あらすじ
汐路のいとこ兄妹が命を落としてから数ヶ月、町を呪った近江敬次郎の復讐はまだ終わっていない――。そう考え、町にとどまった汐路は、一人の老人に引き合わされる。戦時中、近くに駐屯していたという元軍人で、終戦直後に姿を消した部下の行方を捜している、という。幕末に流行した「かごめ唄」が平成の世にまたはやり始め、童謡に乗せて、新たな罠が動き出す。横溝正史ミステリ大賞受賞作『長い腕』に、待望の続編!
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Posted by ブクログ
「長い腕」から11年後、続編は忘れたころにやってきた。江戸末期に生まれた大工の、時代を超えた悪意(呪い)がまた早瀬を襲う。いくつものエピソードが巧妙に織りなす一気読みのミステリ。
愛媛、早瀬町での事件が解決した後、時は流れてもまだ呪いは収まっていなかった。
前作ではゲーム会社に勤めていた主人公の汐路が今は帰郷している。ゲームのデザインは、独立しても契約さえ結べばオンラインでできる仕事なので、汐路は二三年で契約更新をして気ままに住居を移している。
江戸時代末期、早瀬の宮大工喜助一家に不幸が訪れる。喜助が守り育てていた地元の神社用の貴重な檜が讃岐の金毘羅歌舞伎の改修に密かに売り払われた。村を牛耳る権力者(六つある本家筋の有力者)が高値で売り払ったのだ、喜助に無断でやれるはずもなく、その後の喜助一家は仕事を奪われ食料の途は絶たれ、技を伝えようとした息子たちも可愛い娘も飢えて死についに妻まで槍ガンナで殺した。
「子、孫その子の代まで、末の末まで呪いたたってやる。」
早瀬村で起きた悲劇の発端である。
ときは大政奉還の翌年(1868年)薩摩屋敷で勝と西郷の会談シーン。
江戸は無事大火から免れ、江戸城と江戸の町は新しい時代に入った。
ここから気っぷのいい父勝小吉と麟太郎親子のエピソードが並行して進み快い風を吹き込む。
そのうらに一家心中から密かに生き残った息子の一人が江戸の大工の棟梁に引き取られて成長し唯一名工と呼ばれるようになる。後の近江啓次郎である。
彼は早瀬に入り、乞われて見事な腕を披露して屋敷を建てる。それが第一話の悲劇を起した。
前の事件がいつかヒロイン汐路の記憶の底に沈みかけていた頃、旧友のエリカが汐路を訪ねてくる、フリーライターの彼女はまず旧家の藤屋敷を訪ねる。藤家は鶴喜神社の神主で近江啓次郎の奉納額があり朱色の手形が押してあった。
石鎚山の瀬戸内海側に聳える亀釣山は、戦時中は陸軍の高射砲陣地だった。その時の生き残りで下士官の長谷川正男という老人が汐路に村の案内を頼んできた。
陣地から行方不明になった三人は行方がしれないままだった。
海岸で見つかったたくさんの骨。汐路の子供の頃父親に連れられて訪れたことがある海の記憶。
関東大震災に早瀬出身の三井玲子が巻き込まれ死亡、娘と息子と玲子を病院に運んだのは汐路のかつての上司石丸だった。気配りの出来た上司は不思議に謎めいた影があった。
令子の部屋から出てきた曰くありげな小さい円盤には鶴と亀が彫られていた。
エピソードがそれぞれ進んでいくがその底にいつも「かごめ唄」があった。
歌は静かに時代を超え形を変えて伝わっている。
それが又流行り始めていた。
徳川幕府の埋蔵金が亀釣山にあるらしい。
人びとの想いの全ては亀釣山の地下坑道に収斂して、事件が起き呪いの謎が解ける。
それぞれ別な時代に別な場所で生まれて生きた人たちが悪意を避けるために生死を賭ける。現代に起きた悲劇は呪いであったかもしれないし、自己が生み出した醜い欲かもしれない。
時代をまたいで流行りだす「かごめ唄」はヴァン・ダインやクリスティーの作品のような見立てでもなく、横溝さんの名作「獄門島」拠りでもないが気味悪く面白い、ホラーからミステリに近い二作目は、シリーズにする難しさもところどころに読み取れた。
母の実家は石鎚山の高知側で、(架空の村だが)瀬戸内側の早瀬とは反対側になる。四国に居た子供時代の友人は海側に何人かいて松山から山を越えると住んでいる町が見える。私はわりに頻繁に村に行くので、そんなこともあって愛媛県出身の作者だし読んでみたら、受賞作がシリーズになっていてとても面白かった。
もう一冊あるので呪いはどんなふうに解けるのか、汐路の未来や、石丸は何者か、楽しみだ。
Posted by ブクログ
長かった~~~
いや・・・そうではない・・・・ちょっと現代と江戸の話が交差していて世界観がね・・・・
でも・・・Ⅲが気になる・・・・。