あらすじ
「あなたが――蜘蛛だったのですね」。桜の森の満開の下に響く京極堂の声。いまや恐るべき大計は成就した。だが、何故にかくも累々たる骸が晒されねばならなかったのか。神代の昔から続く理を開顕した陰陽師の発する哀しい問いに「真犯人」の答えは……。古今未曾有、瞠目の構造を織り上げた京極文学の金字塔。
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Posted by ブクログ
「あなたがーー蜘蛛だったのですね」
この言葉で締め括られる4巻。最後に漸く関口くんが登場。
こうやって京極に寄り添えるのは彼ならではなのかなとぼんやり。
邪険にされ、同行をやんわり断れても聞かず結局は同行。友人ではなく知人だと称しつつも、京極堂にとって関口君の存在の大きさを感じさせるラストでした。
桜の木の下の光景を眺める関口君の独白は物悲しさと、彼の見える世界の美しさを感じさせます。
しかし、次の宴の支度を読んでみると、そんな伏線!と叫びたくなります。
Posted by ブクログ
4/4
冒頭に示された情景が実は……という超絶技巧。
そして素晴らしい舞台。実に好み。
なのはいいが、ちょっと印象に残ったし、おそらく本作の核心にも関連する、ちょっとした記述が、以下。
(以下引用)
中禅寺は空かさず、
「馬鹿なことを云うな増岡さん。彼女達をそうさせているのは、我我男じゃあないか」
と云った。増岡は勿怪顔になる。
「君は――女性崇拝者(フェミニスト)なのか?」
「勿論僕は女権拡張論者(フェミニスト)ですよ」
中禅寺の回答に増岡は、人は見掛けによらぬな、と云って納得したが、二人の会話の間には少なからず齟齬があるように益田には思えた。
(引用以上)
怪異を愉しむ手つきが決して悪しきビザールではなく、むしろ常識人であることが、京極夏彦の美点だと思った次第。