【感想・ネタバレ】知識経営のすすめ ――ナレッジマネジメントとその時代のレビュー

あらすじ

日本企業は二度の石油ショック、ニクソン・ショック、円高などを克服し、強い競争力を作り上げてきた。日本企業に比較優位をもたらしたのは組織的知識構造をコアとする労働スタイルにあった。それは個別的な直感=暗黙知を形式知化して組織全体のものにし、製品やサービス、業務システムに具体化していく組織の運動能力をさす。いくつもの優良企業のケーススタディをもとに知識創造と知識資産活用の能力を軸として、大転換を迫られている日本的経営の未来を探る。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

知識経営のすすめという表題に胡散臭さを感じた。
第4章が、場をデザインするという題目になっているので、逆に、親しみを感じた。
知識では役に立たないが、場が共有できれば、役にたつかもしれないからだ。

内容が、やや抽象的すぎて、現地、現物の地から強さが感じられない点が、読み終わった不安感をかきたてている。
結局、経営は不安との戦いなのだろう。

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2011年10月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 本書はナレッジ・マネジメントの導入書である(といってよいと思う)。ナレッジ・マネジメントは、この本の著者の1人である野中郁次郎が提唱した企業マネジメントの方法論であるが、この本では、ナレッジ・マネジメントの胆となる概念である「知識」と、組織の成員が集まって知識を創出する「場」の重要性を説いている。

 私自身が本書を読んで重要だと感じた点は、以下の3点である。

 (1) 「知識」と「情報」は、曖昧な形ではあるが、ある程度は区別することができる概念である(著者はあまりこのことを重要視していないようではあるが)。「知識」は「個人や組織(集団)が認識・行動するための、道理にかなった秩序(体系・手順)」(101-102ページ)である。その際、知識を用いる人がその知識内容を正当なものとして認識していることがポイントとなる。一方で「情報」は、(一般的には)「データから構成された意味や意義」(103ページ)のことを指し、「情報」は「知識」の形成に寄与するものである。

 (2) 「知識」はさらに、「形式知」と「暗黙知」に区別されて考えられる。「形式知」とは言語化が容易な知識のことを指す。例としては、マニュアルや文書情報などが挙げられる。こうした形式知は、言語を媒体として共有や編集が可能である。
 一方で、「暗黙知」とは言語化しえない、あるいは言語化しにくい知識のことを指す。例としては、熟練の職人の技術などが挙げられる。暗黙知は言語化の難しい知識であるが、身体経験によって個人に取り込むことができる知識である。
 知識の創出の際には、形式知を暗黙知へ変換したり、逆に暗黙知を形式知へと変換する作業などを通じて、組織に所属する人々の間で形式知や暗黙知を共有するプロセスを構築し、分析することが肝要である。ちなみにこのプロセスは「SECIプロセス」と呼ばれている(cf. 111-115ページ)。SECIプロセスは繰り返されることが重要であり、それによってこのプロセスにかかわる人々の成長が期待できるのだという。

 (3) 「場」は、組織に属する人々が知識(形式知・暗黙知の両方)の共有や創出を行う結節点となるために、重視されるものである。そしてまた、「場」の様態は、SECIプロセスに沿って分類し分析することができる。

 「知識が重要だ」と指摘すること自体は簡単である。しかし、実際には現場の知識を持つ人々(組織に所属する人々)の参加意識が必要であり、知識共有に人々が貢献することで人々にメリットが感じられなければならない。そのため、知識共有に対して人々が自発的に取り組んでくれるような状態とすることが重要となる。

 本書は、ナレッジ・マネジメントという方法の要点を整理しており、それゆえに私はこの本をナレッジ・マネジメントの「導入書」であると見なした。しかし、本書の内容だけでは、組織の中での具体的な実践へと結び付けることは難しいだろう。ナレッジ・マネジメントは魅力的な方法論のひとつであると思うが、当然ながら、組織の状態をよくふまえた上で用いることが肝要となる(本書の著者は、ナレッジ・マネジメントが短期的に成果をもたらすような方法でもなければ、体系的に商品化されたような「便利な経営手法」でもないことをきちんと記している)。このマネジメント手法についてさらに深く知りたい方は、『知識創造企業』も併せて読むとよいかもしれない。

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2011年04月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 1回生夏季休暇の課題図書として先生が複数の書籍を紹介した中から、タイトルに惹かれ選択。
 近年叫ばれる「知識経営」についての著作。勉強している方にとっては当たり前のことばかり書かれているのかもしれませんが、読んだ当時の私にとっては学ぶことの多い本でした。この本で得た知識は、他の経済論やマーケティングの授業でも役に立っています。
「知識経営」と言われると何だか仰々しく聞こえますが、無形の知識を商品にする、あるいは知識を組み込んだ商品を提供することで収益を得る経済・企業の話(コンサルティング業など)で、これはまさに現在の経済の姿です。よって、是非知っておくべき内容です。
 一番重要なのは、やはり人であり、そのリーダーシップや行動力、コミュニケーション。

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2011年02月05日

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