あらすじ
信仰を通して命をかけて信念を貫いたガラシャ夫人の生涯を描いた著者初の歴史小説。
細川忠興に嫁いだ、明智光秀の娘・玉子は、光秀が信長を討ったことから逆賊の娘となってしまう。しかし、忠興は玉子を離縁せず、幽閉する。子を死産させてしまった玉子はその身の上を嘆くが、侍女から聞くキリスト教に興味を抱いていく。そして、秀吉のキリスト教禁令発布下、玉子は忠興の許しを得ずに、三男とともに受洗。洗礼名をガラシャとするが……。人間としての自我にめざめていた玉子(後のガラシャ夫人)を通して、女性が人間らしく生きることの意味を問う著者初の歴史小説。
「三浦綾子電子全集」付録として、夫・三浦光世氏による「創作秘話」を収録!
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Posted by ブクログ
初めて歴史小説を読んだ。
歴史に詳しくない私でも、すらすら読める内容だった。
ガラシャの生き様、
忠興の『武将』たしての生き方、
もう、言葉にならない感動だった。
最後の最後に初之助の骨が出てきたこと、
胸にくるものがあった。
信仰とは、人を救うんだなと思った。
考えさせられる作品だった。
Posted by ブクログ
304ページ以降の玉子の凛とした佇まいと最期には、思わず私も電車で鳥肌が立ち、ひとりマフラーに顔を埋めながら涙しておりました。
一方でキリスト教や、神を信じることって、こうゆうことなの?と言葉にできない矛盾を感じて、この本を勧めてくれたクリスチャンの友人に聞いてみたら、やはりその時代によって信仰の在り方は様々なのではないかと…玉子の生きた時代はデウス様に頼ることしかできなかったのではないかと……
その為この細川ガラシャ夫人という本を読んで終わりではなく、いろんな角度から宗教や信仰の在り方を見ていきたいと思ったし、信長はなぜあんなにも暴君なのかということも気になる…どういった生い立ちがあって信長が完成したのだろうか…
兎にも角にも時代に揉まれ生きづらさを感じている玉子は自分と重なる部分があった気もするし、最期まで芯の強さは変わらなかった彼女を私は見習って、頑張って生きていこうと思います(笑)
Posted by ブクログ
下巻は、光秀が信長を討ったとの報せが玉子のところに入るところから始まります。
夫の忠興は実家の家族が皆亡くなった玉子を味土野の山奥へ
幽閉します。
その時にキリシタンの清原佳代という侍女が供をしますが、玉子はこの時、佳代の影響を大きく受けます。
そして多摩湖は2年の後にその時天下を取っていた秀吉に許されて帰館します。
すると忠興にはおりょうという側室がすでに居て、玉子は非常にショックを受けます。
玉子は
「男はすべて女を策略や戦の道具に、あるいは子を産む道具にしか考えていないのではあるまいか」と思います。
そして「信仰を得たならば、こうした苦しみが消えるかもしれない」と思い、佳代らの助けを得て、洗礼を受けガラシャという洗礼名を授かります。
父の謀反によって家族全員を失い、夫の忠興しかいなかった玉子にはキリシタンとして生きる以外には道はなかったのはよくわかりました。
それにしても、この作者の三浦綾子さんは秀吉を二百人の女性がいるというかなりの女好きと書かれており反吐が出そうでした。
その美貌で秀吉をも虜にした玉子は知恵をもってその毒牙からものがれます。
そして、また夫、忠興との仲を取り戻して、キリシタンとして38歳で最期を遂げます。
散りぬべき時知りてこそ世の中の
花も花なれ人も人なれ
玉子(ガラシャ)辞世の歌
そして、玉子の灰になった遺骨の側にあったという子供時代からのただ一人の家臣で玉子を陰ながら慕い、修士となっていた、初之助の遺骨。
忠興の、男泣きには涙を誘われました。