あらすじ
伊豆湯ヶ島の小学校を終えた洪作は、ひとり三島の伯母の家に下宿して沼津の中学に通うことになった。やがて上級の不良がかった文学グループと交わるようになり、彼らの知恵や才気、放埓な行動に惹かれていく――。
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Posted by ブクログ
上巻の洪作はまだ子供のように感じる。英語の宿題をやったか?と増田に聞かれるだけで不安になるし、鞄をなくしてびくびくする。三島のいとこたちに会えばどぎまぎする。美しい従姉ではなく、きつく当たりつつも心の優しい従妹のほうに好感を持つのもなんだか身に覚えがあって気恥ずかしい。
若い時代の心情を鮮やかに描く井上靖の技術に読み返すたびに引き込まれる。
上巻のうちに金枝たちとの出会いがあるのもいい。金枝のグループが目立っていたことを暗示する。冒頭の金枝達の行動と会話は、やはり大人びて感じられる。
Posted by ブクログ
耕作の中学時代が書かれている。
鞄をなくした時の表現が的確で、読んでいるこちらもはらはら。出てきてほっとしました。
かみきの家の姉妹の描写が印象的。
正月に帰った耕作が、叔父より読書感想文の宿題をもらうが果たして達成できるのか、次巻がたのしみ。
日常を描き出しているが、その表現が素晴らしく、ストレスなく読み進める。何気ない日常が過ぎる中で、次はどうなるのかと先を続けて読みたくなる希有な本。
Posted by ブクログ
読んでいると「礼も言わない」「挨拶もしない」といった
ことが原因の批判非難中傷がずいぶんたくさん出てくる。
人のうわさ話ばかりで物語が進んでいっているようで
本作は「しろばんば」ほど愛着を感じはしないのだが
それでもサクサク読み進められるのは
なんだかんだいいながら日本人の原点的な感覚に
馴れた心地よさを覚えるからなのであろう。