あらすじ
【新しい「日本的経営」を創造する】
経営は日々、選択を迫られている。しかし、つい安易に妥協して選択しやすいほうを選んだり、それぞれの選択肢の意味するところを十分に吟味せずに思考停止したりしていないだろうか。経営活動において直面するさまざまな矛盾やジレンマを「あれかこれか」の二項対立で切り抜けるのではなく、苦しくても「あれもこれも」の二項動態を実践することこそが、過去の自己を超えていくただ一つの道なのだ。過去の成功体験に過剰適応することなく、現状にも安住しないことで自己変革につなげ、機動力を持って自己変革し続ける組織は、二項動態経営を行っているのである。本書は、バンダイナムコ、エーザイ、ユニ・チャームなどの事例にもとづいて二項動態経営のメカニズムを解明する、新しいコンセプトの経営哲学書。
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Posted by ブクログ
著者は野中郁次郎氏、野間幹晴氏、川田弓子氏。
感想。難しい。
備忘録。
・二項動態経営とは、「あれかこれか」の二項対立ではなく、「あれもこれも」を追求する二項動態的な取組を通じて、葛藤を超えて、より善いを目指し、新たな価値創造への道を他者と共に切り拓くこと。
・対立項のどちらかを切り捨てる取り組みからは、新たな意味や価値は生まれてこない。両極端で相反するように見える二項は、相互補完的であり、実は地続きで繋がっている。
・究極の善を目指すことは現実的には無理(アリストテレス)。その都度の最善=より善いを目指す。状況や文脈に応じて適切な行動をとる、それが「実践知」である(これもアリストテレス)。
・日立のLumadaも。創業110年超の歴史で蓄積されてきた「いいものを作れば売れる」という文化を自己超越し、モノとコト、アナログとデジタルなど、二項動態で、組織の壁を超えて新しいソリューションを創造するプラットフォーム。変わり続けることが日立の本質だと。
・ダイキンのFUSION経営=短期の収益力と中長期の成長性の両立を目指す。
・SECIモデル。共同化、表出化、連結が、内面化の大きなサイクルと、暗黙知が形式知に変わっていくサイクルで、組織的知識創造が進むこと。
・現場の豊かな暗黙知を形式知にして、形式知が意味することを議論して、新しい何かを仮説だて、すぐに仮説を実行する。
・そのためには、忖度や妥協の許されない知的格闘(コンバット)が重要。
・稼ぐこと、利益とキャッシュフローを創出することによってはじめて、自社が課題解決へ向けた次なる知識創造に取り組むことができる。利益とキャッシュフローを創出せずに、企業価値を毀損し続けていると、知識創造プロセスについて株主から承認が得られないからである。知識創造は、利益を産むことによってはじめて価値になる(利益だけを差さず、顧客や社員や地域や社会にとっての共通善のこと)。