あらすじ
伊坂幸太郎の人気シリーズが【新装版】で登場!
好きなものは音楽、嫌いなものは渋滞。彼が仕事をすると必ず雨が降る――。クールで真面目な死神・千葉は、人間の世界に溶け込み、七日間の調査で対象者の「死」に可否の判断を下す。自分の運命を知らない人々と旅行をしたり、窮地に陥ったり。死神と人の奇妙なかけあいが癖になる傑作短編集。著者の特別インタビューも収録!
単行本 2005年6月 文藝春秋刊
文庫版 2008年2月 文春文庫刊
文庫新装版 2025年2月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫新装版を底本としています。新装版には、新たに「著者特別インタビュー」が収録されています。その他の収録作に変更はありません。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
目から流れ出てくるのは涙ではなく希望だ、と言わんばかりに必死にそれを拭っている
人間というのはいつだって、自分が死ぬことを棚に上げている
「そんときは刺してねえ時だよ」と妙な弁解を口にする
「突き抜けるような青い空ってのはいい表現だよね」と腕を組む
「人間というのは、眩しい時と笑う時に、似た表情になるんだな」
人間は自分の死だけを特別、ファンタジーに考えていると思った
Posted by ブクログ
千葉は真面目でクールである一方、時折みせるどこかズレた発言やミュージックへの執着などの魅力のおかげもあって最終的に死が待っているとわかっていてもどこかポップな物語に仕上がっていた。その場だけの気の利いたやり取りだと思っていた話が各編の最後で回収されて、驚かされるというよりも腑に落ちるような、ぼんやりとした後味が心地良かった。
Posted by ブクログ
「死」について私はよく考えていました。
死神、という言葉に惹かれてこの本を買って、読みました。
「死ぬというのはそういうことだろ。生まれる前の状態に戻るだけだ」というセリフを聞いて漠然と抱いていた死への恐怖がふっと軽くなりました。
あと、私も千葉と同じくミュージックが好きなので「人間が作ったもので1番素晴らしいのはミュージック」というセリフに激しく同意しました。
Posted by ブクログ
伊坂さんは初めて読んだがもっと難しい話を書く人だと思ってたのでいい意味で裏切られた
漠然と
死神=怖いもの
というイメージを持っていたがこの小説の中の死神は”かわいい”と感じることが多かった。
これから数日後に死ぬ可能性がある人に接触し、死ぬべきかどうか判断する
ことが死神の仕事であり、小説の中でも実際にその後死んでる人もいるだろうけど、その部分は書かれておらず、そこを想像するのも面白かった!
Posted by ブクログ
死ぬ予定の人間に死は相応しいか確認する仕事をする死神が主人公。
死というテーマがあるため全体的に切ないものの、ポップな印象もある小説だった。
死神のキャラクターもいい。人間の比喩が通じなかったり、ミュージックをとても愛していたり。
物語が繋がっていたと分かったとき、驚いた。老女はいい人生だった。
Posted by ブクログ
死神が主人公という、もう、ユーモアが溢れている作品。死神と言っても、鎌を持っていたり、怖い形相ではなく、何ら一般人とは変わらないクールな死神が織りなす、短編物語。ササッと読み終わった。
「恋愛で死神」が非常に印象深い。
死神を通じて、2人の距離が縮まっていく様子、最後に彼女が萩原と同じセリフをまんま喋っていたのが何とも素敵だったなぁ。
2人で同じことを考えたり、同じことを言ったりするような小さな幸せが、恋愛の根幹、人を好きになるっていうことなのかな。
「死神対老女」で、例の彼女が登場したり、最後には死神念願の「晴れ」の天気を見ることができたりなど、死神にとって、忘れられない出会い、忘れられない一日になったはず。
雨の日に、自分の近くに見知らぬ人物がいるとすれば、それはきっと彼、死神だと、そう感じた。
Posted by ブクログ
感情がなく、淡々と仕事をこなしていく死神がよい。
死神のトンチンカンなところが、おもしろみを生み出して、死という重さを軽くしてくれる。
死神の変な質問にも、それぞれがまともに返答していて、よりおもしろかった。
どの話もラストは読者の想像に任す形で、それぞれが命を落とすところを見ずに済んでよかったと思う。
最終話は、なんとなく違和感があったら、雨があがってしまった。
特別な話なのだと、心して読んだ。
話が進むと、奇跡のように懐かしい人たちが顔を見せてくれた。
なんとも美しくて切ない話だった。
ただ、偏向の謎が解けずに終わってしまったのが、とても心残りである。
2025/07/09 11:55