あらすじ
予算策定から事業再生まで、事業の全プロセスで会計が使える! 決算書は「企業経営の成績書」といわれるが、実は過去を振り返るだけでなく、ビジネスの構造や将来を考える材料としても使える。累計50万部突破の「財務3表シリーズ」第3弾。「理解」から「分析」、そして「実践活用」へ。あなたの会社の事業で即、使える! 全ビジネスマン必読。
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Posted by ブクログ
2020年6月14日記述
財務3表実践活用法
國貞克則氏による著作。
2012年7月30日第1刷発行。
著者である國貞克則氏の略歴は
生年月日
1961年1月20日
出身地
岡山県備前市吉永町
学歴
1979年 岡山県立和気閑谷高等学校卒業
1983年 東北大学工学部機械工学科卒業
1996年 米国ピーター・ドラッカー経営大学院にてMBA取得
英語力TOEIC 870点
職歴
1983年 (株)神戸製鋼所入社 プラント輸出、人事、企画、海外事業企画を経て、
2001年 ボナ・ヴィータ コーポレーション設立して独立。
財務3表一体理解法シリーズの3つ目となる。
この巻だけ改訂はされていない。
ドラッカー経営学のコラムも所々に入っていて会計以上に興味深い。
印象に残った箇所としていくつか挙げたい
単式簿記の方法で作られた帳簿が、現金の出入りを表す収支計算書です。
収支計算書は実際の現金の出入りを表しているので理解しやすい表ですが、残念ながら収支計算書だけでは企業の資産や負債の状況まではわかりません。
ドラッカーの言う「強みを活かせ」という言葉を誤解している人も同じように増えているように思います。
例えば、次のようなことを言う人は、ドラッカーの真意を理解していません。
「ドラッカーも強みを活かせと言っている。私は会計が苦手だから会計の勉強なんかしないよ」
確かにドラッカーは「強みを活かせ」と言っていますが、それは持って生まれたもの、もしくは幼少期に形作られた与件のようなもののことを意識しています。
ドラッカーは「強みを活かせ」と言うと同時に、次のように言っています。
人事部門の人は会計を知らないし、会計部門の人は人間について知らなすぎる。
自らの強みを発揮する上で必要な技能や知識は当然身に付けなければならない。
外国語や経済学や数学の知識は誰でも学べる。
もし成果を上げる上で外国語や会計の知識が必要なら当然それは勉強すべきである。
ドラッカーの言う強みとは技能や知識のことではなく、
その人に本来備わっている特徴的な強みのことなのです。
繰り返しますが、企業は売上や利益をコントロールすることはできません。
コントロールできるのは、企業内部の活動であるマーケティング機能、イノベーション機能、管理的機能です。
ですから、目標を設定すべきなのは売上や利益ではなく、
自らがコントロールできるマーケティング機能、イノベーション機能、管理的機能についてです。
企業はこの3つの機能を文字通りうまく機能させることができるようになって初めて真の事業再生が成し遂げられるのです。
企業の目的は利益をあげることではありませんが、
利益がなければ企業は存続できません。
企業にとって利益は、人間にとって水のようなものです。
人間は水を飲むために生きてはいませんが、水がなければ生きていけません。
企業も同じです。
企業の第一の目的は利益をあげることではありませんが、企業は利益がなければ存在できません。
そういう意味でドラッカーは、利益は企業の目的ではなく条件であると言います。
企業の目的は何でしょうか。
ドラッカーは「企業の目的の定義は一つしかない。それは顧客の創造である」と言います。
社会を生き物として見ていたドラッカーにとっては顧客の満足では駄目なのです。
社会は生き物です。
生き物は変化します。
しかし、その変化は予測できない。
つまり、将来はわからないのです。
そのような常に変化し、その変化の先も予測できない世の中で生き残っていくためには、企業自らが変化を作り出していくしかない。
変化の最先端に企業自らが立つしかないのです。
上司と部下の関係においていうと、部下が上司の期待に応えるのはマーケティングです。
しかし、それだけでは駄目なのです。
仕事の現場の詳細は部下の方がよく知っています。
上司の期待を超えた仕事をするのがイノベーションです。
これができて初めて一人前のビジネスパーソンになります。
会社も同じです。
「顧客満足」「お客様第一主義」は大切です。
でも、それだけでは不十分です。
それは上司の言う通りに働く部下と同じようなものです。
会社は自社が提供する商品やサービスについて、
お客様より多くの情報や知識を持っています。
お客様の期待を超えた新たな商品やサービスを提供し、
新たな市場を創造することができて初めて一人前の会社と言えるのです。
ドラッカーは才能がなくても大きな問題にはならないが、真摯さを欠く人間はすべてを破壊すると言います。
特に経営トップに真摯さがない場合、組織全体が駄目になります。
Posted by ブクログ
中小企業診断士試験足切り付近の戦いになんとか勝利したレベルの、ザイムに特段苦手意識の強い自分だが、この本はすごく面白かった。
学んだことを、早速実践してみようと思う。
でも、財務3表の基礎知識は持っておかないと、多分、よく理解できないと思われる。
キャッシュフロー
分かりやすい説明で理解が進んだ。著者の他著書と被っている内容もあるが、キャッシュフローなどはこれまで読んだ中で重複なく、興味深く読めた。
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・会社はどんなビジネスをしていても、すべての会社は①お金を集めてきて、②そのお金を何かに投資し、③利益を上げるという3つの活動をしている。
・どのようにお金を集めてきたか→貸借対照法の右側
・何に投資をしたか→貸借対照法の左側
・利益を上げる→損益計算書
・①②③の動きを現金で把握→キャッシュフロー計算書
・1年以内に返済しなければならないのが流動負積、1年を超えて返済しなければならいのが固定負積
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一体理解法、図解分析法との3部作の3作目。
これにより3冊制覇。
前2冊の復習4割、管理会計6割くらい。
財務諸表の作り方、読み方は身についたかなと思うので、意思決定会計を次は勉強しようかなと思います。
普通の人→収益と費用
お金持ち→投資とリターン
というのは納得。
自分も買い物する時、安いのばっか買ってしまうから、投資とリターンの視点を持つようにします。
Posted by ブクログ
三部作の締めですが、一般社員が売上と費用でものを見ているのに対し、経営者は投資とリターンというまったく違う段階から物を見ていることが分かった。昨今の東芝やSHARPの急を要する利益対策のがなぜ売上増や費用減を目指さないのか(急にはできない)、その他経費削減ではなくすぐに人件費削減をされるのか(広告費や研修費は全体から見てのウェイトが小さい)、債務の返済はインパクトが大きいのかといったことがよく分かった。
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会社で長年働いていてもなかなか理解できないのが、企業会計。
少しでも理解を深めるべく、関連図書を読むようにしています。
その中で、財務諸表の見方の「入り口」を教えてもらったのが、『財務3表一体理解法』という本。
その著者が”実践活用法”の本を出版したということで、読んでみることにしました。
本書は大きく3章に分かれた構成になっています。
まず、財務3表によって会社の事業の状況を俯瞰する視点を説明し、次に「利益と現金とは違う」と展開し、最後に「世の中は投資とリターンで回っている」としてその評価方法が書かれています。
僕は最初の財務3表の見方の部分に興味があったのですが、見方のポイントに加えて、事業再生はどのように進めるべきか、予算というものは何故必要でどのような手順で進めるべきかといった、起業や経営再建に役立つような内容が書かれているなあと、理解しました。
利益と現金については、「利益は意見、現金は事実」という言葉が紹介されていたので、企業で働いている身としては考えさせられました。
この一冊を読めば次の日から財務諸表を読みこなせる、ということではないかと思いますが、起業会計の必要性とその仕組みを理解するうえで、有用な内容だと思います。
Posted by ブクログ
会社で、会計の仕事に就いている訳ではありませんが。一般の人でも、簡単な会計を知っておいても損はないと著者は言います。自分の会社の財務状況ぐらいは分かっている方が良いですからね。
さて、著書ですが、財務状況を見る上で、「売り上げや利益」も大切ではあるけど、それ以上に「投資とリターン」の概念が大切であると言う事。会社は永続的に続いていくと考えれば、当たり前と言えば当たり前ですが。どうしても、目先の利益にいってしまう。M&Aにおいては特にその考え方は大切です。
本書の中で、ドラッカについて触れられている個所がありますが、印象深かったのが「顧客を創造する」と言う事。変化の著しい世の中で、唯一絶対なのは顧客を作り出すことだと。会計と言う粋を超えた経営哲学にも触れた分かりやすい本だと思います。
Posted by ブクログ
同著者による「理解法」「分析法」に続く第3弾。
内容は良いが、3部続くとさすがに前作、前々作の焼き回し感が否めない。
ただ財務3表を一体的に理解しようというスキームはわらずにわかりやすい。
星3は3部作を連続して読んだことによる飽きの部分もあるのでお含みおきを。
以上
Posted by ブクログ
財務3表一体理解法の続編。
実際の企業の比較を用いて著者の「財務3表一体理解法」をさらに深く学ぶことができる。
ただし随所に出てくるドラッカーの引用はいらないかな。
(ドラッカーは好きだけど)
「財務3表一体理解法」で十分。
Posted by ブクログ
財務3表シリーズの第3段.3章で構成されている.1章では,事業運営のシミュレーションを行っている.経営施策がBS,PLにどのように効いてくるかが分かる.損益分岐点分析についても述べてある.2章では,利益だけでなくキャッシュが大切であるということを売上の拡大でキャッシュが足りなくなるという事例をベースに述べている.3章では,M&A等の際の企業価値の評価手法を紹介している.また休憩のコラムとして,ドラッカーのマネジメントについて紹介している.
今までの2作を読んでいればあまり新しいトピックはないかもしれない.平易に読み進められるので,休憩用の読み物としてはちょうど良いかも.
Posted by ブクログ
シリーズ三作目。
簡単な管理会計の話、利益とキャッシュ、売上と利益ではなく投資とリターンで考える。といった内容。
前二作に比べて、目新しい気づきの少ない内容だったのが残念。
Posted by ブクログ
以前に読んだ数冊の簿記の本で多少、簿記に関して理解できたと思っていた自分であるが、実際に仕事で使ったり、会社の決算書を読むレベルでないことは確かである。
簿記の資格試験を受けることも考えてはいるが、なかなか実践に移せていない現状。
書店で目にとまったこの書籍。
正直、この本一冊読んで、すべてを理解しようとは思わないが、いわゆる財務3表の全体像を把握するためにも参考になるかと思い、購入した。
貸借対照表、損益計算書は以前の書籍で内容はわかっていたが、キャッシュフロー計算書は初めて見るものであったが、特に難しいものではなかったので、とくに気にも留めず読み進めた。
この書籍のわかりやすいところは、仮想的に自分の会社を立ち上げて、商売を進めていくという形であるところである。 いきなり数字がごちゃごちゃ記入されている表が登場するわけではなく、会社を立ち上げ、商売するための準備をし、実際に商品を売買し、税金を払うまで、順序立ててわかりやすく説明されている。
そしてそのつど、3表の関係が確認されていくので、納得しながら読み進めることができた。 読み終わって、これで完璧だ! というわけではないが、簿記の書籍を読んで腑に落ちなかった点が解消されて、今後の簿記の勉強では、とりあえずこういう決まりだから。。。ということはなくなっていくであろう。
この書籍は、会計の初心者の私には一度読んだだけでは身につけることは難しいので、何度か読み返し、しっかり身につけて行きたい内容であった。
Posted by ブクログ
恒例の財務3表シリーズの最新刊(理解→分析→活用)。今回は管理会計がテーマの1つになっているけど、これまでの内容の焼き直しもあり、これまでの著作を読んでいる人はあえて読む必要はないかもしれない。もちろん、管理会計の基本的なツールである損益分岐点分析やCVP分析の説明はあるし、そこはわかりやすいのだけど、水増し感が多少ある。
とはいえ、面白かったのは時事ネタとしてのオリンパスの粉飾決算のカラクリの解説。自分用にメモ。
【オリンパスの粉飾決算について】
・問題の直接の原因はオリンパスの株式投資の失敗。損失額はおよそ1000億円(保有有価証券の含み損)。当時のオリンパスの売上高は2000億円程度であり、一括でPLに有価証券評価損を計上すれば、売上の半分が吹っ飛ぶレベル。
・そこで、問題の表面化を避けるために、受け皿ファンドを利用した有価証券の買い取りで、オリンパス本体のBSから消し去る「飛ばし」を実行。具体的には、海外銀行への預金を行い、海外銀行はその預金を担保に受け皿ファンドへ融資。また、オリンパスが設置した投資事業組合へ出資し、投資事業組合が受け皿ファンドへ出資。これで、オリンパスから間接的に受け皿ファンドへ不良化した有価証券を買い取らせる準備ができる。
・しかし、このままだと受け皿ファンドは実質的に価値のない有価証券を資産として保有するだけで、海外銀行からの負債を返却できない。そこで、まず、受け皿ファンドが3つの企業の株式を10億円で購入。続いてオリンパスがその株式を800億円で購入することで(本来の企業価値と離れた不自然なM&A)、オリンパスから受け皿ファンドへ資金が流れ、受け皿ファンドの負債返済が可能になる。
・一方、この株式取得で、オリンパスは10億円の企業価値しかない企業を800億円で購入したために、差額の790億円がオリンパスのBSにのれんとして計上される。のれんの償却期間は20年のため、単年度のPLに計上する減価償却費は40億円程度と、処理可能なレベルにまで圧縮された。
・しかし、2009年3月期決算の監査にて、監査法人よりこの不自然なのれんの存在を指摘され、オリンパスは一括で550億円を減損処理し、特別損失としてPLへ計上。一連の事実に気づいた社長が告発を実施し、問題が明るみへ。
・結局、損失を計上することには変わりないが、当時の売上高では一括で費用処理が困難であったために、償却により単年度損益に影響が出ないレベルへ損失を加工するというのが、今回のカラクリ。