あらすじ
交わることのない、人の想い。切ない終わりがやってくる。「浅葱、もう少しで会える」『i』は冷酷に2人のゲームを進めていく。浅葱は狐塚や月子を傷つけることに苦しみながら、兄との再会のためにまた、人を殺さなければならない――。一方通行の片思いが目覚めさせた殺人鬼『i』の正体が明らかになる。大人になりきれない彼らを待つ、あまりに残酷な結末とは。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
こんなに長い小説を読んだのははじめて。
上下巻合わせて千ページくらいある。
ただ不思議と長さを感じなかった。
iの正体はなんなのだろう、浅葱は救われるのだろうか、といろんなスリルがあってひやひやしながら楽しめた。
孤塚と月子の関係やiの正体が明かされていく場面は切なくもあり残酷。
伏線が回収されていく怒涛の場面に息を呑んだが、トリックよりもなによりも余韻を強烈に残すのが浅葱の壮絶で悲惨な人生。
それと月子の内に秘めた恋心もそうだし、妹をあんな状態にされてもなお浅葱と向き合おうとする孤塚の誠実さにも胸打たれた。
登場人物が本当に魅力的。
Posted by ブクログ
とても怖かったけどハラハラしておもしろかった!!浅葱とiの一人の人間による闘い。
身の回りで起こる事件が胸痛かった…
変わろうと、止めようと、会いたいと願い必死でボロボロな浅葱がつらい。
人を好きになって支えられて考え方が変わっていくことって沢山あるよな〜
秋先生が囁いた男の子と最後の恭司と浅葱のやつ、自分の理解力のなさでよく分からんだ!
これからググります…!
匿名
木村浅葱に惚れた
木村浅葱のあの闇深さ、儚さは最高です。辻村作品の大ファンである私ですが今まで読んだ辻村作品の中のキャラクターでダントツで好きです。辻村作品は細かいところまで描写してあるので読み終えた後にもう一度読むと多くの伏線を発見できます。また他の作品を読むとキャラクターが出てきたりして繋がっているところもファンとしては嬉しいです。私としては木村浅葱を一行でもいいので他の作品に登場させて欲しいです。一言でもいいです。
Posted by ブクログ
これはやられました。
終盤での盛り上げが凄まじい。
序盤はひっかかるところが多かった。
同じ段落で主語が変わることがあるのが分かりづらい。
鉤括弧内での改行が多用されているのも読みづらい。
彼や彼女が誰を差しているのかがわかりづらい
そして、iの正体。
月子か?違った。恭司?違う。秋山先生でも狐塚でもない。
浅葱が乖離性同一性障害。読めたし、少しチープに感じた。
これが決定打だと思った。
ところが。
月子が妹という叙述トリック、上原愛子の関わり、赤川翼、そしてラストの恭司と浅葱。
すごすぎた。ここまで練り上げて超長編としてまとめ上げた、若き辻村深月さんに脱帽した。
時たま、キレッキレの比喩に出会えるのも良かった。
Posted by ブクログ
下巻に続き再読です。
最初に読んだ時には、ただただツラくて痛いてコワイ、そんな感想だったけれど、改めてゆっくり読んでみてちょっと違う見方もできるかもしれないと感じました。
浅葱の境遇には同情はするけれど、それでもやっぱり狐塚もいうように、浅葱がしたことは到底納得できることではない。心理学的に同情と共感の違いっていうことがよく言われるけれど、これほどわかりやすい例もないな、って思ってしまった。
辻村深月さんの作品は、過去の登場人物たちが後の作品にも出てたりするのが魅力のひとつでもあるけれど
この作品で最後に大きな仕事をやってくれた恭司が、後の「本日は大安なり」で当たり前のように狐塚の隣にいたことが本当に嬉しかったです。
Posted by ブクログ
途中殺人の場面が多くてしんどかったです。
月子の苗字、そういえば出てきていないな、と思っていたら孤塚孝太の妹…!びっくり…!
月と対応する名前?と思ってどこが?!と思ったけど太陽だったんですね〜!
浅葱もそのことを知っていたらこんなことにはならなかった、いやどうだったんだろう…
浅葱と藍もそんな関係だったなんて、というのがびっくり、こんなのを思いつく辻村さん、本当にすごすぎます。
Posted by ブクログ
上巻でまいた種をしっかりと下巻で収穫。
他の辻村作品とはテイストが違いますが、これも面白かった。
多重人格は何となく感じていた。自分が感じるくらいなのだから多くの人がそう思っていた事だろう。
しかしそこから一捻りも二捻りもする。さすが辻村深月。
藍とiに愛子が絡んで、なるほどそんな感じだったか。
そして月子ちゃんはそうだったか!盲点でした。
暴力的な記述も多く、人間の、子どもの持つ残酷さについて考えさせられました。ですが、友情とは親愛とは、そして愛情についても考えさせられます。
狐塚家、いい家族だなぁ。
Posted by ブクログ
4.5
いやものすごい読後感。いろんな感情からため息が止まらない。正直最後の方の怒涛の展開は全て理解できていない。かなり難しかった。これから考察読みまくります。ミステリ的展開でどんどんひっくり返される。下巻の後半はもう最後まで安心できないくらいひっくり返されまくった印象。そして登場人物たちの間の関係や感情が独特で面白い。面白い。辻村深月さんの小説は全部違う作者なのか?って思うほど、作品によって感じが変わる。でもこの小説は「スロウハイツの神様」を書いた辻村深月さんだなって感じた。登場人物同士の関係性の描き方が同一人物だった。
浅葱、会いにきてくれたの。なんか嬉しかったよね。
複雑な多重人格の構成、すぐに忘れてしまいそうだから今の解釈を記しておく。↓
物語はθ(浅葱)目線で進んでいく。
θはiを実の兄だと信じてゲームを頑張って続ける。
でも実は主人格はiの方。
時間は遡り…
幼い頃iは兄である藍を殺してしまう。
大好きな兄を殺してしまった自分への罪悪感や孤児院で壮絶ないじめにあった経験から、別人格のθを生み出した。θは自分が兄を殺したことを知らない。
iは壮絶な経験から、自分はθの影に隠れ、静かに息を潜めることにした。読者はずっとθ目線で描かれるので、θが主人なくだと勘違いする。
月子に会いに行ったこの人はiだよね。θのことを想い続けてる本当の主人格iはθが死んでしまったと言いながらも、眠ってるかもしれないθのために、月に好きの気持ちを代弁した?iはθが好きだから、θの好きな月子との思い出を作ってθを呼び戻そうとしてる?
恭司は?どういうことだったの?警察病院から逃げたiと連絡をつけて見つけ出し、iを殴り月子に合わせた?恭司は心から月子と恭司が好きだから。
Posted by ブクログ
孝太と月子はずっとカップルだと思って読んでたから、孝太が月子にサーカス断られたあと、真紀ちゃん誘ってて、えー(T_T)となったけど兄妹だったとは!!名前が太陽と月で繋がってるの全然気付かなくて感動⭐︎
登場人物多くて、誰かが藍のフリをして裏で浅葱を陥れようとしてるんじゃないの?(秋山先生のことちょっと疑ってた。笑)と最後まで期待したけど、多重人格オチでした。。
オチはあまり好みではなかったけど、面白くて、インフルで発熱中でも先が読みたい!と思える作品でした♡
Posted by ブクログ
とにかく重くて辛くてグロめだった…。けど、辻村さんハマり中なので先が気になってどんどん読めた。 月子があんな状態になってても浅葱のこと庇おうとするのすごすぎて。先輩のときもしのちゃんもショック受けてたから思いっきり当事者なのに。 他の作品で出てくるの知っちゃってたから狐塚と恭司は死なないしiじゃないのわかってて勝手にネタバレだったかな。エピローグの恭司かっこよ!