【感想・ネタバレ】夏草冬濤(下)のレビュー

あらすじ

洪作は四年に進級するが、自由奔放な文学グループと行動を共にするようになってからは成績は下がる一方で、ついには沼津の寺にあずけられる羽目になった。おくてで平凡な少年の前に、急速に未知の世界が開けはじめる。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

金枝たちとつるむようになって洪作の世界が大きく広がる。
このような友人たちと過ごす中学生活は魅力的でまぶしいものだっただろう。
いつの間にか洪作の幼さはなくなっていて、この時くらいから洪作自身の性質が色濃く表れるように感じた。
なぜか眉田さんが印象深い。特に物語に大きな影響を与えるわけではないが、そのパーソナリティが当時の井上靖にとっても印象深かったのだろうか、と考える。どこかしら年を取った洪作のようでもある。
金持ちの友人の夕食会に招かれる場面が好きだ。彼は確かにかなり裕福でどことなく育ちの良さを感じるけれど、嫌味がないと思った。素直に親睦を深めたいと述べるのにも、夕食に誘うスマートさにも好感を持つ。実際にモデルがいたというのもいい。彼に書斎の設計をしてもらったらしい。

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2025年10月21日

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ネタバレ

伊豆湯ヶ島、浜松を経て三島の親戚宅から旧制沼津中学に通った時期の作者の自伝的小説。奔放で魅力的な友人達との出会いによって、行動範囲と視野が広がってゆく様子が瑞々しく描かれている。当時の中学生が将来を嘱望されたエリートであったことが、日常生活の描写から間接的に伝わってくることも興味深い。続編「北の海」も読みたい。

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2022年12月10日

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ネタバレ

新年を地元ですごし、新学期をむかえる・耕作が2人と別れ、上級生とつきあいを始めるこの巻。とても面白く、すらすら読めた。耕作の成長がおもしろく、ラーメンを食べるシーンや、足を骨折したく件、フランス料理を食べる件など印象深かった。今後の旅も楽しみ。

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2018年11月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

成績が下がったことへの焦りと
一年上級の魅力ある先輩たちとの交流。
自分とは違うものや世界に憧れる思春期の切なくも懐かしい雰囲気が漂う。
羊羹の切り方や読んでいる本を気にしたり
寺に下宿させられるのが嫌で仕方なかったのに
友達に羨ましがられて気が変わったり
洪作の素朴さが等身大に感じられて面白い。

優等生として生きてきて、きちんと生きなければという思いもあれば
自堕落な生き方に憧れもする、思春期らしい葛藤というほど大袈裟でもないうつろう少年の気持ち。
友人に誤解されるなど、誰しも通る思春期の艱難が、淡々と日常に織り込まれ描かれている。

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2011年04月18日

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