あらすじ
図書館のほの暗い館長室で、「私」は子易さんに問いかける。孤独や悲しみ、“街”や“影”について……。そんなある日、「私」の前に不思議な少年があらわれる。イエロー・サブマリンの絵のついたヨットパーカを着て、図書館のあらゆる本を読み尽くす少年。彼は自ら描いた“街”の地図を携え、影を棄てて壁の内側に入りたいと言う――二つの世界を往還する物語がふたたび動き出す。
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Posted by ブクログ
主人公と共に、何か別の世界を旅したような気分になり、
とても読後感がよかった。
大げさなポジティブでもなく、シニカルなネガティブでもなく、どこか前向きに人生を捉えているような主人公に最後、力をもらえた気がする。
Posted by ブクログ
一回読むだけだと考えがまとまらないけど、書いておく。もう一回読みたい。
ぴたりとはまる人?心の底から愛した人?を失った経験が、心の一部を焦げ付かせて、影を分離させて、どこかに行ってしまうのかな。喪失の傷は本当に深いんだな。
壁の中の街は僕の心の底にあるのかな、そこにM**くんが入ってこられるのはどういうことなんだろう。。
どこまで意味が込められてるんだろう。
IQ84, 騎士団長殺し、つくるくんの話、カフカ、読んだけどこの本が一番好きかも。あとなんか読んだかなー
Posted by ブクログ
第二部の序盤が冗長で一度断念したものの半年後に読破。壁とは「私」の内の世界と外の世界を隔てるものであり、壁の中にいる状態は「私」が内の世界にこもっている事の表現なのではないかと思った。最終的に完全に外に出たのは私が壁の中にこもっている間に外で影が私の代わりに生活してる時に出会ったコーヒーショップの店員と出会う事で少女を失った喪失感と訣別し新たに踏み出す決心をしたという事なのではないだろうか。
Posted by ブクログ
喪失と再生。村上作品におけるその通奏低音が、今回は「影」との離別と再統合として表現されていたように思われる。実らぬ恋に打ちのめされ、生涯を通じて結ばれなかった相手を思うあまりその事実に足を取られてしまって、以降は真に生きられているかわからぬような、どこか魂の抜けたような心持ちで暮らすようになる。『国境の南、太陽の西』でも語られたそういう哀切な感情を抱えて生きることを本作では幻想的な筆で描き出していく。そういう意味では、未練という感情は決して過小評価できないことを教えてくれる。
この作品には納得のできない部分もある。イエローサブマリンの少年が現世に居場所を見つけられないというのは最たる点だ。彼の家族の懸命な努力も描きつつそれを突き放すようなところがあり、それでもこの世ならざる場所に彼の居場所を設けたことでそれを一種の救いとして描き出したのであろうが、人の未練が生み出したリンボのような場所にしか彼がいられないというのはやはり悲劇のように私には感じられた。また、軽快な日常場面はいつもの村上節を愉しめる一方で、幻想的な「街」の描写はずっとどこか冗長で退屈だった。