受け止めながら日々を軽やかに過ごすコツを伝授し、人生の豊かさを再認識させてくれる滋味絶佳の老境エッセイ。
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Posted by ブクログ
メディアでかなり取り上げられていた、高橋源一郎のラジオ番組にもゲストとして呼ばれていた。「老い」の本を読むのはきらいじゃない、だれでも感覚として理解できるのは今の自分だけなので先にいってしまうであろう方たちの心情を知りたいと思う。やはり勢いはないが滋味が感じられる、枯れた味わいというものだろう。
感銘を受けたところはたくさんあるが、特に「私の好きなもの」の章で終わるのが好きと言っていること。結果はどうあれ終わったことが安らかでうれしいと。❝終わること❞を好きと言ってよいのですね。もうひとつ読書に関して、阿刀田さんでも『百年の孤独』を放り投げてしまったとある。もちろん私もわっからんと思ってやめる本は多々あるがおもしろいだけの本でも読むと楽しいと当たり前のことをシンプルに肯定しているのがうれしい。知力を高める読書とおもしろい読書を分けて考えよということだ、心強い限りだ。最後にユーモアについて、名言だと思うので引用させていただく。
(p111)日常において、普通とは違う知的なアイデアが浮かぶということ、これが尊い。社会生活において、ほとんどの場合、予測されることがその通りに流れていくのに対し、この奇妙な、ささやかな抵抗が快い清涼剤になったりして、私はここにユーモアが注目され褒められる淵源がある、と考えるのだ。ささやかな、べつの見方、これが大切なのだ。そしてユーモアを持つ人が好まれ、褒め言葉になるのはこれが思いのほか役立つときがあるからだ。(引用終わり)