あらすじ
『サピエンス全史』を超える衝撃――
知の巨人、6年ぶりの書き下ろし超大作
「ネクサス」(NEXUS)とは?
――「つながり」「結びつき」「絆」「中心」「中枢」などの意
石器時代からシリコン時代まで、
「組織」(ネットワーク)が力をもたらす
私たち「賢いヒト」(ホモ・サピエンス)は、10万年に及ぶ発明や発見や偉業を経て、途方もない力を身につけた。
それにもかかわらず、生態系の崩壊や世界戦争など、存亡にかかわる数々の危機に直面している。
*
サピエンスが真に賢いのなら、なぜこれほど自滅的なことをするのか?
その答えは、制御しきれないほどの力を生み出す、大規模な協力のネットワーク――「情報ネットワーク」――の歴史にある。
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印刷術やマスメディアは文明に何をもたらしたのか?
そして、まったく新しい情報テクノロジーであるAIは、何を変えるのか?――
石器時代からシリコン時代まで、『サピエンス全史』の著者が、人類の歴史をいま再び新たに語りなおす!
情報により発展を遂げた人類は、情報により没落する宿命なのか。本書のAI論は、混迷する世界で民主主義を守るための羅針盤になるだろう。
――斎藤幸平氏(経済思想家・『人新世の「資本論」』著者)
その深い洞察は、私たちが著書『PLURALITY』で提唱する多元的な共創の原理とも響き合い、進化するデジタル時代で人々を導く羅針盤となる。
――オードリー・タン氏(台湾・初代デジタル発展相)
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Posted by ブクログ
自分の手に余る力を生み出すのは我々の種に特有の大勢で協力する方法に由来。神話、宗教など物語のたぐあは、既存の生物学的絆を拡張する手段。偽りの記憶を語り続けると、いずれ人は正真正銘の記憶として受け入れる。大量の人間の間に秩序を生み出す最も効率的な方法は、真実ではなく物語。情報ネットワークは「真実の探究」と「秩序の維持」の双方に効く。官僚制は「整理」、整理の引き出しに押し込める事で真実を反映していない。官僚制は真実を犠牲にするが秩序のためでもある。神話と官僚制は、秩序を維持するのに不可欠な一方、秩序のために真実を犠牲にする。宗教、全体主義の「不可謬性」。聖典は可謬の人間の制度や機関を迂回するテクノロジー。でも、聖典のキュレーションの段階で教会権力強化へ。教会には自己修正メカニズムがない。独裁社会は強力な自己修正メカニズムを欠いた中央集権型の情報ネットワーク。民主制は強力な自己修正メカニズムを持つ分散型の情報ネットワーク。強権指導者は自己修正メカニズムを徐々に攻撃する。民主制とは多数派原理ではなく万人の自由と平等を意味する。ポピュリズムは、人民はあらゆる権限の唯一の正当な源泉であると主張し、自分だけがその人民を代表していると断言する。民主主義は政治の領域の権限が人民に属するが、他の領域における権限が別のものに由来することを否定しない。情報テクノロジーの発達のおかげで、広範な民主主義と全体主義体制が実現可能に。全体主義は自己修正メカニズムを徹底的に否定し、重複した監視メカニズムで秩序維持。宗教は保守的だが、全体主義は社会を急激に変えるという約束を軸にする。民主制は中央だけではなく、多くの独立した経路を情報が流れるのを促し、多数の独立したノードが自ら情報を処理して決定を下す。他方、全体主義は全ての情報が中枢を通過することを望み、独立した機関が独自の決定を下すことを嫌う。全体主義政権は秩序を維持するために、現代の情報テクノロジーを使って情報の流れを中央集権化したり、真実を押さえ込んだりする。