【感想・ネタバレ】ロボットとは何か 人の心を映す鏡のレビュー

あらすじ

「なぜ私は人間型ロボットをつくるのか?」自分や愛娘がモデルのアンドロイド、ロボット演劇、発達する子供ロボット。世界中が注目の鬼才がその研究を公開、ロボットの未来を語る。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

人類の科学史・哲学史を変えるくらいのインパクトを持った一冊。「人間とは何か」という昔から哲学者達を悩ませてきた問題に対し、「ロボットとは何か」という双対問題から解釈を与えようとしている点が非常に面白い。
特に印象に残ったのはロボット演劇のエピソードで、演劇にロボットを出演させ、ロボットが、完全に決められたタイミングで、決められた動作やセリフを言うという実験だが、この演劇を見た人の大半はロボットに心があると感じたという。この結果から、筆者は、心というのは、「人に心はなく、人は互いに心を持っていると信じているだけ」で、「ロボットでも十分に心を再現することができる」としている。哲学的な言い方ではあるけれど、科学的な面からもとても面白いと思っていて、「人間とは何か」をこのように解明していくことによって、例えば、人間の感覚を騙すようなアプローチも可能になってくる。
また、研究という行為の意義についても考えさせられる。筆者は、元々コンピュータービジョンの研究をしていたが、そのうちにロボットを研究するようになり、さらにロボットを研究するうちに、「人間とは何か」という問題に興味が移ってきているという。「人間とは何かを知りたい」という非常に根源的な欲求が、筆者のモチベーションとなっており、次の研究に向かわせている。表層的な問題ばかりを見ていると、研究の一貫性がなかったり、モチベーションが持続しなかったりすることがあると思うが、筆者の在り方は、まさに理想的な研究者としての生き方だと思う。

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2011年10月03日

ネタバレ 購入済み

ロボットで考える人間の中身

「人に心はなく、人は互いに心を持っていると信じているだけである」生粋の科学者である石黒浩が切り出したるは、そんな哲学的な命題だ。普通の人ならば、少し本を読んだり思索にふけって「ふむ難しい」と投げ捨ててしまう話だろう。しかし彼は、人間を知りたいという欲求を工学的なフィールドで追い求めて続ける。見かけと動きを人間に似せたロボットは人間らしく見えるか。遠隔操作ロボットと会話したらどうか。そんな考えで作られた「人間らしい心の無い」ロボット達を見れば、自分に心はあるのだろうかと、そう感じること請け合いである。

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2019年12月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ロボット研究の第一人者による新書。2009年刊。
より“人間らしい”ロボットを模索するうちに、「人間とは何か」という根源的な問いを意識するにいたった著者の、研究と思索が 明快に詰め込まれた書。

なぜ人間は、人型のロボットに対して飽くなき探求を続けるのか。そこには、技術開発を通じた“人間理解”への欲求があるのだと氏は論ずる。

ロボット研究における人間らしさ(特に見た目や動作を中心として、知覚・感情・発達といった部分まで)を追求する取り組みが興味深い。→ジェミノイド(人間もどき)、ロボット演劇、ロボット化社会予想

・体を持たないコンピュータに真の認識が可能か
・なぜ人間型ロボットなのか
・人間らしさとは何か(ロボット研究における切り口)
・感覚と体のつながりとは
・ロボットは人間を支配するか

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2012年11月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ロボットを通じて、「人」を研究する。そのためには誤解や多くのタブーも存在する事を改めて実感。哲学的な部分も多いが、ロボット研究の最近の状況も知ることが出来る。

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2012年01月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 2009年までのロボット技術の今が語られた本。出来ることと出来ないことが明確に分かっておもしろい。ロボット≠人間、片方を知ることでもう一方の輪郭が見えてくる。

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2012年04月08日

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