【感想・ネタバレ】続 氷点(下)のレビュー

あらすじ

心晴れぬまま大学生となった陽子は、ある日キャンパスで実母・恵子の次男・達哉と出会う。達哉は異父姉と知らぬまま、以後、陽子に直情的に近づいてくる。それをきっかけに、陽子を中心とした複雑な人間関係が白日のもとにさらされ、それぞれの罪と秘密が明らかになっていく。そして陽子が恵子と顔を合わせる日がやってくる――。人間の愛と罪と赦しをテーマに繰り広げられた壮大なストーリー、いよいよ感動の結末。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

前作で提示された人の原罪について、理解が深まった。
存在そのものの罪は前作で言う陽子のように、親の不義・犯罪行為によって生じるもので、たいていの人には生じないものであると考えていたが、今作を読んで、あらゆる人に生じるものだと理解することができた。
生きているだけで、意図せず、しかも自分が認識していないところで他人を傷つける可能性がある。
例えば、誰かを愛し、愛されることは、また誰かを深く傷つけることになる。陽子が自分を愛してくれた徹を意図せず深く傷つけたように。
世界は無数の因果関係で結ばれている。自分の存在・言動が自分の糸や認識範囲を超えて、他人を傷つける可能性は常に存在している。であれば、自分には罪は一切ないと言い切れる人は存在し得ようか。
「罪のない者だけが石を投げよ」とイエスは言った。罪を裁くことのできる者は
罪を犯したことのない者だけだと。どんな人でも罪を犯す可能性から逃れられない。
罪を裁くことのできる人など存在しない。であれな、罪は赦すしかないものなのだろうか。
戦争時に妊婦と胎児を殺した弥吉が、妻の不貞を赦したように。
そして、実の弟や徹を深く傷つけた陽子が、自分を不貞行為で産み、捨てた実の母を赦したように。

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2026年04月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一気に読み終わりました。

まさか順子が佐石の娘だったとは!
順子の手紙と陽子の日記は、心に残りました。

三井弥吉の告白も、衝撃でした。
「罪と赦し」というテーマがまさに凝縮されています。

それにしても、夏枝はもはやこういう人とあきらめの境地に至ったところで、達哉という新たなイライラ人間の登場。
彼に「罪の自覚と赦し」はなかなかハードルが高そうだから、まだまだ騒動がありそうですね。

4巻通じて、ずっと辰子さんが一番好きです。

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2025年08月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

佐石の娘、順子がここまで生きてきた理由が辛く悲しい。いい養父母のもとで育ってそれだけは幸せだ。
対して陽子は、裕福な家で育ったが順子の様な愛の中で育ったとは言えない。当たりのきつい夏枝、兄弟の愛情とは違う感情の徹、徹とはまた違う愛情を持つ啓造。さらに感情的すぎる実弟の達哉、穏やかなようでそうでもない北原、どこまで気の毒な…
それなのに陽子は、常に罪と赦しを悩み続けている。何処かで自分を解放してほしいと読みながら思っているのに最後に北原を選ばざるを得なくなるのか。
登場人物の中で辰子が一番人間味あると思うが、ラストを辰子は何というのだろうか。陽子くんが決めたことなら、というのかな。
本の中で垣間見える生活は昭和そのものだけど、手紙を書く、夕刊を手渡す、などいい時代だったんだなと懐かしく思う。もちろん戻れないが、今の若い子が読んだらどう思うのかな。
何度読んでも、美しくいい本だと思う。この先も折に触れ読み返したい。

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2025年07月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

よかった
登場人物に関しては
陽子が真面目というかまっすぐすぎる
夏枝と達哉はどうも好きになれない
辰子さんが1番好き
と言った感じ

ゆるしについては私もずっと考えてるけどわからない。正直多分ずっとそうだと思う

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2025年06月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

続氷点、三浦綾子はすごい作家だと改めて思う。個性的だけど、どこかしら共感を覚える登場人物たち。それぞれの悩みに、私たちは、自分のことのように寄り添って考えずにはいられない。時折描かれる北海道の美しい自然とともに、彼らの様々な思いを共有することができた。だから、今も色褪せることのない素晴らしい小説なのだと思う。

特に、ラストに向かって陽子の様々な葛藤を、自然の情景に重ねて、彼女の深い悟りへと導くところは、圧巻だった。

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2024年08月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「氷点」「続・氷点」と読みました。

「氷点」では、登場してくる人物達の傲慢さ、浅はかさ、幼さ、自分本意の行動など、驚きの連続で、単なるお騒がせ夫婦のとんでもない小説(←言い過ぎ…)と感じてしまった。

テーマは原罪…とのことだったが、思慮の浅い自分は過去に放送されていたような昼ドラのイメージで読んでしまっていた。

しかし、「続・氷点」では、もちろん浅はかな行動の徹、猪突猛進の達哉、相変わらずの夏枝、そんな夏枝を許せない啓造、空気の読めない村井の、自分達から敢えて辛い運命に寄せていってないか?と思うほどの思慮の浅い言動に驚きつつも、三浦綾子の訴える「赦し」というテーマにぐっと引きこまれた。

自分の周りにいる人達との関係性で思うところあり、胸に残る言葉が沢山ありました。

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2025年08月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

資格試験の勉強に集中したかったのもあり、しばらくぶりに読書を。

氷点から続氷点単行本4冊、とても面白かったです。北海道の景色が目の前に広がるような、そんな清々しさと、人間のどうしようもない罪のコントラストが心に刺さる。ラストスパートは読む手が止まらず・・・深い感動に包まれました。しかし、三井(夫)の独白は辛かった。どこかに『戦争が発端となり、不義の子が生まれたのではないか。罪の根源は戦争にあるのではないか』というような文章があったと思うけど、本当にそうだと思う・・・。ただ、人間にはどうしようもない罪に向き合うチャンスが神様から与えられて、その時に自分を省みることができるのか、自分を謙り、他者の心を推しはかることができるのか。そこが分かれ目になるのではないかと、思った。好きと愛することの違いも頷ける。終始、読み手である自分自身にも突き刺さってくる言葉がたくさんあった。

ひとつ、敬造さん、あなた最終的に改心したような雰囲気になってるけど、序盤で出てきた10代の頃に犯した罪、あれとちゃんと向き合って欲しい。あれ以来語られず、無かったことのようになっていることがどうしても不快だった。

しばらく余韻を味わいます。

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2025年08月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前作「氷点」よりも興味深く読めた。前作はフィクションを読んでいるという感が大きく、テーマの「原罪」を意識することが難しかった気がするが、今作は「罪のゆるし」について漠然とだが考えながら読むことができた。
登場人物それぞれの視点で描かれており、とある事象が夏枝としては考えがあってのことでも啓造視点では全く別のように捉えられている。どの登場人物も身勝手に都合の良いように考えていて、人間はそういう生き物なんだろうなと感じた。
最終盤で陽子が「人間同士のゆるしには、恐らく完全を求めることはできないであろう」と考えているが、だから神という存在が生まれたのだと思う。神がゆるすとすれば人間の手の出しようがないところで落とし所がつく。
読んだ時の状況や年齢で感じ方が変わる気がするので、また何年後かに読んでみたい。

1960年代の生活や時代背景が垣間見えたのと、北海道のいろんな描写が書かれていて楽しかった。本編ではないが解説の「文学とは何か?それは人間を解明するものである、ということができよう」という言葉が心に残った。

陽子:本当によく頑張っている。高潔すぎて生きていくのは大変だと思うが幸せになってほしい。
夏枝:基本的に自分中心の考え方で(他の人のためと言っている部分も自分に都合の良いように考えている)全く共感できないが、女性の本質はこんな感じなんだろなと思った。陽子と正反対で世渡り上手というか、何があっても最後まで生き残るタイプだと思う。
啓造:流石に流されすぎでは。もう少し自分の考えを持った方が良いと思う。
村井:理解不能。普通に気持ち悪かった。
北原:辻口家の事情に直接関係ないのに足を失うことになり一番可哀想。陽子は北原と結婚する決意を固めて物語は終わるが、北原は断りそう。
達哉:最初はちょっとかわいいくらいに思っていたが流石に暴走しすぎ。恵子に同情さえする。
弥吉:出番はほぼないが赦しを一番体現していた人物。戦争に行った人にしかわからない気持ちがあるのだと思う。

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2024年10月12日

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