あらすじ
交わることのない、人の想い。切ない終わりがやってくる。「浅葱、もう少しで会える」『i』は冷酷に2人のゲームを進めていく。浅葱は狐塚や月子を傷つけることに苦しみながら、兄との再会のためにまた、人を殺さなければならない――。一方通行の片思いが目覚めさせた殺人鬼『i』の正体が明らかになる。大人になりきれない彼らを待つ、あまりに残酷な結末とは。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
上巻の終わりになってから一気にページをめくる手が止まらなくなり、翌日に慌てて下巻を買ってすぐ読んだ。特に下巻の後半は一晩で一気読みした。
辻村深月さんの感情描写には息が苦しくなるような没入感があって大好き。
浅葱の、一人きりで強く生きる覚悟とは裏腹にある痛々しいまでの人間くさい弱さがとても愛おしくて、月子がそれを垣間見て恋に落ちた気持ちが同じ年頃の女の子としてよく分かる。こんな風に悲しい偶然が重ならず、月子という浅葱にとっての盲目な天使が彼の人生の歯止めになることができていたなら、と誰もが思うはず。
なのに、そこに実体はない。木村浅葱の中の主人格はiでありそれが本当の生来の浅葱だから。あれほどまでに人間らしい彼の人格が、その姿形は生きているのに表情や口調には明らかにもういないこと、それが少なくとも社会的な死とは定義されないことが、ふわふわとして現実味を帯びないけれど確かな現実。
彼の壮絶な過去が作り出した「浅葱」は、まさに実体を持たない虚数の「i」、でも、iは現実で観測できる実数解ではないけれど、もっと多次元的な世界ではたしかに存在するといえる数。
確かに彼が生きた数年と、狐塚や月子や恭司や萩野やたくさんの人にとっての彼と過ごした日々は幻じゃなく、社会的な、体裁的な、世俗的な枠組みを超えて残るんだと思える。
Posted by ブクログ
とても重く、苦しく辛い。
あの頃の出来事が、少しのズレが、全てを崩壊させてしまう。
最後まで驚きの連続。
色んな要素がありすぎて追いつかない。
たとえ許されざることをしていようとも、みんな愛すべきキャラクターばかりなのです。
最後よかったなぁ。
恭司ほんといいやつだなぁ。
私は浅葱好きだよ。
Posted by ブクログ
ミスリードを誘いまくられます。
iは誰なのか?藍?恭司?狐塚?月子?秋先生?まだ出てきてない第三者?浅葱が二重人格?
絶対にiを見つけ出してやるぞ。と読み進めるも。結論読むも、難しい…
結局、浅葱が二重人格?浅葱の中にもう一人ちがう人物がいて、そっちが本当の浅葱で…難しい。
途中で月ちゃんまで死にかけて、どうなるのー。と読むのをやめられず。
星5をつけたくないけど(月子の苗字をずっと伏せてたのと、殺人犯の浅葱が野放しになったのが解せない。)、星5をつけざるを得ない物語でした。
最後の恭司がかっこよすぎ。
匿名
木村浅葱に惚れた
木村浅葱のあの闇深さ、儚さは最高です。辻村作品の大ファンである私ですが今まで読んだ辻村作品の中のキャラクターでダントツで好きです。辻村作品は細かいところまで描写してあるので読み終えた後にもう一度読むと多くの伏線を発見できます。また他の作品を読むとキャラクターが出てきたりして繋がっているところもファンとしては嬉しいです。私としては木村浅葱を一行でもいいので他の作品に登場させて欲しいです。一言でもいいです。
Posted by ブクログ
夢中になりました。まとまった時間があまりとれなくて、少しずつしか読めなかったことが残念。一気に読んで話に浸りたかった。月子と狐塚の関係、月子が秘めてた浅葱への想いと、浅葱とその浅葱自身が作り出したもう1人の人格。月子と浅葱の対話では切なくて悲しくて、外出先にも関わらず涙腺が緩んで困った。最初から最後まで楽しく読めました。大好きです。
Posted by ブクログ
「スロウハイツの神様」や「かがみの孤城」、「冷たい校舎の時は止まる」がすごく好きなのですが、この作品は今まで読んできた作品とは違いかなりグロテスクな描写があり驚きました。
個人的には主要登場人物の誰かがiなのでは、と思ってどきどきしながら読み進めていたので、突然出てきた上原愛子の関与や、翼くんの「iは浅葱とは似ても似つかなかった」という証言が早々に嘘だったと判明し結局二重人格だったという顛末には少し物足りなさを感じました。
ただ、物語全体を通して重い過去を背負った浅葱のキャラクターと徐々に崩壊していく心情の描写には惹き込まれました。特に、浅葱が月子を殺しかけ絶望する場面は、教室の中で立ち尽くす浅葱が目に浮かぶようでした。
また、孤塚と月子は恋人ではなく兄妹だった、というまさかの種明かしには驚愕しました。月子の苗字だけが明かされていなかったことや、「太」陽と「月」のストラップ等、散りばめられた伏線が鮮やかに繋がるところはさすが辻村さんだと思いました。
Posted by ブクログ
大学生である浅葱は、論文コンテストをきっかけにネット上で兄である藍と再会を果たす。生き別れた兄と再会することを希望に生きてきた浅葱は、すぐにでも会いたいと伝える。しかし兄の藍からは、まだ会うことはできない、会うためには人を殺す必要があると殺人ゲームを持ちかけられ…といったストーリー。
辻村美月さんでこうも殺人が起こる作品は初めてで、新鮮だった。浅葱が兄に会いたいと気持ちとこれ以上人を殺したくない気持ちの間で揺れ動いているのは、読んでて心が痛かった。そんな中救いの手を差し伸べようとしてくれた月子に、月子に対する誤解から浅葱は手をかけてしまうが、それでも月子が命懸けで浅葱を庇おうとするシーンには感動した。
Posted by ブクログ
これはやられました。
終盤での盛り上げが凄まじい。
序盤はひっかかるところが多かった。
同じ段落で主語が変わることがあるのが分かりづらい。
鉤括弧内での改行が多用されているのも読みづらい。
彼や彼女が誰を差しているのかがわかりづらい
そして、iの正体。
月子か?違った。恭司?違う。秋山先生でも狐塚でもない。
浅葱が乖離性同一性障害。読めたし、少しチープに感じた。
これが決定打だと思った。
ところが。
月子が妹という叙述トリック、上原愛子の関わり、赤川翼、そしてラストの恭司と浅葱。
すごすぎた。ここまで練り上げて超長編としてまとめ上げた、若き辻村深月さんに脱帽した。
時たま、キレッキレの比喩に出会えるのも良かった。
Posted by ブクログ
上巻でまいた種をしっかりと下巻で収穫。
他の辻村作品とはテイストが違いますが、これも面白かった。
多重人格は何となく感じていた。自分が感じるくらいなのだから多くの人がそう思っていた事だろう。
しかしそこから一捻りも二捻りもする。さすが辻村深月。
藍とiに愛子が絡んで、なるほどそんな感じだったか。
そして月子ちゃんはそうだったか!盲点でした。
暴力的な記述も多く、人間の、子どもの持つ残酷さについて考えさせられました。ですが、友情とは親愛とは、そして愛情についても考えさせられます。
狐塚家、いい家族だなぁ。
Posted by ブクログ
人間関係や犯人の状態は割と早めに想像できてしまったものの、狐塚が狙われたところらへんから面白いし、月子が殴られてお互いの好意がすれ違ったところは切なかったし、手術室でただ待つことしかできない無力さは涙でそうになった。
それくらい登場人物たちに魅力を感じていたのかも。
メインどころは大学生や院生と、大人になりきれない感じが人間味あって良い。
なだけに思念と事故のまぜ具合に少し違和感を感じたり、その脱走は死ぬやろと思ってからの病室のやり取りが綺麗すぎて、終盤萎えてしまったのが悔しい。これが相性…
Posted by ブクログ
純愛ミステリーのような構成。
キャラ付けや人の気持ちの機微の描き方が繊細。
女性的な視点での心理描写が多く、もどかしい気持ちになる部分も多い。上下巻に別れており文章量も多いため、展開がゆっくりであるが、その分丁寧に気持ちの移ろいを表現している。
ただ、とっとと気持ちを伝えてしまえば良いのに!!じれったい!!と思った。
ミステリーとしては個人的にはイマイチだった。
当初からθの正体は浅葱と分かっており、iとのゲームを進めていく中でiの正体に迫る構成となっているが、オチが二重人格とは、、、
月子の記憶喪失についてもご都合主義すぎて残念。
Posted by ブクログ
とある青年の、孤独と、罪と、愛の話。
ものすごく正直な感想を言うと、残酷な殺人ゲームにも、よくある可哀想な多重人格設定にも、あまりときめかなかった。かなり最後の方までふわふわした気持ちで、いまいち没入感が得られないまま読んでいた。
この物語の感想は、木村浅葱に対して抱いた感情によって大きく変わると思う。私は正直、冷めていて、病んでいて、すべてを諦めている浅葱のことはあまり好きになれなかったけれど、月子という他者を求めながらも愛に怯え、最後まで生を諦めきれない、そんな不器用で人間くさい木村浅葱を心底愛おしいと思った。愛し方も愛され方も分からなくて、大切なものまで全部その手で壊してしまう青年を、愚かで可愛らしいと思った。だからこそ、最後のあの切なくも美しい時間を、いっとう大切な宝物のようにそっとしまっておきたいと思う。まあそれはそれとして、地獄のドミノが倒れ始める前にあらゆる奇跡が連鎖していい感じにルート分岐して迎える浅葱と月子のスーパーイチャラブハッピー救済エンドが見たいんだけど、どうにかなりませんか?
Posted by ブクログ
孝太と月子はずっとカップルだと思って読んでたから、孝太が月子にサーカス断られたあと、真紀ちゃん誘ってて、えー(T_T)となったけど兄妹だったとは!!名前が太陽と月で繋がってるの全然気付かなくて感動⭐︎
登場人物多くて、誰かが藍のフリをして裏で浅葱を陥れようとしてるんじゃないの?(秋山先生のことちょっと疑ってた。笑)と最後まで期待したけど、多重人格オチでした。。
オチはあまり好みではなかったけど、面白くて、インフルで発熱中でも先が読みたい!と思える作品でした♡