あらすじ
信仰を通して命をかけて信念を貫いたガラシャ夫人の生涯を描いた著者初の歴史小説。
細川忠興に嫁いだ、明智光秀の娘・玉子は、光秀が信長を討ったことから逆賊の娘となってしまう。しかし、忠興は玉子を離縁せず、幽閉する。子を死産させてしまった玉子はその身の上を嘆くが、侍女から聞くキリスト教に興味を抱いていく。そして、秀吉のキリスト教禁令発布下、玉子は忠興の許しを得ずに、三男とともに受洗。洗礼名をガラシャとするが……。人間としての自我にめざめていた玉子(後のガラシャ夫人)を通して、女性が人間らしく生きることの意味を問う著者初の歴史小説。
「三浦綾子電子全集」付録として、夫・三浦光世氏による「創作秘話」を収録!
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Posted by ブクログ
本巻では、本能寺の変直前から細川ガラシャが没する関ケ原の戦い直前までを描く。
細川ガラシャという人物はキリスト教の教えに従い天寿を全うした印象が強いが、キリスト教の洗礼を受けたのは死の約10年前と割と短め。それでも洗礼を受ける前からキリスト教思想の影響を受けていたことが伺える。
周りの人への慈愛と信仰に則った凛とした姿勢に思わず感嘆してしまう。
Posted by ブクログ
色々考えさせられた。
キリスト教において、他人を殺してはいけないのと同様に、自分のことを殺してはいけないと有る。よって細川ガラシャは家臣に自分を殺してもらったが、それは他人にその罪を負わせていることになっているし、何よりそれは律法主義的な考え方に縛られている気がした。
Posted by ブクログ
ずっとガラシャ目線で物語が進んでいく
少しはほかのキャラクターの心情があってもよさそうなのに
上巻に出てくるオリキャラさえ知ってしまえば、下巻だけよんでもよさそうな気がする
Posted by ブクログ
下巻では、細川忠興に嫁入りした玉子にとって、急転直下の父明智光秀が起こした本能寺の変。逆賊の娘となり、姉の倫も弟も母親も根絶やしにされ、生に執着する忠興の指示でゆいいつ味土野に数年幽閉されて生を得る、豊臣秀吉のゆるしを得て戻ったときには忠興は側室をつくっていたので心が萎え、救いを求めて清原佳代をてがかりにキリシタンになる。やっぱりキリシタンに改宗した理由がぴんとこなかった小説でも。辞世の句は聡明な彼女っぽい「散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ 」。上巻に比べて下巻の勢いが落ちた印象。
Posted by ブクログ
明智光秀の娘、玉子の生涯を描いた小説(上下巻)。歴史を学ぶ上でメインではないガラシャ夫人を知り興味を持ちました。
歴史小説は私にはハードルが高いのだけれど、三浦綾子さんが書いたもので読みやすかった。
戦国時代について考えさせられました。人権もなんもあったもんじゃない。野蛮で残虐極まりない、ひどい時代…。
そんな時代の中、明智光秀はめずらしく教養があって妻と娘を愛する人間らしい人。織田信長を裏切って暗殺したという一般的な悪いイメージが覆された。織田信長こそ、本当に極悪非道な人物で読んでいて気分が悪くなるほど。光秀は信長に追い詰められた被害者だった気もする。
その光秀のもと明智家で愛情を持って育てられた玉子は美しく聡明な女性。幼いころから女性が政略の道具に使われ物のように扱われることに疑問を抱く。玉子も信長の命令で嫁ぐことになるが、本能寺の変の後、激動の人生を生きることになる。
今日の友は明日の敵。誰が天下を取るかわからぬ戦国の世、お家を守るために殺したり殺されたりが日常茶飯事の時代。受け入れがたい運命の中、玉子は人間らしく生きたいともがき苦しむ。こんな世の中だったからこそ、信仰が彼女の大きな救いになったのだと思う。理不尽なことだらけで、信仰がなければ正常な精神を保てないんじゃないかと思う。
戦国時代、その中でのキリスト教のあり方について知る、非常に興味深い本でした。
ちなみに私は玉子を陰から見守る初之助の秘めたる深い愛に心打たれました。
Posted by ブクログ
再読。
父光秀の起こした本能寺の変により暗転してしまったガラシャの運命。幽閉のために幼子たちと別れる場面が特に辛い。
けれど、深い悲しみと苦悩のその先には信仰という光が待っていた。彼女が信仰に触れるきっかけとなった清原マリヤの「苦難を恩寵と思えるように祈る」という言葉は宗教色こそ強いが、これは考え方の違い、発想の転換なのかと自分もハッと胸を突かれた記憶。
「散りぬべき時知りてこそ 世の中の花も花なれ人も人なれ」の辞世の句から滲み出るガラシャのひたむきな情熱と生き方の覚悟は、読む度に強く心に迫り訴えかけてくる。
Posted by ブクログ
乱世の不穏な世情ながらも幸せに暮らしていたのは上巻まで。
本能寺の変から、一気に逆賊の娘として過酷な運命に
翻弄されていく様が描かれています。
歴史的にすでに知っている方でも面白く読めると思います。
自分は何もしていない、穏かに暮らしているだけなのに
次から次へと降りかかってくる火の粉。
運命に翻弄されるってまさにこういう事ですよね。
何かにすがりたくもなる気持ちはよく理解出来ます。
ただなぜキリスト教なんでしょう?
傾倒するまでの心の移り変わりはよく描かれているのですが、
最後のところでやはり理解が及びませんでした。
信者でない私には、熱心さ真剣さは頑固さにしか思えず、
信者の心情を理解するには至りませんでしたが、
それでも玉子の生涯には感動を覚えました。
まっすぐに己の信念に従って進む姿は美しいです。
ただ死を目前に周りの者にも信者になれなれコールが
少しひつこかったかな・・・(笑)
Posted by ブクログ
この人の書く文章はとても優しく美しい。
時代を全く感じさせないで、スーッと心に沁み込んできます。
光秀の娘、ガラシャ。
どれ程までに美しかったのだろうか。
あとがきの一言がとても素敵だったので引用させていただきます。
『どの時代にあっても、人間が人間として生きることはむずかしい。真に人間として生きるということは、実にたいへんなことなのだ。』
ズシンときました。
信仰の話を抜きにしても、やはりこの人が書く小説はとても面白いと思います。
Posted by ブクログ
玉子の覚悟と信念に最後の十数ページは、涙をためながら一気に進んで、気がついたら終わっていました。
この後の天下分け目の戦いが、玉子の姿勢で影響されたかもしれないというのも知らなかったので、あらためて立派な人だったんだな、と思いました。
そして、キリスト教についても学んでみたくなります。
戦国を知るには大事なところだよなぁと。