あらすじ
「愉しかったでしょう。こんなに長い間楽しませてあげたんですからねえ」。宴の“黒幕”は笑った。かつて戸人村でおきた事件の真相、15年後の再会に仕組まれていた邪悪な目論見、そして囹圄の人たる関口巽は助かるのか……。事件のすべての謎を明かした果てに京極堂は時代の勢を察す。時、まさに昭和28年。
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Posted by ブクログ
「塗仏の宴」もクライマックス。
全ては戦時中から続いた愚かな実験だったということが京極堂の口から語られ、そして家族が一つの事項をあやつられてしまった事によって崩壊してしまっていたことを突き付けられて絶望に立たされる物語の主要人物たち、そして、京極堂が最も嫌う「堂島大佐」、この物語の黒幕との対峙…まぁ読み応えたっぷりでした。
まぁ、相変わらず榎さんはもう自分の信じるままに持論を展開し、挙句の果てに暴れるもんだから…笑うしかないなぁ。
Posted by ブクログ
6/6
【ネタバレ記述あり】
2年前に「絡新婦の理」を読んで、次を逡巡していたのは、やはり長さ。
「絡新婦の理」が分冊文庫版にして4冊なのに対し、「塗仏の宴」は、「宴の支度」が3冊「宴の始末」が3冊しめて6冊という……長すぎるよ!
しかし、なんでも百鬼夜行シリーズ第一期のクライマックスともいうべき作品、とネット上に書かれていたのも納得の、オールスター!
主要人物はもちろんとして、一柳朱美さん! 織作茜さん! と驚きと、喜びと、そしてまた驚きの瞬間が、何度も乱れうち。
という意味でサービス精神たっぷりゆえ、6冊でもリーダビリティ高く、サクサク読めた。
ということはつまり、丁寧に整理することなく、あっれーこの人ってどの組織のどの人だっけーとぼんやりしながら読み進めてしまった。組織多すぎなんよ>他責思考。
私が嬉しく思ったのは、小説ならではの企み。
まず、「宴の支度」における章立ての端正さ(ぬっぺっぽう うわん ひょうすべ わいら しょうけら おとろし と模糊としたお化けの紹介)に対して、
「宴の始末」は小見出し的なモノがないなーと思っていたら、なんと三人称と思わせておいて、実はその場に「私」が静かにいて観察していた……と、小説にしかできないギミックが、本作中での「催眠」の効果ということで奏功して、さすが。
その上、6冊通じた真相がまた、小説ならでは。というか小説でしかできないのではないか。(コミカライズとかどうするんだろ)
あの人もあの人もあの人も、もとは一つの家族の成員だった……! こんなの絵にしたら色んな意味で一発だし。
しかしこの力業を支えるのは、いわば味方がわの誰が、相手がわの誰としか交流がないとか、顔を合わせるとか知らないとかいう状況が、きちんと整理されているんだろう。(読者としてはぼやっとしているが)
まあ、本末顛倒とか、後催眠万能説(!)とか、本格に並べるには躊躇われるものもあるが、まあ力業のシリーズで、十分楽しめた。
その上本作は、「中禅寺自身の事件」という旨味も。
「世の中には不思議でないものなどないんですよ」と、綺麗に中禅寺のアンチ発言をする悪魔的人物の、堂島静軒大佐。
この人の存在感の巨大さ、実は本作で初お目見えなのに、まるで笠井潔の矢吹駆に対する、ニコライ・イリイチっぽい、巨大なアンチ存在……「バットマン」のジョーカー……ジョン・ミルトン「失楽園」の堕天使ルシファーっぽい、大きな構えの人物造形だと思った。
さて今後シリーズでどうなるのかしらん。