あらすじ
親友のいいなずけロッテに対するウェルテルのひたむきな愛とその破局を描いたこの書簡体小説には、若きゲーテが味わった青春の情感と陶酔、不安と絶望が類まれな抒情の言葉をもって吐露されている。晩年、詩人は「もし生涯に『ウェルテル』が自分のために書かれたと感じるような時期がないなら、その人は不幸だ」と語った。
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Posted by ブクログ
ウェルテル効果、という主に有名人の自殺に伴う自殺の連鎖を生む現象のこと、その元ネタ。
数百年前のドイツで、こんな小説が出るのは衝撃だろうと思う。人間の感情をここまで赤裸々に吐露し、しかもそれが受け入れられたということ。
理性でなく、人間的な自然な感情を肯定している、そんな感じがする。
ロシア文学っぽいけども、あちらほど能力もないのに卑屈になっている様子ではなく、ある特定の人とはきちんと交流を持てている。が、表層の権威への反発など(理路整然的なものとそうでないもの)は似通っているように感じた。地下室の手記のよう。
大学生のときに読んだが、あの時は、まさに自身があの中に居たような気がしていた。いま読むと、作中でも触れられているが、のめりこむような生活ではなく、ある程度いくつかのことを並行して行う。そのため、冷静でいられる。
もうあのようには戻れないのだろうか。
確かに幸せだったのかもしれない。
Posted by ブクログ
若きウェルテルの悩み」が自分だけのために書かれたように思う時期が一生のうちになかったら、それは不幸なことだといわなければならない…
愛の描写が激烈
現代版ポエマー?
Posted by ブクログ
この本で見られる形の失恋は確かに誰しも経験したことがあるかもしれませんね。
しかし最後の解説でこの本がブームになったことで自殺者が増えてしまったと知ったとき恐ろしい本だなと思いました。
元気じゃないと読んではいけない本です。
Posted by ブクログ
美しい自然の描写や村の人々の生活がのどかでよかった
人の婚約者に惚れてここまで悲劇の人間ぶることある?ってなるくらい仰々しい表現で恋の喜びと苦しみと破滅が書かれてて凡人には共感できる感情の動き幅じゃなくておもしろい
恋愛に、というよりも、恋愛についての自分の思考に振り回されて自滅していく様子が秀抜
タイトルに採用されるのも納得の悩み具合だと思う
Posted by ブクログ
ウェルテルはロッテに恋するが、彼女には婚約者がいる。それでも構わぬと友人として交際を始め、彼女を崇拝し、やがては自分が婚約者/夫たり得たらと空想し、それが叶わぬと知り悩み、絶望して、ついには自殺する。
本書はウェルテルが友人に送った書簡の体裁を取っている。そのため読者が知れるのはあくまでウェルテルの内面だけだ。彼がいくら心の底からロッテに惚れ、愛の言葉を紡ごうとも、当の本人には伝わらない。自分たちは相思相愛だと主張するが、ロッテに確認する術は無い。あまりに一方的だ。
ロッテに対して執着同然の恋心を抱いたウェルテルの破滅は、彼女への“呪い”になってしまったと自分は解釈する。「自分が彼を追い詰めてしまったのではないか?」という疑念・自責は消えないだろう。片想い、それも相手側にもある程度察せられているような片想いは、過ぎると災いでしかないのだろう。