あらすじ
銀と、ふたつの言語における単語の意味のずれから生じる翻訳の魔法によって、大英帝国が世界の覇権を握る19世紀。英語とは大きく異なる言語を求めて広東から連れてこられた中国人少年ロビンは、オックスフォード大学の王立翻訳研究所、通称バベルの新入生となり、言語のエキスパートになるための厳しい訓練を受ける。だが一方で、学内には大英帝国に叛旗を翻す秘密結社があった。言語の力を巡る本格ファンタジー。ネビュラ賞、ローカス賞受賞作。
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Posted by ブクログ
1830年代大英帝国は、言語間の意味の差異により魔法を生じさせることを力に植民地帝国を維持・建設する。言語間の隔たりのと意味の差異が銀を媒介に魔法の力となることから、混血のバイリンガルの少年がオックスフォード大学のバベルに呼ばれ教育を受ける。
大学生活の勉学と試験、友人との交流の穏やかな流れに、秘密結社との接触、さらにアヘン戦争直前の広州へ。
Posted by ブクログ
二つの言語での単語の意味のずれから生じる翻訳魔法が支配する世界の中で、多数言語を学ぶ学生たちの物語という導入設定から、ハリポタを大人向けにしたブラックファンタジーと誤解して読み始めたが、開始とともに違和感満載(笑)。その裏には、アヘン戦争時の植民地政策末期での帝国主義のほころびを描いた骨太の展開があった。DEIと真反対の環境下で4人のオックスフォード大学生の視点から描かかれる反乱の萌芽は上巻を通じてゆっくり育っていき、一気にクライマックスへ。上巻と下巻の分量的バランスがこうなったのもよくわかる。嫌な予感がしつつ、これはすごく面白い。下巻へ。
Posted by ブクログ
書評を見てからずっと読みたかった本。いっきに読んだ。
翻訳がテーマなので、翻訳について何度も議論が交わされている。翻訳は原作そのものにはなりえない。原作のニュアンスを真に伝えることはできない、といった主張や言葉が通じることで広がる世界など否定や肯定が重なり合っている。
話自体は時々読み進めるのが苦痛になるような虐待や差別が書かれている。
主人公の行動や仲間、周囲の人の様子などありきたりな部分もあり、話の流れもどこかでみたような話だったりもする。こうなるんだろうな、という方向に最後まで話が流れていく。
悪者側の人物たちがカリカチュアライズされすぎているように思える。でも、こういう小説に出てくるような人って本当にいるんだよな、とも思う。びっくりするような差別意識の人、それをはばからない人、尊大な人、自分を高級だと思っている人が実在することをわたしも知っている。著者は実際にオックスフォードにいたようだし、小説だと思うなかれというところなのかもしれない。
部分部分は退屈で、2冊の本を最後まで読むのは時間がもったいなくなる時もある。
しかし、できれば、途中を飛ばしてもよいから、最後に主人公が友人と話をするシーンは読んでほしい。
翻訳とはなにかを長く議論してきたこの小説の、希望に満ちた一つの結論が書かれているからだ。
Posted by ブクログ
ラヴェルがヘルメス結社のメンバーという激アツ展開来たかと一瞬思ったが当たり前に違かった。冷静に考えればこれまでのラヴェルの行動や言動を踏まえればそうなるわけがなかった。
Posted by ブクログ
「翻訳で失われる意味」を魔法のエネルギーにするというのは独創的な設定ですね。
上巻の半ばまでは、正直なところ物語の運びが少し回りくどいと感じる部分もありました。著者自身のオックスフォードに対する強い思い入れや、アジア系学生としての複雑な視点が色濃く反映されているせいか、必ずしもストーリーに直結しない衒学的な描写も多く、もっと軽快なエンターテインメントを期待していた身としては、少し足踏みをしているような感覚があったのも事実です。
しかし、主人公たちがイギリスを離れ、広東へと渡るあたりから物語の相貌が一変します。
それまで「知識」としてしか知らなかった植民地主義やアヘン貿易の残酷な実態を、彼らが最前線で「現実」として突きつけられる。その圧倒的な不条理を経験した結果として、ロビンが実の父であり支配者でもあるラヴェル教授を殺害するという凄絶な決断を下す流れには、強い説得力がありました。
そこでようやく、本作が単なる魔法学園ものではなく、差別への抗議や、不実な支配体系への反乱を描く「切実な物語」であることが明確になった気がします。
林則徐が登場し、アヘン戦争という実在の歴史のうねりに物語が飲み込まれ始めてからは、一気に引き込まれました。著者が自身の経験を通して抱いてきたであろう「怒り」の熱量が、ここからどう爆発していくのか。期待を持って下巻を手に取りたいと思います。
Posted by ブクログ
ファンタジーと思って読み、
めちゃ真面目な面もあるー現実も反映したような、お話でした。
こういうのが歴史小説、というのか…
そして、国際的でした。
Posted by ブクログ
魔法!ファンタジー!わくわく!と思って読み始めたらめちゃめちゃダークファンタジーで、 苦しい…悲しい…と思う場面が多くありました。けれど学生らしいふふっとするようなシーンもあり、読んでいてほんとうに色々な感情が芽生えました。 言葉を訳すことによって生み出される魔法の力。たくさんの言葉の意味が作中に登場して、それがどのような効果を生み出すのか、読んでいてとても面白かったです。しかし後半に行くにつれて、その力は正しく使われているのか。 そう疑問に思う主人公たち。その結末はとても胸が苦しくなりました。 ラヴェル教授が序章では想像もつかないくらいひどい(グリフィンとロビンをバベルに連れてくるための経緯)人物だ…と気づいたり、グリフィンとロビンの切ない関係性だったり、 物語だけではなく、人間関係も細やかに描写されていて本当に読み応えがある作品でした。 ヴィクトワールとレティはその後どうなったのか、あれこれ考えてしまいます。 とても面白い作品を読ませていただいて、ありがとうございました!