あらすじ
晨光(しんこう)学院町田高校の英語教師、蓮実聖司はルックスの良さと爽やかな弁舌で、生徒はもちろん、同僚やPTAをも虜にしていた。しかし彼は、邪魔者は躊躇なく排除する共感性欠如の殺人鬼だった。学校という性善説に基づくシステムにサイコパスが紛れこんだとき──。ピカレスクロマンの輝きを秘めた戦慄のサイコホラー傑作。
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Posted by ブクログ
普段は生徒にも同僚の先生にも好かれている蓮実先生。実は、共感性が欠如しており、人を殺すことを何とも思わないモンスターだった…。
私のまわりでも「この人何でもできて、人気もあってすごいなぁ」と思う人が少々いるが、もしかしたら蓮実先生のように、本当の姿ではないのではないかと考えてしまいました。
釣井先生は下巻でバチバチやるのかと思っていたら、上巻ですでにあっけなくやられて意外でした。
心理学に通用し、こういう時はこういう態度をとると相手が喜ぶ、怒るなど熟知しており、それを巧みに操り、自分に有利になるように生活する。そのためには殺人も厭わない。殺人も証拠が残らないように着々と実行する…。
殺人鬼というのは得てして頭がいいものだとつくづく思いました。
下巻につづく
Posted by ブクログ
ハスミンこと蓮実聖司は、親衛隊ができるほど人気の高校教師。
生徒や先生の問題をうまく解決していので、普通に良い先生なのかと思っていたら、所々に「ん?」と思うような内容がでてくる。隣の家の犬にハンバーグを与えていたり(玉ねぎ抜きのハンバーグをあげたのかな?と思いました)、「殺すほどではない」という文章が突然出てきたり。
下巻は学校での生徒惨殺シーンが続き、最後が読める展開だったりして少し評価下げたけど、サイコパスが考えていることは普通と違いすぎて、全体的にそれが面白い。
現実の世界で起こったらもちろん最悪だけど、小説だからこそ、別次元の話を面白いと思えるのがいい。
Posted by ブクログ
蓮見は一見完全・完璧なサイコキラーに見えるんだけど、共感性欠如ゆえに「一般人が怪しむポイント」に無頓着なところがあり、幼稚園のエピソードなんかは微笑ましさすら感じる。蓮見を中心に考えなければ、死者の量には気が付かないな……。
Posted by ブクログ
読み始めた時は当初は面白くないほどみんなに慕われ・頼られる完璧な高校の先生、蓮見。しかし段々と本来の魔の顔が見えてくる。計画的な犯行によるサイコパスさがあり、途中から蓮見に対して恐怖を感じた。
性的描写が多いように感じられたため、読む場所は注意が必要かもしれない。
面白い本だったため是非、続編も読んでみたいと思う。
Posted by ブクログ
英語教師の蓮実聖司は、東京都町田市にある高校に赴任して、さまざまな難題に直面する。高校に限らず、学校は性善説を前提としたシステムであるが、人間とは過ちを犯すものなので、当然ながらシステム内で問題が生じる。クラス内でのいじめや、教師によるセクハラ、教師と生徒間の肉体関係など、本作の高校では学校ならでは問題が発生する。そんな高校に蓮実は英語を教えることになるが、彼の授業は生徒が飽きないように、テンポよく、記憶に残るように工夫を施す。それが功を奏したのか、生徒の間で評判が高い。また先ほどあげた学校内の問題を次々と解決したため、教師からも尊敬される立場となった。このように、蓮実は一見すると完璧超人のように思われるが、彼には決定的に欠けているものがある。それは他人と共感できない、いわゆる「サイコパス」と呼ばれる人物であった。本作の下巻では彼の化けの皮が剝がれる。
Posted by ブクログ
# あらすじメモ
英語教師・蓮実聖司(通称ハスミン)は、生徒や同僚から信頼される完璧な教師だが、実は冷酷なサイコパスだった。
自身の利益を守るため、蓮実は自分にとって不都合な人間を巧妙に排除(辞めさせたり、殺害したり)していく。
# 良かった点、感想
- 一章の括り
冒頭から怪しげな雰囲気はありつつも、正常に物語は進んでいったが、一章の最後のカラスを殺害したシーンで、一気に物語が転調する感じに、惹きつけられた。
- ハスミンの行動原理
上巻を読み終えた今の理解は以下。
1. 若い女性とのイチャイチャが何よりも最優先
2. 1以外は何にも感情が動かされない
3. 2故に、1以外の全ての行動については等価値
恐ろしいのが3で、人や動物を殺すことですら、ただの作業としか認識していないところ。論理的に考えて、「殺害」という手段が最もコスパがいいと判断したら、それを実行するところ。
そんなことのために、そこまでの労力でそこまでのことをする!?という矛盾が、読み手にシリアスな笑いを誘い、面白かった。
- 疑問が残る(=続きが気になる)
ハスミンの行動原理について、分からないことが2点。
1. 若い女性が好きになったきっかけ
2. 殺害に向けた作業を行っている際、「モリタート」を口笛で吹くこと
3. 高校教師になった理由
1は、説明がされていない。ハスミンの中での最優先事項だからこそ、何かきっかけとなるエピソードがあるんじゃないかなと思っているが、まだ明かされていないので、下巻で説明されるのかな?と期待する。もしかしたら、そのようなエピソードは特になく、ハスミンの異常性を物語る上での1要素でしかないのかもしれないが。
2は、上述したハスミンの人物像と矛盾する。「モリタート」を口笛で奏でているところを見ると、殺害に関しては、何らかの高揚感(?)を抱いているのかな?とも思える。殺害に対する、ハスミンのモチベーションがどのようなものなのか、いまだに掴み切れていないので、下巻を読み進めたら理解できるのかなと思う。
3は、前職の話がきっと下巻で語られるだろうと思っている。前職で何かやってしまって(悪事がバレた?)、転職した感じかなと予想する。
- 心理戦的要素
ハスミンの地位を脅かしそうな、いわゆる強キャラが何人かいて、各々の観点からハスミンに迫っている点が面白い。物語の引きの強さになっていると思う。
勘が異常に鋭い生徒とか、狡賢い生徒とか。釣井先生もよかった。
- 悪とは
本作は殺害、体罰、性犯罪など色んな悪を描いている。それらの「悪」を見逃す悪も。
本作を読んでいると、悪の最上級であるはずの「殺害」を犯しているハスミンよりも、悪を見逃す教頭の方が、直感的に醜く感じる場面もあった。
悪って何だろう、と不思議な感覚になった。
下巻読んできます