あらすじ
小澤實が近現代の俳人50人とその代表句5句を精選。丁寧な口語訳と深い鑑賞と共に、子規や虚子から文人俳句、自由律俳句、新興俳句まで、多彩な名句の世界へいざなう。俳句を知るに必読のアンソロジー。
井月、正岡子規、種田山頭火、飯田蛇笏、久保田万太郎、橋本多佳子、西東三鬼、星野立子、加藤楸邨、田中裕明――
近現代の俳人50人と代表5句を精選。
口語訳と鑑賞と共に、多彩な名句を楽しむ
入門にも最適のアンソロジー。
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Posted by ブクログ
俳句は、その句だけを見て好きなように感じればいい、とは思っているんです
でも、この本のようにその句の背景などを併せて説明してくれると、やっぱり句そのものの見方も変わってきてより面白く読めるんですよね
素人の自分でも(素人の自分だからこそ)俳句をより楽しめるようになる事がたくさん書かれていて、大変ためになる一冊でした
句の背景以外にも、知れて助かったポイントをいくつか
・口語訳
あとがきによると、句に口語訳を添えるのは無粋だ、なんて意見もあるようです
でも正直助かる(笑
口語訳で句の意味を知って、そして改めて句を見直すと、感じ方もまた変わってきます
・前書
たとえば次の句
『枯野はも縁の下までつゞきをり / 久保田万太郎』
この句には『病む』という前書がついているそうです
句+前書で作品のイメージをふくらませる、これだけ聞くと「ズルくない?」なんて感じちゃいますけど、それも含めての俳句鑑賞なんだなと思えました
ちなみに選者の小澤實さん曰く『作者は前書の名手』とのこと
前書にまで上手い下手があるのか……
・分かち書き、多行表記
俳句は一行にまとめて書くのが基本らしいです、でも
『草二本だけ生えてゐる 時間 / 富澤赤黄男』
のようにあえて一字分の空きを入れたり(分かち書き)
『夕風
絶交
運河・ガレージ
十九の春 / 高柳重信』
のように数行に分けて表現したりする技法もあるそうです(多行表記)
さらに二個目に挙げた高柳んさんの句は『日本海軍の艦名を詠み込んだ句集』に載っていてさらにさらに『尻取り遊びで仕立てられた』一句になっているとのこと!
ほぁーなるほどー、俳句って自由だわぁー
Posted by ブクログ
近現代の俳句をざっと一渡り読めると思い、手に取りました。まず、出だしが正岡子規ではなく、井月であるところが面白いです。井月を知らなかったのですが、「落栗の座を定めるや窪溜り」など好きな句が見つかりました。
次に、1人5句なので、50人を一冊にまとめることができています。でも5句で1人の俳人をとらえられるか。それは疑問で、10句にしてはどうか、と思ってしまいます。多分10句でも物足りなくなるのでしょう。100句のシリーズ本が別の出版社から出ていて(解説者は別。カバーする俳人も異なる)、物足りなければ、そちらを読むということになるでしょう。
やはりこの本の特長は、それ迄に読んだことのない俳人に会う機会を提供してくれることになりそうです。文庫本あとがきには、ゆくゆくは100人にしたいとのこと。楽しみです。